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犬のよくある病気(あおぞら動物病院)

1.歯石・歯周病 5.子宮蓄膿症
2.アレルギー性皮膚炎 6.乳腺腫瘍
3.フィラリア症 7.犬の腎不全
4.小型犬の膝蓋骨内方脱臼




歯石・歯周病



犬の歯石
歯石の付着した歯
(リンクあり)

犬の歯石
除去した歯石
(リンクあり)

犬の歯石
歯石除去後
(リンクあり)
 ワンちゃんの高齢化に伴い歯周病が大変増えています。
「最近、うちのワンちゃん、お口がくさい」なんて思っている飼い主さん、要注意です。お口の中をチェックしてみましょう。
茶色い歯石が歯の表面を覆っていたり、ハグキが赤く腫れ上がったりしていませんか?

 歯周病とは、歯の周囲に付着する歯垢や、歯垢が石灰化してできる歯石によって歯肉や歯根がおかされる病気です。アメリカの調査によると5歳以上の犬の約80%以上は歯周病がみられるそうです。

 歯周病
になると口臭だけでなく、食事をするときに痛みを伴ないます。また、細菌が血管から進入し心臓や腎臓などへ運ばれて感染症を引き起こすことにもなります。

 
歯周病になりやすい品種としては、小型犬種(マルチーズ、ヨーキー、ポメラニアン、トイプードルなど)や短頭種(シーズー、チワワなど)ですがこれらの品種は、
@室内で飼われるので人間食をもらう機会が多い。
A生後1年以上たっても乳歯が残ってしまう乳歯遺残になりやすい。
B歯が密に生えているため、食べカスがはさまったままになりやすい。
などの要因から歯周病になりやすいようです。

 歯周病の予防としては2・3日に一度、歯ブラシや指に巻いたガーゼを使って磨いてあげるのが効果的です。週に1回の歯磨きでも75%程度の予防効果があります。
 最初はどんなワンちゃんでも歯磨きを嫌がります。嫌がる場合は、無理に行わず、毎日少しずつ根気よく練習しましょう。

 ただし、歯石がついてしまった場合には上記の方法では取れません。ワンちゃんの場合、人間のように「お口を開けてください」とはいきませんので、全身麻酔をかけて、スケーラーや超音波歯石除去機で歯石を除去します。驚くほどきれいになりますよ。




アレルギー性皮膚炎

犬のアレルギー性皮膚炎
目周囲の発赤


犬のアレルギー性皮膚炎
下腹部〜内股

 犬のアレルギー性皮膚炎肢端の炎症


ハウスダストマイ(チリダニ)ハウスダストマイト
(体長:0.2〜0.4o)
 動物病院の診療のなかでも、日常的に診察することが多いのが皮膚病です。
その中でも近年、アレルギー性の皮膚炎の発生率が高いように思われます。
 
ワンちゃんたちの皮膚病では、大きく分けて
  @ノミ・ダニなどの寄生虫性皮膚炎
  A細菌感染による細菌性皮膚炎
  Bカビによる真菌性皮膚炎
  C内分泌異常(ホルモン性)
  Dアレルギー性皮膚炎に分類されます

 アレルギー性皮膚炎には原因や発生メカニズムにより@アトピー性(アレルギー性吸引性)皮膚炎Aノミの寄生によるノミアレルギー性皮膚炎B食器の材質やシャンプーなどによる接触性皮膚炎C食べ物による食餌性皮膚炎の4種類に分類されています。
 
 なかでも近年多いのがアトピー性皮膚炎です。主な症状としては、顔や耳、足先、内股、脇などの皮膚が炎症を起こして赤くなり、痒みを伴って一日中「舐める」「咬じる」「引っ掻く」を繰り返します。見ていて本当に辛くなります。また、50%以上の確率で外耳炎を発症します。

 好発品種としては、一位 シーズー、二位 柴犬、三位 ゴールデンレトリバーがあげられ、他にもヨーキー、シェルティー、マルチーズなどでも多く見られます。

 アレルギーの原因物質としては(検査の種類によって相違がある)、ハウスダストマイトと呼ばれるホコリの中のダニがトップで、陽性率54%。次いで、植物が40%、ストレージマイト(貯蔵フードに発生しやすいダニ)20%、ノミ14%などが続きます。
 意外にも飼い主さんが一番気にする食物アレルギーは13%程度と原因としては低いようです。
 アレルギー体質のワンちゃんは、原因が一つだけではなく、いろいろと組み合わさっている場合も多くみられます。。
 現在では、血液からアレルゲンを特定する検査や、皮内反応検査といわれるものである程度の原因物質を特定できるようになって来ました。

