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設計事務所の仕事に対するよくある質問をこのページでトピック的に取り上げてみました。単なる業務説明ではなく、それぞれの項目がどのようにして良い建築に結びつくか、という視点を織り交ぜて、ドキュメント的に表現してあります。全ては「良い建築」を作るためのステップです。

  • 基本設計と実施設計・・・家一軒の設計にはどのくらいの期間をかけて、どんな作業が必要か

  • 施工業者選定・・・設計事務所はどんな観点で工務店を選ぶのか

  • 工事監理・・・設計事務所と工務店の関係/手抜き工事が心配なかたは、ここを読むと納得、安心できます。

  • 設計監理料・・・設計事務所に設計を頼むとどのくらいの費用がかかるか

 

基本設計と実施設計家一軒の設計には、大体半年から1年くらいの期間をかけます。この期間のうちの大半は、敷地の形などの物理的な条件や依頼者の方のライフスタイルなどをもとに、これらに合う住宅の「かたち」を見つけ出すための作業に当てられます。この間、私たちはいくつも案をつくり、依頼者の方と何度も打ち合わせをします。スケッチや模型、計画図をたたき台にして、これから始まる新しい生活を思い浮かべ、イメージを具体化して行きます。いわば設計図面を作り始める前段階なのですが、この期間の設計者・依頼者双方の頑張りがこのあと何十年と住み続ける家の様子を大きく左右します。こうしていくつかの素案と模型などの検討を経て、「かたち」がほぼ決まるまでを「基本設計」といいます。建物の使いやすさや面白さはほとんど空間の構成で決まりますから、全体の骨格が決まるこの基本設計の作業は大変重要です。さすが、設計事務所の提案力は違うな、ときっと納得して頂けると思います。敷地や予算など、条件が厳しいほど、私たちの真価が発揮されます。
基本設計が終わると「実施設計」に取り掛かります。この期間は、細部の技術的な検討や詳細な構造設計、設備設計、そして詳細なデザインの検討などを行い、設計図を書き上げます。普通の木造住宅では、大体20枚〜30枚程度の図面を作ります。
考えがまとまり、図面がそろい、役所の建築許可がおりたらいよいよ工事着工準備となります。

施工業者選定私たちは、まずいくつかの会社の過去の実績や経営状況などを、都道府県に登録されている資料の閲覧や、施工会社から提出された実績資料、写真等をもとに調べ、これから始まる工事に適した会社を3〜5社選びます。施工会社には色々なタイプがあり、決まったパターンでとにかくコストを下げるのが得意な会社や、緻密な作業が得意な会社、仕事が上手な大工さんを多く揃えている会社など、得意分野を見極めてえらぶことが、無駄の少ない、質の高い仕事につながります。
こうしてピックアップされた数社に対して工事費の見積もりを依頼します。大体2〜3週間かけて、私たちが作成した20〜30枚の実施設計図をもとに、各社は工事費を見積もりして出してくれます。この見積もりは非常に詳細に、多岐に亘り、タオル掛け1本、排水口のふた一つに至るまで金額と数が明示されます。その一つ一つに対して査定を行い、金額の調整、各社の工事費の比較をします。一番金額の安いところに頼むかというと、必ずしもそうでは有りません。可能性の有りそうな会社に対して、私たちは実際の工事現場(木造であれば、上棟前のもの、仕上げ工事中のもの、入居後1年くらいたったもの、の3つくらい)を確認します。その際に、実際に工事を担当する予定の監督に案内してもらい、監督個人の人がらや技術的な知識等も確認します。
こうして、適正な工事費見積金額の提示があり、会社および作業員個人の技術力や熱意が十分である施工会社に工事を依頼するわけです。

工事監理通常、私達は週1回のペースで現場を確認し、工事期間中、20〜25回程度の現場確認を行います。監督さんや職人さんとは随時打ち合わせ、調整を行います。現場は回数を多く見れば良いというものではなく、工程や作業の難易度に応じてタイミングよく確認、指示を出して行くのが大切です。
現場打ち合わせでは、翌週の作業での注意事項の
確認、より詳細な図面による指示、設計変更の伝達、前週行われた作業の検査等をおこないます。設計図がそろっていても、全てのことが表現しきれるわけでは有りませんし、誤解も有ります。また、工事が進んでくるのに従って、設計者も依頼者も新たな考えが浮かんでくるもので、かなりの変更が生じてくるものです。これらを遅滞なく現場の工事に反映し、工事費の調整も含めてスムーズに物事を進めるため、現場での打ち合わせ・確認は非常に盛りだくさんです。設計者はかなりの枚数の現場指示図面をつくります。

今、手抜き工事が大きな社会問題の一つとなっていますが、
悪意をもって手を抜く業者はほんの一部です。設計事務所は施工会社選定の際にこのような業者をチェックし、はずしますが、善意の業者でも誤解は有ります。設計者の図面も完璧では有りません。依頼者の方も、建物が建ちあがるにつれて新しい要望を思い付きます。誤解や変更が有れば当然工事費にも影響が出てきます。これらを首尾よく調整し、良い建物に仕上て行く作業が、工事監理というわけです。手抜き防止の単なるチェックではなく、より依頼者の要望に近い、質の高い建物を提供するための、トータルコーディネートが行われます。

このように、図面をつくるだけでなく、その前後の頑張りが満足の行く建物をつくるために大変重要なのです。「設計図をつくるまでが設計だと思ってたけど、工事が竣工する瞬間まで、ずっと設計なのですね」と、工事が終わってからしみじみといわれることが有ります。依頼者、設計者、施工者...すべての関係者の皆様が、お互いにお疲れ様、そして有り難う、です。

 

設計監理料設計監理料とは、上記(ダイレクトにここへ飛んだ方は恐れ入りますが、まず上のテキストを一通りお読み頂ければと思います)の業務全般、役所への確認申請費用を含めた全てのコーディネート作業を対象とした報酬で、建物の種類や用途と、工事費によって決まります。ここで、業務の内容をもう一度列挙してみましょう。


敷地の調査
基本設計
実施設計
役所への建築確認申請
施工業者選定
工事監理
見積もり書のチェックと工事費の調整

なお、一般的な木造住宅の場合の、工事費に対する当社の設計監理料の率を参考に掲げておきます。これは目安で、実際には設計の内容や密度、建物の複雑さ、特殊な材料を使うかどうか、などによって上下します。また、一般的な木造以外(鉄筋コンクリート、鉄骨、木質積層材パネル構法など)は、これよりも割高となります。
最初数回の打ち合わせで、工事費、設計の内容、作業量などを話合い、設計監理料を決めます。こうして設計監理契約を結び、正式なスタートとなります。ここに至るまでの、電話やEメール、事務所に起こし頂いての打ち合わせは無料です。出張調査・資料や案の作成等は、実費を頂きます。

工事費 2,000万以上 3,000万以上 4,000万以上 5,000万以上 10,000万以上
設計監理料率(%) 12.5% 12.0% 11.5% 11.0% 10.0%

なお、設計監理契約前に、「この建築家とは相性が合わないな」、とお感じになることもあるはずです。その場合、いったん手を切って、他の建築家を探して頂くのは自由です。大事な家の計画です。相性の合う、信頼の置ける建築家をパートナーとすることが、依頼者にとっても、建築家にとっても幸福なことですね。