多くの人がかかり、大切な歯を失う歯周病は、歯を支
える歯肉、歯周じん帯、歯槽(そう)骨がゆっくりと壊
される病気。虫歯とともに人類を悩ましてきた。歯周病
の進行を止め、かむ機能を回復させ、病気の再発を防ぐ
ための工夫が続けられてきた。
近年、レーザーを使った歯周外科、アジスロマイシンに
よる内科的療法と歯を固定する接着剤を使った治療法が非常
に進歩し、病気の進行を止め、かむ機能の回復が図から
れている。その最新の治療法を紹介しよう。
歯周病は感染症。歯肉の表面からは好気性球菌、歯周
ポケットからは、酸素の乏しい環境で生息する嫌気性菌
が検出される。歯周の膿みから採り培養した嫌気性球菌
の培養液を犬のホオの粘膜に接種すると、粘膜とホオの
皮膚のハレが著しくなり、5日目に皮下膿瘍(よう)が
見られた。
長期的な抗生剤の局所使用は、症状を軽くするが組織
の再生は期待できないし、菌交代現象の危険もある。と
ころがCO2レーザーによる歯根面の壊死層と歯石の分解
除去、および歯周ポケット内部の上皮を焼いて除去した
後、抗生剤テトラサクリンの局所的使用を数回行うと、歯ぐき
が歯根面に再付着し、歯周組織の再生が始まる。部分的
ながら歯槽骨の再生も期待できる。CO2レーザーを使った
手術では、切開は最小限にとどめるので、縫合の必要はな
い。術後の回復は早く、痛むことはない。
歯の動揺を直すことは、歯周病の治療に当ったて重要
な課題だから、次のようなさまざまな方法が考えられて
いる。スーパーボンドで隣の歯と接着し固定する。動揺
の激しい歯は、かみ合う面を削ってかみ合う力が強くかから
なくする。CO2レーザーで歯周ポケットを焼いた後、抗生
剤を歯周ポケットに挿入すると、歯肉が歯根面に再付着し
歯の動揺を抑える。限定的だが、歯槽骨の再生が期待できる。
連結冠や部分入れ歯でかみ合う力を分散させる。チタン製
人工歯根のインプラントでかみ合いを適正にする。
治療前後の変化ー歯肉が赤紫から桜色になり、出血し
なくなる。歯肉のはれがなくなる。歯の動揺が治まる。
歯周ポケットが消え、汚れが付きにくくなる。かんで食
事がとれるようになる。
再発の防止ー治療後の週1回のイソジン嗽薬による洗浄と、
家庭での口の内の清掃、歯肉のマッサージを行うことに
より、歯周病の再発を防ぐことができる。歯と歯の間は
歯間歯ブラシで、歯と歯肉の接する面は小さめの歯ブラシで
丁寧にマッサージすることが重要。進行した歯周病の治
療は大変長くかかり、難しいので、早期の治療が重要だ。 |