 犬では、研究が進んでいるため様々な治療法が提唱されていますが、まず飼い主さんが頭に入れておかなければならないことは、「治る病気ではなく症状をコントロールしていく病気」だということです。
 どういうことかと申しますと、このアレルギー性皮膚炎は体質・遺伝からくるものであるということ、そして多くは原因の回避が大変困難であることがあげられます。

 この治療のために、しばしばステロイド剤が使われます。最近では「ステロイド」という言葉に過敏に反応してしまう方々も多いですね。
正しい知識と使い方をしていれば、ステロイド剤の副作用は最低限に抑えることができます。なぜこのように副作用の危険性がある薬を使うのか?それは、「ステロイドより効果のある薬が無く治療に最も適した薬である」といった理由があるからです。もちろんこれは正しい使い方をした場合の話です。
 
QOL(Quality Of Life:生活の質)という言葉があります。慢性の病気は完治させることが難しく、患者さんが病気とつきあいながら質の高い生活を送ること。
 そのためには、薬の悪い面(副作用)ばかりを考えるのではなく、薬の良い面(劇的な効果)も考えた上で、ワンちゃんにとっての本当の幸せとはどんなことなのかをもう一度考えてみてください。


フィラリア症(犬糸状虫症)
 一昔前にワンちゃんの死亡原因としてナンバーワンだった病気ですが、最近では定期的な予防をされる方が増えてきたため、以前のように命を落とす危険性は少なくなってきました。
 しかし、3年間予防を行わないと感染率80%といわれるフィラリア症とはどのような病気なのでしょうか。

フィラリアの成虫です フィラリアとは寄生虫の名前です。心臓に住みついて様々な障害を起こす細長い虫です。長いもので28cmもあり、心臓に寄生すると血液の循環が悪くなって肝臓、腎臓、肺など多くの臓器に異常をきたします。特に、小型犬は心臓も小さいので、少数寄生でも重い障害を起こします。
                
               
《フィラリアの発育環》
     ミクロフィラリア        
 蚊がフィラリア感染犬から吸血するとミクロフィラリアと呼ばれる子虫が蚊の体内に取り込まれます。このミクロフィラリアは蚊の体内で成熟し感染力のある感染幼虫になると、吸血の際に新しい犬へと侵入します。感染後100日ほどで心臓や、肺の細い動脈へと移動します。そして、感染から6ヶ月ほど過ぎると、雌のフィラリア成虫がミクロフィラリアを産出するようになります。
                
 《フィラリア症の症状》
             
こんな症状に注意してください。
@のどに何か詰まったものを出そうとするような咳をする
A食欲がなくなり痩せてくる。
B散歩に行きたがらない。少し歩くとすぐ息が上がる。
また、次のような症状が出たら要注意です。
@お腹が異常に膨れてきた(腹水)
A口、目などの粘膜が白い(貧血)
B赤レンガ色の尿が出る(血色素尿)
   
 《検査》
 夏を越したワンちゃんでは、予防を開始する前に必ず検査を受ける必要があります。予防薬には予防効果のほかに血液中のミクロフィラリアを駆除する作用もあるので、運悪くフィラリアに感染していた場合、ショックを起こして死亡させてしまう場合もあります。
 検査は10分程度と簡単に済みますので、検査を実施してから予防を始めるようにしてください。 
《予防》
 毎月1回お薬を飲むことで予防ができます。この予防薬は、蚊の吸血で侵入した感染幼虫が心臓にたどり着くまでに、完全に駆除するというものです。
 予防期間は、蚊からの感染が始まって1ヵ月後から、感染が終わって1ヵ月後まで。途中で投薬をやめてしまったり、1ヶ月でも忘れたりしては、せっかくの投薬もムダになりかねません。
 あなたの愛犬を守ってあげられるのはあなただけだということを忘れないでくださいね。
《治療》
 不幸にもあなたの愛犬がフィラリアに感染してしまった場合、治療が必要になってきます。しかし、フィラリア症の治療には駆虫薬の副作用や、手術前の全身状態の悪さなどから多くのリスクを伴う場合が多く、完治が望めないばかりか、死亡させてしまうこともあります。
 フィラリア症は予防が最重要だということを心に銘じておいてください。

