nurse01  メディアによるがんの扱われ方  nurse02

 メディアで「がん」という病気が扱われるとき、どのような扱いをされているのでしょうか。大半の場合、「暗い」「キツイ」「汚い(抗がん剤で吐きまくり)」の3K病気として扱われているのではないのでしょうか。それらは「がん」という病気にかかった場合の一側面を表してはいますが、別文でも書きましたがやはりセンセーショナリズムに偏っていて、不必要に一般の不安を煽っているように思えます。

 入院中、がん患者さんたちを扱ったテレビ番組が放送されていました。この番組は、全篇「お涙頂戴テイスト」で貫かれていました。ある血液疾患の患者さんが登場したとき、かすれた声のナレーションで「いま、この病室の窓から見える景色が、彼の唯一の世界である」と入ったとき、私も含め私の入室していた4人部屋の患者さんは皆ドッと笑ってしまいました。我々も基本的にはその患者さんと同じ状況だったからです。ただ、その番組テイストのあまりの暗さに「ここまでやるか」と笑えてしまい(決してその患者さんが笑えたわけではありません)、ある患者さんは「こりゃあ、俺たちももっと神妙にしておいたほうが、がん患者っぽいかな」などと言っていました。

 ドキュメンタリー番組だったので、もしかしたらプロデューサーが番組テイストを意図的に暗くしたのではなく、実際にその患者さんが暗かったのを番組がありのままに放送したのかもしれません。しかし、これははっきりといえますが、私は病気になって多くの血液疾患の患者さんに出会いましたが、皆自分の病気の状況を自覚しながらも、メディアで報じられるような暗〜い患者さんはいませんでした。そりゃ「なんてったって〜がん〜♪」ですから、告知されてショックを受けない人はいないでしょうし、闘病に入ってからも一人涙を流すこともあるでしょう。しかし、皆が常に暗〜いわけではなく、大半の時間はごく普通の人間です。こう書くと患者さんは「その通り。あたりまえやないか」と思うでしょうが、一般の人との間にはどうも認識のズレが生じてしまうようです。

 テレビだって視聴率をとりたいでしょうから、お涙頂戴テイストをこれでもかというくらいぶつけてきます。一般の人がそういう番組をみた場合、「あ〜、なんて可哀相なの。こういう可哀相な人のために、国や公的機関はがんの研究にもっと力をいれるべきだわ」とか「患者さんのために骨髄バンクに登録しなきゃ」とか思ってくれるのであれば、番組の効果はあったといえるでしょう。しかし、大概の場合(私もそうでしたが)一般の人の感想は「あ〜、なんて可哀相なの。私は健康で良かった」で終わってしまいます(私も含めて、大概の人は自分はがんにはならないと思っているものです)。こうなると、その番組の効果は、がんの実相を啓発するドキュメンタリーというよりは、単なるエンターテーメント番組に成り下がっているようにさえ思えます。そういう番組をみた人がいざがん患者となったとき、がん患者の実相が伝わっていないだけに、不必要なまでにがんに対して恐怖心をもってしまうのではないでしょうか。

 だとしたら、メディアは不必要なお涙頂戴テイストはやめて、もっと普通に番組をつくってもらいたいものです。「それでは視聴率がとれない」というのなら、ジャニーズを投入して「慎吾ママの病棟ほうも〜ん」みたいなテイストでやるか、がんの番組をつくるのはもうやめるかのどちらかにして下さい(特にテレ朝)。ある程度年季の入った(?)患者なら、そういう番組も「あ〜あ、またやってるよ」とみれますが、がんを告知されたての方々、これからがんを発症するかもしれない方々には、百害あって一理なしです。

 


前のページへ 次のページへ トップページへ