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Enzastaurinの国内臨床第3相試験について

Enzastaurin(エンザスタウリン)は、細胞分裂の低下や腫瘍細胞のアポトーシス(細胞自殺死)の誘導、血管新生阻害などの作用をもつ経口の分子標的療法薬です。

Enzastaurinは、米国臨床腫瘍学会(ASCO)の学会誌であるJournal of Clinical Oncologyにて、B細胞性びまん性大細胞型B細胞非ホジキンリンパ腫(DLBCL)で、2つの初回治療を受けた後に再発した、55名の患者さん(年齢中央値は68歳)を対象とした臨床第2相試験の結果が発表され、無増悪生存期間を延長させるなど、病気の進行を遅らせる効果がある可能性が示唆されました。
■A Phase II Study of Enzastaurin, a Protein Kinase C-β (PKCβ) Inhibitor, in the
Treatment of Relapsed Diffuse Large B-Cell Lymphoma (DLBCL)


2006年6月より、初回治療で寛解となったDLBCLの患者さんを対象に、再発の予防を目的とする維持療法について評価する、国際的な多施設共同臨床第3相試験が開始されました。この臨床試験は、米国をはじめとする世界各国で行われてきました。
■A Phase 3 Clinical Study to Investigate the Prevention of Relapse in Lymphoma
Using Daily Enzastaurin


国内では、投与量安全性を評価することを主な目的とする、臨床第1相試験が終了しています。グループ・ネクサスではかねてより、製薬会社などにEnzastaurinの国内での早期開発を要望してまいりましたが、開発元である日本イーライリリー株式会社のご尽力、および厚生労働省のご理解により、再発を予防することを目的とする、新機軸の分子標的療法薬であるEnzastaurinの重要性が認められ、国内での臨床第2相試験を経ずに、国際的な臨床第3相試験に日本は参加することとなりました。

国内では14施設(東日本より8施設、西日本より6施設)にて、2007年9月より臨床試験が開始される予定です。米国イーライリリー社によりますと、国際的な臨床試験における患者さんの参加要件などはおよそ以下の通りとなっており、国内での臨床試験もこれに準じたものになる予定です。

臨床試験への参加を考慮なさる場合には、まずは主治医の先生に臨床試験への参加についてご相談ください。Enzastaurinについてのお問い合わせおよび臨床試験への参加につきましては、主治医の先生より日本イーライリリー株式会社までお問い合わせください。臨床試験の適正な施行および個人情報保護等の観点から、医療関係者以外からのお問い合わせには対応していませんので、ご了承ください。

臨床試験名
A Phase 3 Clinical Study to Investigate the Prevention of Relapse in Lymphoma
Using Daily Enzastaurin


臨床試験のデザイン
二重盲検法、無作為割付により、患者さんをEnzastaurin投与群とプラセボ(偽薬)投与群に分けて臨床試験を行い、無病生存率を主に評価する

参加要件
○B細胞性びまん性大細胞型非ホジキンリンパ腫(DLBCL)の患者さん
○最近R-CHOP療法を完了し、完全寛解(CR) となっている
○IPI(国際予後指標)において、あてはまる項目が3〜5個
○成人である
○臨床試験の研究のための経過観察に同意している

除外要件
○リンパ腫に対してR-CHOP以外の化学療法を受けている
○感染症や2次がん、心臓病など、重篤な症状を有する
○複数の病変に放射線治療を受けている
○錠剤を飲用することが出来ない

臨床試験が行われる医療機関のある都道府県
宮城県、群馬県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、滋賀県、京都府、岡山県、福岡県、長崎県