 
                        


小型犬の膝蓋骨内方脱臼


犬の膝蓋骨脱臼
両側の内方脱臼
(リンクあり)



犬の膝蓋骨脱臼
手術後(正面)
(リンクあり)



犬の膝蓋骨脱臼
手術後(横)
(リンクあり)
 小型犬、特にトイ・プードル、ポメラニアンヨークシャー・テリアチワワ、を飼ってらっしゃる飼い主さんに対するコラムです。
 ワンちゃんの膝(ひざ)の前方をつまんで足を曲げたり伸ばしたりしてみてください。その時に膝の部分でカクン、カクンと違和感があったり、異音がするということはありませんか?
もし、そのような現象があるようでしたら、この病気の疑いがあります。
 
 膝蓋骨(しつがいこつ;ひざの前方にある皿状の骨)脱臼とは、膝蓋骨が正常な位置より内側あるいは外側に転位した状態で、小型犬では内側(内方)への脱臼が高頻度に認められます。
 原因には遺伝的な要因の強い先天性と、打撲や落下などによる外傷あるいは栄養障害による後天性のものがあります。
 軽症で無症状なものから常に跛行(びっこ)をするものまでありますが、寝ていた後や歩き出す前などに後ろ足を上げて3本足で歩いたり、びっこの後に足を伸ばして自分で外れた関節を治して歩き出すワンちゃんもいます。 また、外傷性のものでは激しい痛みと腫れを伴います。
 
 診断は飼い主さんからの主訴や触診、更にX線検査で脱臼の状態や骨の変形を評価することによって下されます。
 獣医学的には脱臼の程度や骨の変形からグレードT〜Wに分類されます。特に、先天性の場合、脱臼していても痛みがなく、気づかれにくい病気ですが、一般的にグレードV以上は手術の適応となります。また、進行性のものですので、1歳未満でグレードU以上であれば手術の適応となります。
 
 外科手術にはグレードによって様々な術式が組み合わせて用いられます。整形外科の手術のため、厳密な無菌操作が必要となります。手術実施後は、安静にし、しばらくしたらリハビリテーションを開始します。このリハビリを行わないと、筋肉が萎縮していつまでたっても足を使わないで歩くようになってしまいます。

 軽症の場合や手術をしたワンちゃんでは、生活環境に気を配ってあげることが必要です。床などは滑りにくいものにして、足の裏の毛が伸びたら滑らないように短く刈ります。また、高い場所からのジャンプも可能な限りさせないようにします。
 
 軽症と思っていても、老化とともに関節炎を起こしたり、前十字靭帯などの断裂を起こして、歩行に問題が生じる可能性があります。疑いのあるワンちゃんを飼っていらっしゃるようでしたら、一度獣医師にご相談ください。ワクチン接種などの健康診断時にでも比較的簡単に発見できますので。
 



子宮蓄膿症


子宮蓄膿症の子宮
摘出した子宮


子宮蓄膿症の子宮
貯留していた膿汁
 
 避妊手術を受けていない老齢の雌のワンちゃんで発生率の高い病気に子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)というものがあります。
 子宮蓄膿症とは子宮内に膿汁が貯留する疾患で、気づかず放置すれば死に至る可能性も高い大変重要な病気です。
 この病気は発情終了後の2〜3ヶ月に発生することが多く、妊娠しているはずもないのに、お腹が膨らんできたり、陰部が腫れたりします。また、陰部からクリーム色〜茶褐色の分泌物が出ることもよくあります。一般的に、元気・食欲が低下し、多飲(水を異常に飲む)・多尿(排尿が多くなる)がみられます。
 病状の進行の緩やかな慢性経過をたどるものでは、飼い主さんの発見が遅れることもありますので注意が必要です。
《診断》
膿が充満した子宮は、X線検査や超音波診断で診断が可能です。
《治療》
 致死的な経過をたどる可能性も高く、早期に卵巣子宮摘出術(手技は避妊手術とほとんど同じです)を実施することが肝要です。
 若齢で、どうしても子犬をとりたい場合は、症状が軽度であれば内科療法も選択肢の一つになりますが、治療の成功率は低めで、副作用が日常的にみられ、再発率は3年間で80%近いと報告されています。
 


乳腺腫瘍





犬の乳腺腫瘍
多発した乳腺腫瘍
(リンクあり)




犬の乳腺腫瘍
巨大な乳腺腫瘍
(リンクあり)
 
