かつての日本軍は、陸軍は白兵戦に、海軍は艦隊決戦に過剰適応していました。第二次世界大戦は、すでにそういう時代を過ぎ、新しい時代に入っていました。しかし、過去の考え方に過剰適応した日本軍は、終戦まで白兵戦にこだわり、艦隊決戦に挑み続けました。
工場における生産性至上主義は、過去のものです。「作れば売れる時代」は終わってしまいましたから、工場が生産性を上げることだけでは、まったく価値がないのです。このことを多くの工場は理解できません。そして、そのことが製造業の業績の足を引っ張っているのです。
この文化から脱却した企業も、わずかにあります。そういう企業は、現在の経営環境でも高業績を誇っています。文化を替えるきっかけの一つは、品質主義への変身です。ISO9000への取り組みをきっかけに、品質を顧客を中心にして考えるようになり、企業全体として品質の実現に取り組み、工場という一機能での生産性から関心を離した結果、サプライチェーン全体の生産性はむしろ向上され、業績向上を果たしたのではないでしょうか。
かつて、製造業は工場が主役でした。そして、研究部門は主役である工場への支援を主たる任務にしていました。営業部門は、工場から供給されるタマを撃つだけでした。業績は、鉄砲とタマの出来如何にかかっていました。
製造業の営業マンには、この文化を引きずっている人たちがいます。そういう人たちは、社内に対する自分の役割を理解できません。社内に対しても、顧客に対しても、自分が何を働きかけたらよいのか分からないのです。
今、企業が市場や顧客に機敏に対応しようとするとき、営業マンの役割は重大です。営業マンが、しっかりと顧客と会社を結びつけなければならないのですから。
しかし、時代は変わりました。かつての価値が、今は足を引っ張るのです。かつて、先輩方が戦後の新しい環境の中で環境に適応した仕事の仕方を編み出したように、今は私たちが新しい仕事の仕方を編み出さなければなりません。