そんなワケで

そういうワケで結婚してしまったのだ。

もともと結婚願望が希薄な上に、日ごろから自由キママに生きてる俺が結婚する、と
いう事は、俺も驚いたが、周りの人間に関してもかなりの衝撃を与えたようで、結婚の
連絡をした際の友人たちのリアクションは、9分9厘、このようなものであった。
「お、あのさ、俺今度結婚するからな」
「結婚!?う…うそォ!?」
なにですか、それわ。
またある友人の場合はこうだ。
「…結婚する?…てことはお前ら一緒にすむのか?」
「あったりまえじゃん!何言ってんのお前?」
「いや、お前、型にはまらない奴だから」
何なんだキミらは?
俺は昨日、木星にいってきたよ、ではなく、ただ「結婚する」と言ってるだけなのだ。
それがそんなに珍しいことか??うん、めずらしいっス。

そんなワケで準備をはじめた。
どうせなら他の人のやらないことをしよう、しかもあまりカネのかからないように、ということで
我々の頭脳と人脈を最大限に活用し、引き出物のぐい飲みは、東京の,、とある硝子会社の社長に頼み、
その上にかけるサンドブラスト(砂を吹き付けて表面を削り模様を浮き出す技法)は高名な作家で
ある白石ヒサオさん御自らやってくれることになり、それを入れた箱の上に燦然と輝く「のし」は、
「めでたい!」なのであった。
(我々は、共に小樽の有名な硝子工芸店で働いていたのだ)

俺は、こうみえても実はクリスチャンである(しかし、神父様のタバコを盗んだこともある)ので、
結婚式は教会でやることとし、あんなものを着るのは面倒だったのだが高いカネをだしてドレスと
タキシードを借り(そのせいで、当日、家族は皆驚き、今日はセーターではないのか、などと言われた)
、家族の前ではとりあえずマジメにやることにした。
一方、披露宴、というか結婚パーティー飲み会は友人たちのみ招き、ステージ付のレストランバーを
借りた。我々はネパールとベトナムの衣装を着、長々とした挨拶は百害あって一利もないのですべて
割愛し、必要なことはすべてパンフレットにまとめ、カンパイの挨拶が終ると同時に速攻で飲み食いに
突入する作戦をたてた。
その乾杯は、竹田天、という友人に頼んだ。
大抵の場合、そういうときの挨拶は、若輩モノではありますが…や、ハナハダ僭越ではゴザイマスが、
などというのが常套文句だが、俺はいつもそれを聞くたびに
「そんじゃー、てめぇ、引き受けるんじゃねぇ!」
と思ってしまうのだ。
だから、彼に頼んだ。
彼は真の若輩者だ。なんせ5歳児なのだ。いいではないか。
彼の親を通してお願いしたところ、天はしばらく下を向いて考えていたが、10秒後にニヤリと笑って顔を上げ、
「やる」
といったそうである。そして、その2.3日後には、もうすでにステージに出てくるところから練習をしている、
ということだった。さすが、両親がミュージシャンの子供は凄い。
パンフレットには、我々のプロフィールのほか、参加者全員の簡単なプロフィールものせた。
これで、互いに知らない同士でも、我々をダシにして友達になれることだろう。
一方、案内ハガキには「服装自由・ジャージでも可」と書いておいたが、当日が近づいてくるにつれ、
頻繁にあちこちからかかってくる電話で、参加者のあまりのテンションの高さに俺は驚いていた。
どうも皆、トンデもない格好で来るようなのである。
わざわざ貸衣装屋で服を借りる予定者多数。なにをそんなにリキんでおるのだ?
いざ、フタを開けてみると、いるわいるわ、ナゾの怪しい中国人のカネ貸し、シャンソン歌手、シャブの
売人、アイドル等々、人種のルツボ、ニューヨークを多少腐らせたようなアリサマだ。
予定通り、開始から5分足らずで飲み会に入ることが出来た。
竹田天氏の乾杯の挨拶は出色の出来栄えだった。あんな立派なスピーチはいままで聞いたことがない。
きっと、オヤの教育がいいのだろう、と言っておこう。
(このスピーチは、なんとか加工して、このページで聞けるようにしたい)

余興は、弾きがたり、カラテの型と板割(オオウケ)、ケーナやバンド演奏で異常な熱気に包まれ、
その間、俺はずっと酒をガブ飲みしていたので、最後のビンゴ大会あたりから、記憶の糸がぶちばちと
ちぎれかかっており、さらに2次会でもしこたま飲んだので、次の朝7時20分からシゴトに行った俺は
42.195キロを側転で走ったようなボロボロ状態だった。

この場を借りて協力や参加してくれたミナサマにはお礼を申し上げたい。よし、よく働いた。ではなく、
ありがとさんっス。

このような文は、書いた本人しかその面白さはわからないと思うが、一応、記念として載せることにした。
しかし、なんですな、あの「指輪」ってのはいけません。指がきちんと閉まらないのが気に食わん、という
ワケで、はずしております。
最後に、ウチの嫁が、教会の結婚式にて退場の際、ブーケを忘れたことを付け加えておこう。