<秋のある夜の綾波家でのこと・・・・・>
おつきさま.
まんまるおつきさま.
ベランダからみえるおつきさま.
しろいおつきさま.
おかあさんが「今夜は特別の月夜だから」
といって,だいどころでおだんごをつくっている.
なにがとくべつなの?
おとうさんが「今夜は蒼い月だね」
といって,おさけをのんでいる.
しろいのにどうして“あおい”っていうの?
おつきさま.
きょうはまんまるだけど,
かたちがかわっていくおつきさま.
どうしておつきさまはかたちがかわるの?
おとうさんにきいたらちょっとこまったかおをしてから
「太陽と月と地球があって・・・・・」
といってわたしにおはなしをはじめたの.
でも,おはなし,むずかしくてわからなかったの.
わからなくて「・・・ごめんなさい.わかんない.」っていったら,
「いいんだよ.今は.もう少しレイが大きくなったらまた話すから.」
おとうさん,わらいながらわたしにはなしたの.
・・・・・・・・・
おとうさんのおはなし,はやくわかるようになりたいの.
おつきさま.
そらにうかんでいるおつきさま.
うさぎさんがすんでいるおつきさま.
かぐやひめがすんでいるおつきさま.
つきのみやこはどんなとこ?
おかあさんにきいたらちょっとこまったかおをしてから
「そうね・・・私にはもう見えないけど・・・・・」
といってそれからわたしにめをとじさせたの.
「思い浮かべてみて.レイ.月の都はどんな感じ?」
・・・・・・・・・
うさぎさんがいて,おもちをついてるの.
かぐやひめさんがおじいさん,
おばあさんのことをおもいだしてるの.
みやこのひとたちがうたをうたってるの.
できたおもちをみんなでたべてるの.
・・・・・・・・・
「・・・私に話してくれる?レイ.」
「うん・・・」
つぶっためをあけたらおかあさん,わたしにきいてきたの.
わたしがはなしたらおかあさん,
「・・・それが答えよ.」
といってにこっとわらったの.
それからお母さん,
「大きくなったら,分からなくなってしまうものなの.」
とわたしにはなしたの.
・・・・・・・・・
おかあさんのおはなし,なんだかちょっとさびしいの.
「レイ.お団子,できたわよー.手を洗ってきなさーい.」
おかあさんのこえ.
おかあさんのつくったおだんご,たのしみ.
「早くしないと,先に食べちゃうぞー.レイ.」
おとうさんのこえ.
まって・・・わたしもおだんご,たくさんたべるの.
(おしまい)