最近は、おみやげづいている。
こないだ、オケちゃんが東京土産に「あいのり おーせTシャツ」をくれたのだが、今度は、まゆが京都土産だ。
菜の花と筍の漬物。
これが大変美味く、特に筍は気に入り、むしゃむしゃむしゃと食べた。
今まで、特に筍はウマいと感じたことはなかったのだが、齢41にして、筍のウマさを知った。
嵐山光三郎さんの本かなんかで、究極の食い方があったのを思い出した。
それは、朝掘りのタケノコの芯をくりぬき、味噌を詰め、また蓋をして丸焼きにして、風味の移った中の味噌だけ
食う、というものだった。うう、やってみたい。まゆ、Thanks!
と、ここまで書いたところで、腹が減ったので、みそラーメンを作ってくることにする。
ひき肉、タマネギ、にんにく、しょうが、白ゴマ、ほうれんそうのバター炒めなどものせるか。
サンプルでもらったマーラージャンとチリオイルも入れよう。
結構なお味でした。明日の夜はチンジャオロースーにする。
で、ネズミである。
どうでも言い話だが、サザエさんによくネズミは登場してくるのだが、ネヅミという記述になっている。
最後にネズミを見かけたのは、去年の夏である。
駐車場をよたよたと走っていたのを目にしたのだが、幼い頃、草原の水溜りで見たみずすましやゲンゴロウと
同じように、年々、見かける、もしくは気配を感じる事は少なくなってきたように思う。
我が家の風呂場にも出たし、親戚の家に遊びに行ったときは、夜中に天井を走り回っている音を聞いて
驚いたこともある。今では、なかなか聞かない話である。
その日、寝ていた俺は、物を引っかくような、異様な音で目を覚ました。
当時、俺は勤めていた会社を辞め、いつのまにかたまっていた金と、200万ばかりの退職金を手にし、毎日毎日
酒を食らってはパチンコに行く、という、相当能天気な自由生活を、小樽は松が枝町でしていたのである。
この生活は、貯金がなくなるまで一年半ほど続いたが、貯金0になるまで遊んでいたので、その後あわてて仕事を探す
ハメになる。
「誰だ!」
と枕元においてあった木刀をとっさにつかみ、立ち上がったが、すでに音は消え去り、暗闇には家電製品の立てる
かすかな電子音だけがたちこめ、何事もないような雰囲気だ。
俺は電気をつけ、辺りを見回したが特に変わったことはない。
しかし、シンクの下の収納扉を開けると、そこには小さな穴があった。
そう、ネズミである。
扉が閉まっていたため、奴は部屋に出てくることができなかったのである。
ヒサビサにワクワクする出来事だ。
毎日、パチンコに行っては、蕎麦屋で昼酒を飲む毎日。
これはこれで、まったくもって素晴らしいのだが、そこに一滴の刺激が落ちるとこれまた楽しいのである。
次の朝から、俺は、奴を捕まえるためのワナ作りをはじめた。
なんせ無職なのだ。
時間はネズミ達と同じくらいあるのである。
まず、着替えに使っていたプラ製のカゴをワリバシでささえ、エサに食らいつくとカゴがパタリと倒れる、古典的な仕掛けを
作った。
そして、もうひとつ、落とし穴を作った。
低めのごみ箱の上に、バンダナを開いて乗せ、その上にエサを置く。
ネズミがその上に乗り、自らの体重で中に落ちると、バンダナの四隅に結んでいたテグスが、壁、天井のフックを経由し、
最終的に蛍光灯のヒモが引かれ、部屋の電気がつくのである。
自分の考案したワナの、あまりに素晴らしい神経の行き届きぶりに満足し、わざわざネズミが出てきやすいように、シンク下の扉を
開けて寝ることにした。
そして、見事、カゴのワナに奴はかかった。
俺は、部屋で虫を捕まえても、殺さずに外に逃がす人間なので、もちろんネズミは殺すつもりはなかったが、
とりあえず、説教をしてやった。
「キミね、そうやってね、人が寝ている間にこそこそやるのってさ、先生、違うと思うんだな。
もっとさ、自分の人生なんだからさ、堂々と生きてほしいんだ」
などと夜行性の彼に説諭し、
もっと自分の内も外も磨きなさい、などと言って、手近にあった、コロンをかけた。
そうすると、ちょうど人間がするように、両手で頭をかきむしるので、図に乗った俺は、さらに育毛剤、ヘアムースなどをかけた。
そして、カゴの端を少し持ち上げると、すっかり良い匂いになったネズミは脱兎のごとく駆け出し、シンクの穴に逃げた。
俺はすっかり満足し、穴をふさぎ、柑橘系の香り漂う中、ネズミに乾杯したのである。
ありがとう、ネズミ。