Bond's Lab
 
 
 
 
インピーダンス測定の実験

実験編A:WaveSpectraによる定電圧駆動測定システム

測定の仕込みとセッティング

実験編@を応用して、今度は定電圧駆動の実験をします。やり方は実験編@と大体同じですが、回路は異なります。やってみようという人は、シャント抵抗Rを入れる位置に注意してください。シャント抵抗Rは、0.1Ω、1Ω、10Ω、45Ωの4通りで実験しました。

レベル調整やWaveSpectraの設定方法については、実験編@を参考にしてください。やはり 20 Hzにおいてスピーカーの駆動電圧が1.0 Vとなるよう、アンプのボリュームを調整しました。シャント抵抗Rが0.1Ωのときはさすがにライン入力では足らず、マイク入力を使いました。逆にシャン ト抵抗Rが45Ωのときはレベルが大きすぎたので、★印のところに1 KΩをかます必要がありました。


シャント抵抗Rが0.1Ωでの測定結果

測定グラフ

実験編@と同じスピーカーJBL2213Hを測定しました。シャント抵抗Rは0.1Ω。測定電圧が非 常に低いので、PCへの入力はマイク端子を使いました。何か変な形のグラフですが、定電圧駆動の場合、インピーダンスは入力電圧に反比例するので、上下逆 さまのグラフになります。縦軸は、基準抵抗20Ωを測定したときに-20dBとなるよう調整してあります。

Fs付近の拡大図

拡大してみるとグラフが結構ギザギザしているのが分かると思います。シーンと静かな場所であってもな かなかグラフは安定しません。0.1Ωともなるとかなりシビアですね。Fsは20 Hzくらいでしょうか。そのときのインピーダンスですが、グラフを-37 dBと読むと、-20 dBより17 dBのアップの7.08倍。従って、20×7.08=141.6Ωと出ましたが、グラフが荒れているので正確な読み取りは困難でした。

低域のレベル低下補正

基準抵抗20Ωを測定したグラフです。読み取りは難しいですが、Fs付近で1 dBのレベル低下とみなしました。この分インピーダンスが高めに出ていると考えてこれを補正すると、1 dB = 1.122倍なので、141.6÷1.122=126.2Ωとなります。たった1 dBのレベル低下が15.4Ωの差異につながるわけですね。

シャント抵抗による誤差

小さいながらシャント抵抗が入っているのでこれによる誤差が多少出ることは前述のとおりです。インピーダンスを Zsp = R × (Vout - VR) / VR と計算すればこの誤差を帳消しにできることも前述の通り。レベル低下補正も合わせてやってみると、126.7Ωとなりました。レベル低下補正後の値とたった0.5Ωしかありません。シャント抵抗が0.1Ωだと理想的な定電圧駆動にかなり近く、これによる誤差はほとんどないと考えていいようです。

まとめ

シャント抵抗0.1Ωの測定結果まとめます。表示が乱れ読み取りが正確にできないので、測定値はぜんぶ「約」です。

シャント抵抗が非常に小さいので、かなり理想状態に近いです。実際にやってみると指示値が不安定で神経 を使いますが、インピーダンスカーブはかなりいい形をしている感じがします。使う機材のグレードをもう少し上げ、ケーブルの抵抗分とかも考慮すれば、もっ といい測定ができるように思います。

シャント抵抗Rが1Ωでの測定結果

測定グラフ

同様に今度はシャント抵抗1Ωで実験です。1Ω程度になると入力はライン入力でOKでした。縦軸の調整は、先ほどと同様に、基準抵抗20Ωを測定したときに-20 dBを指示するようにしました。

Fs付近の拡大図

0.1Ωと比べるとだいぶ安定しています。Fsはほぼ20Hz。そこでのインピーダンスは、指示値を -37.68 dBと読むと、-20 dBより17.68dBのアップの7.66倍。従って、20×7.66=153.2Ωとなりました。0.1Ωのときと比べると指示値の読み取りがたった 0.7dBの差なのに、インピーダンスは10Ω大きくなる計算になります。けっこう微妙です。


低域のレベル低下補正

基準抵抗20Ωを測定したグラフです。アンプ等のF特によってFs付近で -1.23 dB のレベル低下。この分インピーダンスが高めに観測されたと考えてこれを補正すると、153.2÷1.152=133.0Ωとなります。初めの測定値と 20.2Ωの差異です。うちにあった何の変哲もない機材でやるとこの程度なんですかね〜。


シャント抵抗による誤差

定電圧駆動ではシャント抵抗による誤差のあることは前述のとおりです。インピーダンスを Zsp = R × (Vout - VR) / VR と計算すればこの誤差のない値が得られるのも前述のとおり。レベル低下補正も合わせてやると139.0Ωとなり、レベル低下補正後との差異は6Ωです。まぁ許せる範囲ですかね。

まとめ

シャント抵抗1Ωの測定結果まとめます。

比較的安定もよく、わりと定電圧駆動の理想に近いため誤差もそう多くはなさそうです。割り切って使うならけっこうリーズナブルのように思います。

シャント抵抗Rが10Ωでの測定結果

測定グラフ

今度はシャント抵抗を10Ωにします。入力はライン入力でOK。縦軸の調整は0.1Ωや1Ωと同様です。シャント抵抗が大きくなるほどグラフが潰れた形になってきました。


Fs付近の拡大図

グラフは1Ωよりもさらに安定していて、細かく読み取れます。Fsは20.3 Hz。そこでのインピーダンスは、指示値が-35.63 dBなので-20 dBより16.63 dBのアップの6.046倍、よって20×6.046=120.9Ω。1Ωよりだいぶ低めに出ていますね。


低域のレベル低下補正

基準抵抗20Ωを測定したグラフです。アンプ等のF特によるレベル低下がFs付近で-1.26 dB、この分を補正すれば、120.9÷1.156=104.6Ω。


シャント抵抗による誤差

シャント抵抗が10Ωともなるとやはり誤差は大きくなりますね。先ほどと同じように再計算すると147.5Ωとなり、低域補正後の値に対して差異が42.9Ωと出ました。無視できないレベルになってきてますね。

まとめ

シャント抵抗10Ωの測定結果まとめます。

グラフの形もだいぶ変わってきているのが分かると思います。シャント抵抗によって測定結果はだいぶ影響を受けますね。ただ、Fsはあまり変わらないんですね。

シャント抵抗Rが45Ωでの測定結果

測定グラフ

最後はシャント抵抗を45Ωまで大きくします。ライン入力ではレベルが大きすぎるため、間に1 KΩをかます必要がありました。グラフがだいぶ潰れ、のっぺりしてしまいました。一目見て明らかに変です。スケールはほかと同じです。


Fs付近の拡大図

Fsは20.5 Hz。指示値は-32.79 dBなので、インピーダンスは20×4.36=87.2Ω。100Ωを切ってしまいました。


低域のレベル低下補正

基準抵抗20Ωを測定したグラフです。アンプ等のF特によるレベル低下がFs付近で -1.19 dB。この分を補正すると87.2÷1.147=76.0Ωとなりました。初めの測定値との差異は11.2Ωです。


シャント抵抗による誤差

シャント抵抗が45Ωともなると非常に誤差が大きいですね。低域レベル補正したうえでこの誤差を補正してみると201.4Ω。低域補正後との差異が125.4Ωもあり、補正前の観測値はまったく信用できないことがわかります。

まとめ

シャント抵抗45Ωの測定結果まとめます。

45Ωというのはちょっとやりすぎだったでしょうか。描かれたインピーダンスカーブも「美しくなく」、実用とは程遠い感じです。ただ、Fsはほとんど変動しないんですね。