★ 1996/11/09 船釣り

鴨居の海の


11月9日、午後。三浦半島、鴨居沖。薄曇り。シャクリ仕立て船。

ゴンゴン! アタリだ!
あわせる!リールを巻く。

ギューン!! 突っ込んだ!

リールを巻く! 巻けない!!

重い・・・。また突っ込んだ!
糸がどんどん出る。ドラグがジージーとうなる。

「あんまり出すな! 持ちこたえろ!」
船長が叫ぶ。
「無理に巻くな!! 泳がせろ!」
どっちだ・・・?(T_T)

また激しく底へ向かって突っ込む!ガンガンと突っ込む!
海中と船上で引っ張り合う。

あっ!軽くなった。 バレたか!?
リールを巻く・・・。
ギュイーン!! グッグーン! また突っ込んだー!!
ものすごい力だ!

竿が限界まで曲がっている。

「無理しないで! 巻ける時に巻いて!」
と〜るさんがタモを握りながら興奮して叫ぶ。
tamakiさんも心配そうに、何か言ってくれたが、もう耳に入らない。
何も聞こえない。糸の先を、海の中を見つめる。からだがキシむ。

糸がジージー出る。ちょっと相手の力が弱まった隙に必死で巻く。
会いたい・・・。コイツに会いたい!

もう何分たったんだろう・・・。
なんて強いヤツなんだ・・・。海の筋肉みたいだ。

からだ全体で全力で竿をささえる。
何度かのやり取りの末、少しずつ上がってきた。
もうじきコイツに会える。

うっ! また突っ込んだ!
リールのハンドルを握って持ちこたえる。

と、その時!

フッと軽くなった・・・・。

終わった・・・。

テンヤ仕掛の糸が喰いちぎられていた。

「4Kgはあったな・・・」
船長が残念そうに、やさしく微笑みながら言った。
「ごめんなさい。」
なぜか、僕は謝った。そして微笑んだ。

南西の風が強くなってきて、おだやかな晩秋の一日が暮れようとしていた。



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