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今朝の現場はいい香り。ヒノキチオールに充ちている。
大工の吉野さんは昨日から「棟木を支持する束梁」の作成を進めている。この束と小梁がともにヒノキなので、その鉋屑からえもいわれぬ芳香が立ち上っているというわけだ。
木造在来構法の現場でやはり一番印象的なのはこのヒノキの香り。そしてヒバ。関東で採れる水に強い木・サワラもかぐわしい。
現場の匂い、で思い出すのは、解体工事前に行った床下の実測調査。台所の床下収納庫の蓋をあけて床下に潜り込み、既存の基礎や土台の状況を調べた時のことだ。
腹を土にこすりながら(38年前の基礎は線状の立上りコンクリートのみの布基礎で、面としての土間コンクリートはない)進んでいくとやがて鼻にツンとくる刺激臭が。20年ほど前に掘火燵等を入れた改装の時に塗った防蟻防腐剤の匂いが、いまだに生々しく立ちこめているのである。これは……どういうことなのか。それほど強力な薬品であり木部からの蒸散が少ないのか、あるいは持続力が良い、ということか。小さな換気口しか開いていないゆえの換気量の不足が原因か。
這い回るうちに吐き気をもよおし、中断して地上へ。そのまま疲れを感じて寝込んでしまった。私自身は特に過敏なわけではないのに。
昨年施行された改正建築基準法のシックハウス防止規定のひとつの柱が「有機燐系殺虫剤クロルピリホスの使用禁止」であった。わが家の足下に使われていたのがこのクロルピリホスだったかどうかはわからないが、これは私にとっての初めての「シックハウス体験」となった。シックハウスは当事者でなければその深刻さを理解することは難しい。その意味でこれは貴重な経験であったかもしれない。
で、その匂いはどうなったか。
消えたのである。あっけなく。
もちろん解体を始めて床がなくなり、床下が露出した時はひどくなった。しかしその後、急速に弱まり、一ヶ月近くでまったく気にならなくなった。それはこの暑さが功を奏したということだろう。
シックハウスの事後対策のひとつにベークアウトという手法がある。室内を高温で長時間加熱して揮発性有機化合物(VOC)を発散させ、換気により追いだそうというもの。VOCは気温上昇によって発散量が増大するという性質を逆手にとったやり方だが、今年の記録的な猛暑が、まさに自然のベークアウトを実現させてくれたのではないか。
そして今は森林浴よろしくヒノキチオールが現場を包む。
できるだけ新建材を使わないで今回は家を直したい。特に化学製品は避けたいと思う。次はどんな匂いに出会えるだろう。
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▲改修前の基礎の様子。焦げ茶色に塗られているのが土台。塗ってあるのは防蟻防腐塗料。

▲棟木を支える束を外してその下にブリッジをかけるため、新たに嵌め込む「棟木支持束梁」。これがヒノキの芳香を発散させている。

▲ベイマツはヤニが出る。節の近くにたいていヤニダマリがある。せめて工事中にいっぱい出て!という気持ち。あとでシンナーでふき取る。
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