さて、本題へ。
今までは、ごく限られた範囲から行き先を選ぶ必要がありました。行き来に時間がかかるのですから、それほど遠くへはいけなかったのです。選択肢はわずかでした。ところが、スピードが上がって、行き来の時間が短くなると、選択肢はぐんと広がります。
企業経営に話を戻せば、「どんな会社にするか」を過去の延長線上におく必要がなくなり、従来だったら実現不可能と思われたような急激な変化を計画することが可能になったのです。「隣が行くからうちも」という横並び意識も、全然意味がなくなってしまうのです。
考えてみてください。いくら高速化したところで、時間は1日24時間で有限です。お金も湧いてくるわけでなく、有限です。あっちもこっちも行きたいと考えると、高速で移動することだけで疲れてしまいます。行き先をひとつだけ選ぶ必要があるのです。そのこと自体は、今までと何も変わりがありません。
このことは、無限であるかのように広がった選択肢の中から、たったひとつを選ぶという能力を求められていることを表します。今までは、花屋敷へ行くか、東京ディズニーランドへ行くかという幅の選択肢だったのが、長崎のハウステンボスでも、アメリカのディズニーワールドでも、エジプトでもブラジルでも行くことはで来るのです。「隣の人に負けないように」などと考える必要はなく、ひとつの自分だけの選択をするのです。
再び企業経営に話を戻すと、この会社は何をするのか、この会社をどうするのかを、無限の選択肢の中からひとつだけ選ぶということになります。今までのような横並び意識は意味がありません。
企業経営では、パソコンを使いこなし、電子メールやインターネットを駆使することが重要なのではありません。それは、単にスピードをコントロールできるというだけです。そんなことは、仮に苦手でも、誰かにやらせることもできるのです。むしろ重要なのは、「○○をやりたい」と強く意志を持てる能力、言い換えれば「夢を描く能力」ではないでしょうか。
また、企業経営では人を動かす必要もあります。「夢を語る能力」も重要です。
何と面白いことに、高速度経営という非人間的だと思えるようなマネジメントで重要なのが、「夢」というきわめて人間的な能力であるということなのです。