南フランス・ロヤ川流域をゆく その2
スケッチと文/渡邉義孝
   
     昨日のtendeからの帰路、車窓より一瞬見えた村の印象が強烈で、今日は独りでRoya川を走る気動車に乗ってしまった。
 Niceから一時間、Breilの村はその名の通りせき止められて川幅を拡げたRoya川の水面に、その褐色の甍の波を映し、峨々たる岩山を背にして静かに佇んでいた。

ミBreil sur Royaの全景
 13 Mar.1998
 

   
     この村の中心、サンタマリア聖堂の、巨大な船を思わせる躯体を描くために、鉄路のバラストの上を行きつ戻りつ。まるでスイッチバックのように鋭角に東に分岐したレールをたどればイタリア国境までわずかだ。
 古い石積みの民家も、新しいコテージも、どれも風景になじんでいる。オリーブの林が続いている。
 結局、川辺まで降りてきた。白鳥の遊ぶLa Lec(人造湖)のほとりでスケッチを始めよう。

ミSanta Maria in Albis
 13 Mar.1998
 

   
     列車はぐんぐんと高度を下げNiceに近づく。西の空に鮮やかな夕焼けが現れた。
 カフェで買った絵はがきを見ると、Roya川沿いには他にも美しい村がいくつもあるらしい。訪ねる度に「宿題」が増えてゆく。幸い日本と違い、欧州では数年の内にまちなみが一変するということはあるまい。この小さな「宿題」は、また日本でゆっくりとあたためることにしよう。

 今日、山の上の教会への道でハーブの花を摘んだ。ニースに着くまで、この香りが続いてくれるだろうか。

ミ帰りの列車で逢った男
 13 Mar.1998
 


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