★ 1997/07/21 船釣り
月下メバル
三浦半島、大津漁港から18時に出た夜メバル船は静かに凪いだ東京湾海上に
浮かんでいる。
真っ黒な海から見える岸はきれいな光の帯。
遠くに横浜の花火大会の大輪が小さくポッ、ポッ、と見える。
ほぼ満月の光はとてもまぶしく、海に黄金色の道を作っている。
ポツポツとメバルが上がる。
ちょっと小さいな。リリースすべきか塩焼き、空揚げになってもらうか迷う。
気持ちのいい夏の夜。
昼間の国道134号線(湘南海岸沿い)は大渋滞で、茅ヶ崎から大津までの
大して長くない道のりに3時間もかかった。
イライラしながら車中から眺めた浜辺には幸せそうな家族連れや、有り余るパワーを
持て余して燃焼させている若い男と女、商魂たくましい海の家のサウンドで
南の島のカーニバルのようだった。
僕にも夏が待ち遠しい時代があった。
梅雨明けとともに浜へ、島へ飛び出し、むさぼるように短い季節を突き抜けたものだ。
おっ! 大きな引きだ!
柔らかいルアーロッドで感じるメバルの引きは格別だ。
静かな海から引き上げたメバルは28Cm。刺身で旨そうだ。
今度は真下へ突っ込んで根に潜ろうとするような引き。
リールを巻き上げると、なかなか型の良いカサゴ。
久しぶりに煮付けが楽しめそうだ。
仕事に忙殺された毎日では、季節の変わり目はワイシャツにしみこむ汗の量でしか
分からない。
今日もギリギリの時間の合間で、無理矢理 釣りに来たのだ。
何か大切な用件をキャンセルしてでも、釣りに行かなくてはならない。
そんな時がある。
やっぱり来てよかった。
仲間の笑顔が、潮の香りが、のんびりした時間が、僕の心のギザギザを削り取って
くれる。
やがてアタリが遠のき、船上の釣り人たちがけだるい満足感に包まれだした頃、
船長が帰航を告げた。
昼の喧噪と暑さから逃れた、おだやかで爽やかな夜の釣り船は波をたてることもなく
ゆっくりと港へ滑って行った。
釣りの島の地図へ戻る
海へ戻る