この間、職場のキタ君が仕事中に突然、いててて、と言った。
「どうしたの」
と聞くと、
「ホラ、見てくださいよ。指の先が割れちゃって。これって何なんですかねぇ」
と言うので、
「あぁ、それはね、指の先 ワレ病だよ」
と言ったのだが、まるでウケなかったので、とても残念であった。
ここまで書いたところ、ウチのフジ子が焼きウドンを、どうぞ食べて下せぇ、と捧げもって
きたので、うむ、そこまで言うなら、と喰らいつくことにする。
昔、パプアニューギニアあたりの食人族は、偉大な敵を食すことで自分の中にその強さを
取り入れる、という考えを持っていたようで、だとすると俺はこいつを食ったら焼きウドンに
なってしまうのではないか、という恐れにも似た感情がふと浮かんだが、そうなったらそうなったで
なかなかにグレイトなのかもしれない。
最近、俺のまわりでは、職場の美女1号サキちゃんのせいで「毛」についての話題が花盛り
である。このクソ寒いのに。
毛占い、といサイトがあると聞いたので、俺は早速探しやってみることにする。
こういうのが結構好きなのだ。
結果、俺は「心臓の毛」だそうだ。焼きウドンといい勝負だ。

高校時代のある日、シャツを脱いだ俺は、両の乳首から毛が生えているのを発見した。
む、いつの間に、と思い、とりあえずそれらをハサミをつかって1ダースほど刈り取ったのだが、
その後に捨てようかどうしようか迷っていた。せっかく生えたのにもったいないではないか。
「うーむ」
するとその時、俺の脳裏に閃光の様に素晴らしいアイディアがひらめいた。
そうだ、これをハラダの家に送りつけてやれ。
ハラダとは、「キムラという男」でおなじみの、サッカー部のモテモテ男の事で、俺は彼と
仲良くしていた。
早速俺は、手持ちのボンドの中で最もきたならしく黄色く固まる、ソニ・ボンドという接着剤を使い、
ハガキのウラに、毛どもを丁寧に放射状に貼り付けていった。
やがて、それらがとてもキレイにきたならしくできたので、俺はボールペンで、どうだ、驚いただろう、
と書き、それから少し考えて、Y・Tより、と書いた。
これは共通の友人であったユーコーという奴のイニシャルで、俺は奴に罪をなすりつけてやろう、
と思ったのだ。
そして、トドメにその上から毛が見えなくなるように紙を貼り、近所のポストまでチャリで走っていった。

そのハガキがハラダの手元に届いたのは、彼の一家がテーブルを囲み、食事をしている家族団欒の
真っ最中であった。
「そういえばカズマサ、あんたになんかハガキきてるよ」
彼のハハはそう言い、それを照明にかざし、怪訝そうな顔をして、
「…なんか毛みたいの入ってるよ」
と言った。
ハガキを受け取ったハラダは、何だろう、と思い、貼ってある紙をバリバリとはがすと、そこに
俺が苦労してつくった乳毛のオブジェがモサッと出現した。
「汚い!!速く捨てなさい!!」
彼のハハは大声で叫び、怒り狂って
「誰!?こんなことするのは!?」
「あぁ、いつも家に来る背のでっかい奴よ」
かくして、俺の計画はすべて滞りなく進み、円は閉じたのであった。
ついでに耳毛についても思い出したことがあるので書いてしまえ。
高校時代の音楽の授業中、野球部のサトウという男が俺の席の前に座っていた。
ボウズ刈の頭の両側には、彼の耳が左右に大きく飛び出しており、その耳のウブ毛が窓から
差し込む日差しで金色に輝き、実に美しかった。そこでついつい俺は内ボケットからライターを出し、
誘われるように彼の耳に火をつけてしまった。
シュボッという音と共に一瞬、彼の耳全体が炎に輝いたのであるが、サトウは
「ワーッ!!」
と言って耳を押さえ、消火してしまったので、残念ながらそれはすぐ終わり、そして俺は物凄い目つきで
ニラまれてしまった。
今、ちょうどアチコチで話題になっている17の時のデキゴトである。
そんな奴がオトナになるとこうなるのだ。まいったか。