腹鼓の巻

星に届けや空のくう鳴る腹鼓          扇(発句)
太平の地をたたく夢見て  炉(脇)
火も在らでけ無理立てたる あれ野にて 茶(第参)
嵐が丘にヒース咲く今 村(一表肆)
さなきだに而月西空(つきかたぶきて)野に幻炎(かぎろひ) 扇(一表伍)
町は変われど年年歳歳桜相似(桜かわらず) 村(一表陸)
迂闊にも同じやまひに鼻欠けて        茶(一裏壱)
誤認囃子にリストラの風 扇(一裏弐)
口車散妊彼女ものせられて 村
翁と媼(おきなとおうな)寄り添うて立つ 刀(一裏肆)
おお葛籠待っているよと吉備だんご 村(一裏伍)
決議はいらぬ侵攻の友  扇(一裏陸)
ばつたりと兄弟にあひちん没し 茶(一裏七)
鯉の櫓(やぐら)を組む若き父 刀(一裏撥)
天高くのぞみたくしうい孫に 空(一裏玖)
うい奴ぢゃとて愛人の許(もと)に  扇(一裏拾)
我に帰しきびす返して妻を抱き 刀(一裏拾壱)
隣の花もよく見りゃしおれ 村(一裏拾弐)
また春のくれば咲くべき多年草  扇(二表壱)
陽もあたらずで鳴かず飛ばずに 茶(二表弐)
それもまた命冥加や雉の恋  扇(二表参)
 轟く声に近所驚き           茶(二表肆)
厩(うまや)には誰が連れたか鹿もいて 村(二表伍)
秋八釜敷く鍋底の月  扇(二表陸)
頬よする尻のつめたき雑魚寝かね        茶(二表七)
脂ののって火のつきもよく  扇(二表撥)
しられざる臨界のなか変わる性(さが) 茶(二表玖)
にらみを利かす窯変の眼  扇(二表拾)
ストゥーパに月もウィンク返す夜 村(二表拾壱)
ほのひかる舎利 有り難き哉 茶(二表拾弐)
伝来の秘薬得たりと小躍りし  扇(二裏入)
戀患ひに金失ひに 刀(二裏弐)
治らぬがうれしとつかる草津の湯  扇(二裏参)
浮かぶ花見て鳥もさえずり 刀(二裏肆)
深々と彩(いろ)も香も肌沁みいりて     茶(二裏伍)
 てのひら柔く掴む幸せ          村(挙句)


もどる