タイの首都、バンコクの中華街に、ファランポーン駅(バンコク中央駅)という、体育館のような、カマボコ型の
鉄道の始発駅がある。
俺は、中華街のごちゃごちゃといろんなエキスが混ざり合った、アヤシゲな、胡散苦さ気な活気が好きなのだ。
昼間っから、オヤジどもがタムロし、プラクルアンとか呼ばれている、仏様のお守りのような小さな彫り物を、
ルーペを使って、仔細にチェックしている。
その横ではクジ屋がクジを売り、奥の店では、電子ハエ叩きが売られている。
これは、ちょうどテニスラケットのような形をしていて、バッテリーが仕込んであり、電気ショックで不幸なハエを一瞬のうちに
やっつける、というハイテクものだ。
泊まっている一泊ツイン400バーツ冷房・水シャワー付きのホテルを出ると、食堂が数件、ネコが数匹。
歩いて2分で駅まで行ける。
夜になると、駅の周りの路上に天秤棒を担いだ女性たちがやってくる。ソムタム屋だ。
目の前を車がひっきりなしに通る歩道の上のゴザが彼女達の店である。
大抵が若い女性で、我々はそのゴザの上によいしょ、と座り、ソムタムの他、ちょっとした和え物やタイウィスキー
などを、おねーさんとおしゃべりしながら食うのである。
この際、間違って「どっこいしょ」などと言わない事だ。タイ語では「ナニがいきり立つ」と聞こえるそうである。
ソムタムとは、イサーンと呼ばれる、タイ東北部地域の料理である。
焼き物の小型臼に、にんにくと生唐辛子(プリッキーヌー)を入れてつぶし、ナムプラーとライム、パパイヤの千切り、ライムの汁、
ピーナッツ、トマト、干し蝦、蝦醤や発酵した魚などの生臭もの等を入れて、味がなじむ様に、杵で叩いたサラダのことだ。
辛いもの大好きな俺は、初めて食べたとき、おねーちゃんが「プリッキーヌーどのくらい入れる?」と聞いてきたので
「沢山入れてくれ」
といって、酷い目にあったことがある。
顔中がシビれ、ノズルの如く汗が噴出してくる。臨界とはこんな状境のことを言うのだろう。
ハヒハヒ言いながらナミダ目になりつつ、かろうじて平静を装うのだが、おねーちゃんは面白そうに見て笑っているのである。
村のおばさんがソムタムを作っているところ。
イサーンのソムタムは、生臭モノの量が多いようで、バンコクのものよりも
風味が強く、野性的な味わいである。
ここは一応、食堂なので立って作っているが、一般家庭では座って料理する
事のほうが一般的だと思われる。
俺はこのソムタムが大好きで、わざわざ市場でソムタム用の臼と、石でできた
料理材料叩き潰し用の石臼の2つを購入し、その重さにひぃひぃ言いながら
飛行機で持って帰ってきたのだ。
パパイヤは無いので、そのかわりにキュウリを千切りにし、バンコクの市場で買ってきて
冷凍してあるプリッキーヌーをつぶし、ニシンの切り込みを加えるとイサーン風味になる。
本当は店で出したいのであるが、俺の作るカレーは味わいがとても繊細で、ソムタムを
食べてからカレーを食うと、風味がまったくわからなくなってしまうので出せないのだ、残念。
先日、ブッ壊れていたスキャナを新調したので、ヒサビサに写真をのせてみた。
いろいろな食い物や、風景の写真があるので、少しずつ載せていこうと思うのだが、
なんせ写真のセンス0の人間なので、その辺のところは勘弁してもらいつつ、
ま、話のネタ、ということで、ひとつ。