レポート:行き先と現在位置を知れ

行き先と現在位置を知れ

1998年6月7日


 前回のレポートで、自転車と自動車の喩えで経営のスピードを少し考えました。今回は、スピードの意味をもう少し考えてみます。

自転車の運転

 自転車で走っているとします。走りながら、回りの景色を楽しみます。ふと、おいしそうなレストランを見つけました。ブレーキをかけ、停止し、「そういえば腹が減ったね。寄ってみようか」「そうしよう」という、のんびりとした会話でも、十分に意思決定は間に合います。
 もし、ちょっと通り過ぎていたとしても、その場でUターンして、ちょっとだけ引き返せばすぐに、今見つけたレストランに到着です。

 企業経営の場合、経営ビジョンや経営方針を作っていなくても、あるいは作っていてもそれを意識することなく、のんびりと経営している状態です。チャンスが目の前に現れたとき、「どうしようか」と考え初めても、十分に間に合うのです。
 そして、その企業は5年、10年経っても、前の場所からいくらも動いていないのです。

自動車の運転

 自動車で走っているとします。走りながら、回りの景色を楽しむのはちょっと難しくなります。ふと、おいしそうなレストランを見つけました。「そういえば腹が減ったね」などと話している間に、何十メートルか行き過ぎてしまいます。「寄ってみようか」「引き返すのかい」「今度見つけたら、そこに寄ろう」という話になります。そこから、レストランを探して運転が始まります。レストランを見つけると、スムーズに車を駐車場に向けることができます。
 自動車の場合は、行き過ぎると、Uターンする場所を探さなければなりません。あらかじめ探すものを決めておかないと、なかなかその店にはいることができません。

 企業経営の場合、経営ビジョンや経営方針が必要な状態です。しかも、それを意識して経営していなければなりません。チャンスはどんどん目の前を通り過ぎて行きます。チャンスが見えてから「どうしようか」と考えても間に合わないのです。
 そして、その企業は5年、10年経つと、前の場所とは相当離れた場所まで行き着けます。つまり、よりレベルの高い経営ビジョンを描くことが可能になるのです。

高速道路の運転

 自動車で高速道路を走っているとします。レストランを見つけてから、「寄っていくか」などと相談することもありません。行き先は、あらかじめ決めておかなければならないのです。少なくとも、「次のパーキングエリアに寄ろう」というように。
 そしてもう一つ、高速道路では今どこにいるのかを知ることが重要になります。正しく目的地へ向かっていることを知り、目的地までの何キロか手前ではまもなく到着することを知る必要があります。とにかく、通り過ぎてしまったら、次のインターチェンジまで行って、引き返さなければならないのですから。

 企業経営の場合、高速道路の喩えはピンとこないかもしれません。高速経営のための社会基盤が整備されたとき、高速道路を走るような経営が始まります。それは、コンピュータの普及や、情報ネットワークや、高度で便利なソフトウェアの発売などが条件のひとつひとつになります。そして、ある程度の社会基盤が整うと、多くの企業が一斉に高速道路を走りはじめます。そのときに、高速道路を走ることのできない企業は、競争云々ではなく、社会から取り残されてしまいます。

 時速60キロしかでない自動車は、時速120キロを出せる自動車の半分ではないのです。高速道路を走れるか走れないかの違いになります。行動半径は何倍違うでしょうか。このとき、時速60キロの自動車は、普通は存在価値がありません。

高速経営のポイント

 前回のレポートと重複する点もありますが、高速経営のポイントを再度整理します。


魚谷幸一 http://homepage3.nifty.com/uotani/
Last update 1998-6-7