1999.9.6 田主丸中学校講堂

J.M.へスター氏による記念講演 (3)


私が50年まえに初めて田主丸に来たのは、学生さん、先生方、お父さんや、お母さんがたに、民主主義についてお話をする為でした。その当時、日本は民主主義の時代を新しく迎えようとする所でした。私は民主主義の経験が長い国から来ていましたので、政府や、教育、地域、家庭の中での民主主義の意味について話をするよう、色々な所から呼ばれました。

私がここに来た時は、ハヤシダ ヒロユキさんのおうちに泊めていただきました。私たちはその晩夜遅くまで話をし、ハヤシダさんは、どうすれば、日本の子供たちが民主的になるための手助けが出来ると思うか、と私に尋ねました。

その当時、日本の子供たちは、食べるものも充分にありませんでした。私は、食べるものが増えるようにする事が一番重要な事だと思う、と答えました。食べるものも満足にない時に、民主主義だといっても、実行するのは、とても難しい事です。

ハヤシダさんは最初、牧場で牛を育てる事から始めました。後にその牧場は、ぶどう園になりました。これが田主丸の町に繁栄をもたらいした巨峰(ぶどう)の始まりでした。私はこの巨峰の誕生に、ほんの少しですが関わりになれたことを、大変誇りに思っています。そして52年前のあの話し合いの成果をお祝いするために今日こうして、私の妻と共に招かれた事を心から嬉しく思っています。

この50年間の、日本の発展と、アメリカとの交流の物語は、私たち人間の長い歴史の中でも、素晴らしい出来事の一つです。日本は、民主主義の国として、また、経済的に成功した国としても、目をみはる発展をとげてきました。日本とアメリカ合衆国は協力し合う国同志となり、今日では、世界の状況をよくして行くために、意見をあわせ、手を取り合っています。

たとえ私たちの歴史や、文化が違っていても、多くの日本人とアメリカ人が、お互いに楽しく、そして尊敬しあってゆくことは決して難しい事ではないということを、何年にもわたる私自身と日本との関係の中から学びました。私は、ほとんどの日本人とアメリカ人は、正直で、誠実で、親切であり、良く働き、目的を持ち、前向きで、心の広い人たちだと信じています。

このように、私たちには共通点が沢山あります。ですから私たちの国は、強く結ばれ、世界の国々の交流のために、手を取りあってきたのです。時には、私たちの国同志の意見が違う事もあります。けれども、同じ意見を持つ時の力が、意見が違うときよりずっと多いのです。

日本とアメリカ合衆国が、世界を良くして行くにはどうすればよいかについて考えている事は、大きく分けて次の4つになります。1つめは、私たちの健康を守り、その為の教育を広める事。2つめは、世界情勢の安定を揺るがす出来事が起こった時に、きちんと対応していくこと、3つめは、地球の環境を守ること、4つめは、科学と技術を発展させてゆくことです。

この4つの点にそって、それぞれに主な目的が掲げられています。実際に私たちの国は、その豊かな経済力と、優秀な才能を一つに合わせて、これらの目標に向かって協力し合い、素晴らしい成果を上げてきています。

今の時代では、皆さんは、単に若い日本人であるというだけではありません。世界に繁がる共同体の一員として、これまでには出会う事のなかった世界中の人々と、仲良くなれるのです。皆さんのなかには将来、コンピューターの技術を発展させる仕事につく人がいるかもしれません。新しい食品や、薬、便利な自動車や、電化製品を作り出したり、新しい音楽や、芸術を生み出す人になるかもしれません。

どのような仕事であろうとも、皆さんの努力の結果は、必ず世界中の人々の生活に関わり、役に立つのです。皆さんは今、新しい希望の時代に生きています。科学者や、研究者、芸術家、音楽家、医者、また、ビジネスの世界で働く人など、何でも同じです。皆さんが、これから何かをして行くために、もっと学んで行けばみなさんが世界に与えるよい影響は、今まで以上に素晴らしいものになるはずです。

世界のなかで、協力し合う仲間として活躍する為に、皆さんが心からやってみたいと思う事を一生懸命に勉強し、学んでいって下さい。日本人が作った製品は、世界中で認められ、喜ばれています。そして、日本の科学者や、芸術家、音楽家は、世界で最も優秀な才能の一つでもあるのです。

ですから、世界の人々は、皆さんの将来の活躍と成果を大きな期待をもって、見守っています。何十年たって、私と妻がこうして、田主丸に戻ってこられた事を、大変幸せに思います。福岡県は、私が日本の文化に親しみ、日本の人たちとお友達になるという冒険を始めたまさにその場所です。

この冒険は、私の人生に大きな影響を与えました。私は、今日ここにいる皆さんの、限りなく希望に満ちた未来を、祝福し、こうして田主丸に帰って来る事ができてどんなに嬉しいかを、皆さんに逢えてお話する事が出来た事を心から嬉しく思います。ありがとうございました。

99.9.6


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