生と死。愛と憎しみ。白と黒。怒りと安らぎ。コントラスト。
月と太陽。優しさと憎しみ。酢飯にワサビ。コントラスト。
人間はみな、この、一見まったく異なる二つのものの間を、ブランコのようにゆらゆら
揺れ動き、またはそれらの両方をを同時に両の肩に乗せ、人生を歩く。
ある国に爆弾を落とし、災害国にに救出隊を送る。盾と矛に思えるようなことが、
繰り返され、それは日常の我々の生活の中でもしばしばよくみうけられる。
ここに今回登場する人物は、非常にたぐいまれなる矛盾を経験した、ウメダという男だ。
ほんとだってば。俺はその現場にいあわせたのだ。なんてコウウンなんでしょ、俺ってば。
彼は大学時代、一緒のバンドで活動し、ドラムを担当していた。なかなかいいドラムをたたき、
細身で小柄のわりにはずいぶんとパワフルな音をだした。
その頃は、毎日音楽漬けで、俺はいくつかのバンドを俺は掛け持ちしていたが、突然
思い出したことがあるので、脱線することにする。
その日、部室には某女子短大の音楽系サークルの女の子が遊びにきていた。一応、俺の学校も
共学ではあったが、悲しいほど女子学生が少なく、どんなにブスで性格が悪くても、女であれば
チヤホヤされる、という状況だったので、彼女達の訪問はたいへんヨロコバシイ事であり、実際、
我々は大喜びしていた。そのとき俺はイタズラな日々3でふれた、サクタという男と二人でアコースティック
ブルースをやっていた練習を終えて部室にいくと、キレイドコロが並んでおり、部長が、こいつら2人で
シブいブルースやってるんだよ、と紹介してくれたので、俺達は精一杯シブい声を出して、よろしく、、と
言い、女なんかに興味ねぇよ、という顔をして、しかし素早くそばに座った。
音楽の話で盛り上がり、彼女達は我々の音楽的造詣の深さに尊敬の目を向けるようになり、良い気分
に俺達は浸っていた。そのときサクタが、
「おい、次の曲、こんなのどうだ」
と言い、テープを出してきた。女性達は興味信信で見守っている。この野郎、かっこつけやがって、と
一歩リードされた俺は心の中でチッ、と舌打ちしたのだが、あくまでも余裕の表情で
「かけてみろ」
と言った。奴は全員の注目を集めながらデッキにテープを装填し、スイッチを押した。すると、
「ぱぱっぱパ〜ジャ〜マ ジャマジャマ」
などという、おかーさんといっしょかなんかの妙なる曲が突然流れだし、サクタは
「アッ!間違えた!」
あわててテープを取り出したが、すこにはもう既に、我々のシブさのかけらもないのだった。
しかしながら、未だに奴はいったい何の目的でその歌を録音し、それによってどんなメリットが
あったのか、俺にはわからない。
まぁ、話を戻す。そういえばかなり昔、底抜け脱線ゲームっていう番組があったな。脱線はわかるけど、
底抜けとはなんだろなぁ。まぁ、いいが。
当時我々は、月に一回ほどのペースでパーティーのバンドをやっていた。僅かなギャラをさらに14名で
分けるので、仕事としては割に合わなかったが、酒などはいくらでも飲めるので、けっこうタノシミに
やっていた。その日はハウスマヌカンのパーティかなんかのシゴトが入っており、演奏を終了した我々は
一斉に散り、酒を飲み始めた。やがて我々は急速に酔っ払い、ウメダと俺は、トランペット担当のナオヤさん
の家に泊まることにした。しかし、泊まるメンバーには気をつけなくてはならない。以前俺は酔っ払って
寝てしまい、顔にマジックでデカく「おま×こ」などと書かれているにも気づかず、セブンイレブンにパンを買いに
行った事がある。ハジカキ。しかしその日は結構酔っ払っており、ウメダはタクシーの中でも具合悪そうだ。
俺は冗談かな、などと思って耳に息を吹きかけたりしてちょっかいをだしていたら、奴はゲロをはいた。
ちなみに俺は、小さい頃、口から吐くことを「ゲリ」だと思っていた。さらに言うなら、「神のみぞ知る」
というのを「神の溝」だと思っていて、映画で見た、モーゼの十戒で海が左右にわかれた溝のことだと
思っていた。
いろいろあって、ナオヤさんの木造ぼろアパートで泥のように眠る。
次の朝、ウメダのウルサイうめき声で目がさめた。ハラが痛いらしく、ザリガニのような格好をしている。
しかし、耐え切れないらしく、ウンコしてくる、と奴は言い、きしむドアをあけて部屋から出ていった。
しばらくして戻ったが、問題は解決されず、しかもなにも出なかったらしい。依然、うなっている。
また耳に息でも吹きかけてやれ、などと思ったが、昨夜のこともあるので俺は我慢をし、じっと見守っていた。
すると、しばらくしてからアブラ汗をかきつつ奴はもう一度たちあがり、再び便所へとイザっていった。
5分、10分とたつも戻る気配はなく、20分近く経過してやっと奴はもどってきた。そして満開の笑顔。
詳しく話を聞くと、最初は何も出なかったらしいが、根性で粘っていると、やがて、スポーンという音を
たてて、栓のようになっていた固いカタマリが出たかと思うと、後は蛇口をひねるように、一気に勝負
に出たらしい。まるでダムだ。つまりウメダはゲリをベンピしたのだ。生と死、愛と憎しみは紙一重。
しかし、ゲリとベンピはどうしても紙一重に俺は思えないのだが、それを具体物として体現したウメダ
には、個人的に惜しみない拍手と賛辞で称えたい。なんせ、こんなのはいくら才能があっても、どんな
努力、練習をしたとて、できるものではないのだ。だからこのホームページにのせ、日本の人達全員に
いやさ、全世界の人々に彼の偉業を伝え歩くのが、残された私の人生の最大の目標だ。
なんていうのはウソです。ごめんちゃい。大腸。