ぐぁー!!さすがの北海道も暑いのだ。
毎年この時期は、厨房で汗だくで仕事をしていたのだが、なぜかそれよりも暑く感じる。
現在、俺は西野にある実家にいるのだが、この部屋は、夏場はまるでバンコク並みに暑いのである。
そういえば今思い出したが、こういうことがあった。
ある日、自宅に帰った俺が前の日に作った鍋物を食おうとしたのだが、どうもその外見が普通ではないのである。
微生物の働きにより、人間がおいしく食える状態になることを発酵、と言い、食えなくなる状態のことを腐敗、というのであるが
これは誰がどう見ても、もしやミミズクに聞いたとしても明らかに「腐敗です」と言えるような状態だった。
「うげげ」
と思った俺は即座にフタを閉め、今自分が目撃したものを記憶から消した。
悪いことを先送りにするのが、残念ながら今の日本国のリアルな部分なのである。
そして、次に俺は、それよりも3日前に作ったスープの入ったホーロー4インチ片手鍋のフタに手をやり、3秒間の待機の後、
一気にフタをあけた。
キミらは飛行機の窓から下界を見下ろしたことがあるかい?あんな感じだ。
腐界というのは存在するのだ。
こう、その、なんというか、一面の白いカビがぽぉーっと育ち、元はスープだったらしいものが見え隠れする。
急いで俺はフタを閉めた。そして、20分位迷った挙句、今日はこっちだけ洗おう、と思ったのである。
両方洗うなんて、今の俺には耐えられない。
ホラ、こんな風に俺は微妙にデリケートなんである。
彼の名前をはじめて見たのは、確か図書館だったと思う。
今も時々図書館へは行くのだが、仕事がらみの調べ事なので、経営や広告、調理や素材に関するシマをうろちょろと
しているのだが、その時は単に本を読みにちょくちょく通っていた。
そうすると、大体の行動パターンというものが、ひとりでに出来上がる。
まず、アジアの文化についての本を読み、ノンフィクション・ルポもののシマに行き、小説コーナーへと進む。
すると、目に入ってきたのだ、「テロリストのパラソル」。
この人の書く本は、みんな不思議に気を惹かれる題名がついている。
あらすじは書かない。読めばわかるのだ。そして、きっと「これは面白い」と感じる人が多いのではないかと思う。
今、検索して驚いたのだが、「史上初めて江戸川乱歩賞、直木賞同時受賞作」と書いてあった。そうだったのか、凄い。
この本を読んだだけで、あ、藤原伊織は「買い」だな、と俺は思ったのである。
やはりそれは正解で、どの著書をとってしても面白い。
いつも思うことだが、このような物語をつむぎ出す人の頭の中はいったいどうなっているんだろう。
以前に落語家の三遊亭鳳楽さん、京楽さんらが以前働いてた会社で落語をやってくれた(大好きなのである)ことがあり、
ハネた後で飲みに行ったのだが、飲みながらでも「○○とかけて何と解く」などと発想の訓練を常にしていたので、
おぉ、プロってのはすげぇな、と思ったことを思い出した。
俺もこうならねば。
しかし、その理論を推し進めていくと、落語家にとってネタがどんなところからでも探し出せるように、
プロの営業マンは道端の石ころからセールストークを学び、プロである主婦は水を抜きつつあるバスタブのウズから
コロッケの揚げ方の極意をつかみ、俺は俺で、原子力発電所からスパイスの微妙な香りの引き出し方について閃かなければならない。
うぅ、プロとは厳しいものなのだ。