やままゆのまゆ抜け出して月明かり 扇(発句)
蛇穴叩き起こす悪童 村(脇)
無南無南と寝言に経を暗誦(あんじゅ)して 茶(第三)
母の夢にも現わる厨子王 村(一表肆)
いたいけに重なる笑顔さかんなり 刀(一表伍)
月のひかりに酔ひて踊らん 茶(一表陸)
もっと高みへと君この手逸れトゥを抱ぐ 双(一裏壱)
視線冷たく頬を刺す傷 茶(一裏弐)
盃にこころ融かせと そそぐ酒 刀(一裏参)
春寒の里名残り雪積む 村(一裏肆)
癒されん身体預けてイルカの背 双(一裏伍)
堪忍蔵の 錠錆付けり 刀(一裏陸)
学ぶのが嫌いながらも王道をいく 村(一裏七)
月より来たる前世のひかり 茶(一裏撥)
胸の谷間に留め置きたし温もりと 双(一裏玖)
涙の河の美しきかな 茶(一裏拾)
揚げ告天子(ひばり)墜つるに似たり花の空 扇(一裏拾壱)
絶え間無く呼ぶ墨絵の桜 双(一裏拾弐)
わがつまの想い降り積むしんしんと 刀(二表壱)
根雪の下に待つちうりっぷ 扇(二表弐)
土の香も根に吸い込んで放つ色 村(二表参)
葡萄の酒を醸(かも)す乙女ら 茶(二表肆)
あと少し佇ませたや風上に 双(二表伍)
添ふて憩うは訳あるふたり 刀(二表陸)
夕映えにふと目を挙げる雨上がり 扇(二表七)
せせらぎの音に 想い早るる 刀(二表撥)
山野草遊ぶ岩魚に微笑んで 村(二表玖)
凍った月日 溶かすその声 双(二表拾)
DNAひたすら狂う間氷期 茶(二表拾壱)
身に埋めたや 君が遺伝子 双(二表拾弐)
受け継がる善きと悪しきと スパイラル 刀(二裏入り)
押しの強さも友だち譲り 村(二裏弐)
心臓に記憶の宿る春の酔い 双(二裏参)
朧一夜を濡れてまいらう 扇(二裏肆)
花のもと宿りて想ふ涅槃像 茶(二裏伍)
この如月を祝い餅搗く 夏炉(挙句)