ロスアンゼルスにて、4日間レンタカーを借り切って、クルマのある生活をしてみた。車社会アメリカはレンタカーも充実している。空港から家まで(またはその逆)レンタカーを使うのはあたりまえという考えらしく、空港のそばには多くのレンタカー会社が構えている。(その車の在庫量がハンパじゃない!!)空港を降りるとすぐにバス乗り場があって、そこで待っているとレンタカー会社の循環バスにすぐ乗ることができる。そしてそのバスでオフィスまで行くと、すぐに車を借りられる。
今回僕はどーせアメ車に乗るなら、ということで一番でかい車を希望した。借りた車は、'95年式クライスラー社のEAGLE VISIONという車で、日本車でいうとセルシオ(よりほんの少し大きい)くらいの大きさの車である。3.5リッター、V6のエンジンでFF駆動式。これだけ大きい車だが、アメリカではこの車は大衆車に相当し、新車価格は2万5千ドル位である。日本でいうと、マーク2を買う感覚か・・。この車を各保険込みで一日(24時間)55ドルで借りられるのだから安い。
車と初対面。やっぱりでかい。こんなにでかい車に乗るのは初めてだ。ドアを開けると、その重さに驚く。アメリカは安全基準の厳しい国だ、ドアの中には鋼鉄の梁が入っているのだろう。ドア以外にも全体的にすごくがっしり作ってあって、日本車とは鉄板の厚さからして違う印象を受ける。バンパーなどは実に丈夫にできている。車に乗ると、改めて大きさに驚く。特に幅の広さがすごく、車両感覚がつかみづらい。左ハンドルというのも少しだけ違和感がある。
道路に出て走り出す。常に頭の中に右側、右側ということを置いておく。始めのうちは右側通行に対してすごく違和感がある。しかし、思ったよりも簡単で、間違えたり危ない思いをしたりすることはなかった。大抵の道路は片側3車線以上ある。住宅街などの狭いところでも、道路の両脇に路駐の車がいてなおかつ、すれ違うだけの幅がある。
アメリカならではの交通法規に、信号が赤でも一時停止すれば右折できるというのがある。なかなか合理的であり、便利だ。車のながれは非常にスムーズで、日本のようにちょっとしたことでつっかえたり渋滞したりということはない。感覚的には日本の深夜の車の流れが、アメリカの昼間というところか。道路の広さのおかげで、大きい車に乗っていても何の不自由を感じないところがすごい。
フリーウェイはその名のとおり無料である。アメリカは、日本の国道くらいの密度でフリーウェイ網があり、奇数番は南北、偶数番は東西というふうに整理されていて非常に解りやすい。フリーウェイは平均して片側4車線くらい。一時的に6車線になったり3車線になったりする。車の数はとんでもなく多い。にもかかわらず、決して渋滞はしない。ボトルネックが一切ないという感じである。ダウンタウン付近で少しだけ混むが、それでも時速40キロ以上では流れてくれる。フリーウェイの制限速度は55マイル(時速88キロ)。車の絶対数が非常に多いため、それほど飛ばせない。通常は60から80マイル位で流れていて、速度は日本とそれほど変わらない。アメリカはフリーウェイが発達していて、しかも無料、そして絶対に渋滞しないということで、距離感覚がマヒする。
アメ車はやっぱりアメリカに適していると思う。日本だと、大きい車=高級車というイメージがあるけど、アメリカには今回借りた車のように大きな大衆車が存在する。大型車らしく、騒音や振動はある程度押さえられているが、はっきりいって、日本車でいうとクラウンには完全に負けていて、マーク2と同等かそれ以下の乗り心地、または操縦性である。しかし、値段を考えると結構納得してしまう。アメリカ人は価値観がはっきりしている。大人4人がゆったり乗れる車が欲しい、しかし必要以上の装備は要らないという人たちのためにこのような車が存在するのだろう。アメリカ人の車選びは実に個性的で面白く、皆自分にとってどんな車が必要かがわかっているようだ。
アメリカは本当に車社会であり、車が非常に優遇されている。とにかく車がすごく使いものになる。車検制度がないおかげか、とんでもないポンコツ車も多く見かける。特に買い換える必要を感じない人たちがそういう車に乗り続けているのだろう。ガソリンなんてタダみたいなものだ。日本の3分の1からヘタをすりゃ4分の1の値段である。(私見を述べれば、これはヤバイと思う。今後の情勢を考えると、ガソリンの消費は減らさないといけないのに、これではガソリンの消費を煽っているようなものだ。その証拠に、アメリカではいまだに必要以上の大排気量車が数多く走っている。)そして、なんといっても高速道路がタダというのがうらやましい。
そして、便利なのがモーテル。日本でいうモーテルは違う意味だけど、アメリカのモーテルはれっきとしたMotor Hotelである。道路沿いのいたるところにあり、ツインの部屋で30から45ドルくらい。部屋は日本のビジネスホテルよりも広く、もちろんバス、トイレ完備。ヘタな安ホテルよりもよっぽどきれいで安全で、それでいて安い。ロスにいる間は全てモーテルに泊まってしまった。これはぜひ日本にも欲しいと思った。
日本に帰ってきてすぐに車を運転した。今度は左側通行に違和感を感じた。笑えるのが、自分の車なのにウインカーを出すときにワイパーを動かしてしまったこと。(左ハンドルの車はウインカーとワイパーのレバーが逆)ちょっとその辺まで買い物に出かけたのに、すぐに渋滞したり、右折待ちの車でつっかえたりする。やっぱり日本に車は向いていないようである。
(1995年3月 記)