 
乳腺腫瘍は老齢の雌犬に頻発する腫瘍です。犬では他の動物に比べ非常に高率に認められ、発生率はなんと雌犬の25%(4頭に1頭)との統計もあります(1994、1995年)。
 これらの約半数は悪性腫瘍(ガン)に分類され、再発や他臓器(主にリンパ節と肺)への転移も多い疾病です。

 この腫瘍の原因として、環境的、遺伝学的要因が関与しているといわれていますが、ホルモン的影響が最も強く関係しています。
 ワンちゃんではエストロジェン、プロジェステロン、成長ホルモン、プロラクチンというホルモンが影響することがわかっていますが、この中でもエストロジェン(卵胞ホルモン)に対する感受性が、乳腺腫瘍の40〜60%にあることが知られています。
 多くの飼い主さんが御周知のように、乳腺腫瘍の予防には避妊手術が有効なのですが、これには卵巣から分泌されるエストロジェンが強く関与していることが理由にあるのです。
 しかし、この避妊による予防効果は、発情を迎えるたびに低下し、発情を4回あるいは2.5歳を越えると無くなってしまいます。
 
 乳腺腫瘍の治療は、外科的摘出が最善の手段ですが、他の腫瘍同様に早期発見・早期治療が原則です。
 乳腺のしこりはお腹を撫でたりした時に比較的簡単に発見できますが、多くの飼い主さんが大きくなるまであまり気にせず放置してしまう傾向にあります。
 ところが、悪性乳腺腫瘍(乳腺ガン)の手術後の予後判定として、手術時の腫瘍の大きさが重要視されており、3cm以下でも2年後の再発率は35%、3cm以上だとなんと80%に再発が見られます。
 「年寄りだから手術がかわいそうで」と、子供の頭大にまで巨大化した乳腺腫瘍をぶら下げたワンちゃんを連れてくる飼い主さんがいます。中には皮膚が破けてウジが湧き、ひどい悪臭を放った状態でやっと連れてくる方もいます。いったいどちらがかわいそうなのでしょうか?
 
 犬の乳腺は胸部から下腹部まで5〜7対ありますが、同一の乳腺に複数の異なった種類の腫瘍が発生することもあり、良性あるいは悪性(ガン)の判定は、病理検査に出さなければわかりません。先述のように悪性の場合再発や転移が多い腫瘍なので『小さくてほとんど大きさが変わらないから良性』などと自己判断せずに小さくても早期に治療することを考えましょう。



犬の慢性腎不全










腎臓の位置









腎臓病用療法食
 
 あなたのワンちゃん、こんな症状はありませんか?

◆お水を異常に飲みたがる。
◆トイレに行く回数が増えた。
◆吐くことが多い。
◆最近食欲がなくやせてきた。
◆息がくさい。
   
 
腎臓は、血液中の老廃物をろ過・除去して尿を作り、体内の水分調節をする機能を持っています。慢性腎不全は、腎臓のろ過(血液をきれいにする)機能が衰えてしまう高齢犬の抱える最も一般的な病気の一つです。
 
腎臓は肝臓と並んで『沈黙の臓器』と言われており、正常な腎臓機能の75%が失われないと、症状が現れません。 逆に言うと症状が現れたころには腎臓がかなりダメージを受けている状態といえます。肝臓と違って、腎臓には自己再生能力がありません。壊れた腎臓は再び元気になることはないのです。病院での血液検査や尿検査での腎機能検査で早期発見することができます。

 治療の大原則としては、完治が望めない病気だけに、病気の進行を少しでも遅らせることにあります。
 病院に連れてこられたころのワンちゃんの多くは脱水と、尿毒症のため非常に消耗した状態になっています。また、重度の貧血を起こしている場合もあります。
 初期の治療としては、点滴をしての脱水の改善と、尿を作らせて尿毒素を排泄させます。
 状態が落ち着いた後は、飼い主さんとの連帯が必要となってきます。
腎不全の進行度合いにより
@腎不全用療法食の給餌。
A尿毒素吸着剤の投薬。
B定期的な腎機能のチェック。
C皮下点滴による水分補給(自宅での点滴も可能)。
などを行っていきます。

 特に、初期の治療として@食事療法が治療成功の重要なキーポイントとなります。
 適切なホームケアができれば、慢性腎不全の状態でもワンちゃんにとって快適な生活を送らせることができます。



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