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●伊那の材木市場
信州の伊那谷を望む高遠町に、「木のすず」という家具屋さんがある。
地場の材木を使って、ひとつひとつオーダーでつくる家具は、最近はやりの木質ボードや合板でできているシステムキッチンの対極にあるといえる。今回、習志野の家のキッチンや丸いテーブルの作製を「木のすず」の鈴木正巳さんにお願いすることにしているが、その鈴木さんから伊那市沢渡(さわんど)での原木市の貴重な写真が送られてきたのでご紹介したい。
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材木の供給の実態は、現代の日本の建築の問題を如実に表しているといえる。
文字通り材木の集積場だったはずの東京湾の新木場は、「かつて73社あった製材工場が今ではわずか6軒」という状況だという(※)。輸入材が現地で製材されてから運ばれるので、原木市場としての新木場の位置は急速に低下していった。また、流通経路の複雑化で、「○○産」のラベル自体の信用性も揺らいでいる。私もかつて或る材木屋さんから「北海道のタモ材っていうのは、北海道を通って出荷された、ってことですから」と言われたことがある。暗にロシア産を匂わせていたのだ。素性の分からない木、或いは遠い外国でカットされて防腐剤・防カビ剤の異臭とともに運ばれて来る木材が主流となってしまった今の日本で、「素性のわかる木」を選ぶことはけっして簡単なことではない。
そんな中で鈴木さんが紹介してくださったのが沢渡の原木市。以前の打ち合わせの時に「今度行ったときに写真を撮って来てあげますよ」と言われ、ぜひにとお願いしていたのだ。
大消費地でないがゆえにわざわざ輸入材を持ち込むことがない。また丸太であるために輸送コストがかかるのでこれまた遠方から運ぶ意味がない。そんな理由で、南信州の地元の材だけが集まってくる市場となっている。
鈴木さんもしょっちゅうこの市に足を運び、自分の目と手で丸太を選び入札して購入するという。そして製材し乾燥させてじっくり時間をかけて家具にする。これまで長野県内での仕事が主だったというから、まさに地産地消の生産システムがここにあるということであろう。
(※どんじゃら探検隊「再生される日本の森を訪ねて」より。詳しくはこちらへ)
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