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ロフトの床を吹抜け部分に張りだすために新しい梁を渡す作業。
2本の横架材の隙間を押し広げ、尺梁(高さ300ミリ=1尺の梁)を挿入する。「押し広げ」というのはまさに字の如くで、材の間に油圧ジャッキを噛ませて力づくで押し上げるのである。
脚立の上に立ち、ジャッキを上げていく役目をしていた私は、ミシッ、ピキッという音を耳にしつつも、「300ミリ以上の隙間を開ける」ことに情熱を燃やしてなおもジャッキのテコを押し続けた。
次の瞬間、パッとほこりが舞い上がったかと思うとバキッと激しい音がして、上げていた梁が直交する頭繋ぎの根元で折れてしまったのだ。
切断箇所の脇には母屋束があって、まだ瓦屋根の荷重がそのままかかっているのだから強い剪断力が働いたわけだが、もう少し注意深くやるべきだった……。
大工の吉野さんが「大丈夫ですよ、直下にごつい梁がきているんですから。最初から切っちゃえばよかったくらいですよ」とこともなげに一言。つまり「ごつい梁」から適当に束を立てて、折れてしまった梁に代わる材を支えればいいというわけだ。
事実、すぐに吉野さんは電気ノコギリであっけなく切断。屋根を支持する部分の補強をして一件落着とあいなった。
「これが他の施主の家でなくてよかった……」と無責任な安堵感(?)を感じつつも、「なるほどこの自在さが融通無碍な在来構造の神髄なんだ」との思いを強くする。特に梁組みにおいてはそうだ。邪魔ならば柱を抜く、梁を増す、レベルをずらす。やばいと思えば枕(梁)を噛まし、折れてしまえば替えればよい。こんな自由さは、RC(鉄筋コンクリート)造やツーバイフォー工法などでは望むべくもないだろう。改めて在来軸組構法の有利さをしみじみと感じた瞬間だった。
ただし、こういう面倒な作業を厭わない職人の存在が、前提だが。
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