千葉県に建つ鉄骨造三階建ての住宅。1階にあるキッチンのガスコンロの故障からスタート。暗くて狭い老朽化したキッチンをなんとかしたい、といったんはシステムキッチンのモデルルームで既製品を選んだそうです。でも、希望を入れていくと値段はどんどんアップ。そこで、知り合いの大工さんに相談することに……。
「それなら、無垢の木で、“本物のキッチン”を作ってみたら? 試しに、知り合いの設計者の自宅を訪ねてみよう」
ということで、風組・渡邉設計室(習志野の家)にいらしたのが、最初の出会いでした。
習志野の家のキッチンを作ってくださった、信州・高遠の家具工房「木のすず」
にお施主さんとともに見学に行ったのが2007年9月のこと。
IHヒーターや勝手の良い引き出し金具、丁番など、機能性の追求が実は手づくりキッチンでもほとんど実現すること、メーカー品のような圧縮木片やステープル(大型ホッチキス)で箱をつくるのではなく、乾燥させた地場産の木材で丁寧に組み上げる工程をご覧になって、「無垢の木のキッチンをつくる」と決意されました。
伊那谷で育ったクリ材は、キッチンだけでなく腰羽目板や枠材としてもふんだんに使用し、ふた間ぶち抜きのダイニングキッチンは、一体感のあるナチュラルな空間として生まれ変わりました。