Enzastaurinの国内臨床第1相試験について

Enzastaurin(エンザスタウリン)は、細胞分裂の低下や腫瘍細胞のアポトーシス(細胞自殺死)の誘導、血管新生阻害などの作用をもつ経口の分子標的療法薬です。Enzastaurinは2005年12月に開催された第47回米国血液学会(ASH)にて、B細胞性びまん性大細胞型非ホジキンリンパ腫(DLBCL)で、2つの治療を受けた後に再発した55名の患者さん(年齢中央値は68歳)を対象とした臨床第2相試験の結果が発表され、無進行生存期間を延長させるなど、病気の進行を遅らせる効果が示唆されました。
■A Phase II Study of Enzastaurin, a Protein Kinase C-β (PKCβ) Inhibitor, in the Treatment of Relapsed Diffuse Large B-Cell Lymphoma (DLBCL)

2006年6月より、初回治療で寛解となったDLBCLの患者さんを対象に、再発の予防を目的とする維持療法について評価する、多施設共同臨床第3相試験が開始されました。この臨床第3相試験は、米国をはじめとする世界各国(※)で行われていますが、日本では行われていません。
■A Phase 3 Clinical Study to Investigate the Prevention of Relapse in Lymphoma Using Daily Enzastaurin

この他に、Enzastaurinは海外ではマントル細胞リンパ腫や大腸がん、神経膠芽腫、非小細胞肺がん、膵臓がんなどで臨床試験が行われています。Enzastaurinの国内での開発について、米国に本社を置くイーライリリー社の日本法人である日本イーライリリー株式会社に対して、グループ・ネクサスより要望書を提出し、日本イーライリリー株式会社より回答をいただきました。

(※)DLBCLに対する臨床第3相試験が行われる医療機関のある国
アルゼンチン、オーストラリア、ベルギー、ブラジル、カナダ、デンマーク、フランス、ドイツ、ギリシア、ハンガリー、イタリア、韓国、メキシコ、ポーランド、ポルトガル、プエルトリコ、スペイン、スウェーデン、台湾、米国

Enzastaurinに関する要望書について

平素は悪性リンパ腫をはじめとする血液疾患、その他の疾患の治療および研究にご尽力いただき、患者および家族を代表して御礼を申し上げます。

当法人は、悪性リンパ腫の患者及びその家族並びに多くの一般市民に対して、悪性リンパ腫に関する正しい知識の普及啓発及び広報、当該疾患の患者及びその家族の支援並びに当該疾患に関する調査研究等の事業を行い、悪性リンパ腫等に関わる医療環境の向上と、当該患者の自立を図ることによって、保健、医療の増進に寄与することを目的とする全国患者団体で、現在の会員数はおよそ850名です。

ご承知のように、経口のセリン・スレオニンキナーゼ阻害剤であるEnzastaurinは、米国における非ホジキンリンパ腫などを対象とする臨床第2相試験について、米国臨床腫瘍学会(ASCO)および米国血液学会(ASH)にて有望な結果が発表されました。この結果をうけ、初回治療で寛解となったB細胞性びまん性大細胞型非ホジキンリンパ腫(DLBCL)の患者を対象に、無再発生存期間を主要評価項目とする維持療法の臨床第3相試験が米国で行われています
http://www.lillytrials.com/initiated/studies/initiated_9823.html

B細胞性の非ホジキンリンパ腫(NHL)に対しては、近年の新規の抗体療法薬の登場などにより治療成績の向上がみられてきましたが、初回治療が奏功した後に残念ながら再発をしてしまう患者も多く、新規の抗腫瘍薬を期待する患者の声は大きいものがあります。特に、DLBCLはNHLおよび悪性リンパ腫の中で最も割合が多く、その治療成績の向上が期待される分子標的薬であるEnzastaurinが国内において導入された場合のインパクトは、悪性リンパ腫の治療成績の向上において大きなものがあると考えられます。

この薬剤に関して、国内での開発状況はどのようになっているのか、ご教示いただければと存じます。そしてもし未開発または開発の予定がないのであれば、国内での開発および臨床試験の開始を強く要望させていただきます。薬剤の新規開発は、製薬会社にとって大きな負担となることは重々承知しておりますが、悪性リンパ腫の患者の声は切なるものがあることをご理解いただき、ぜひ前向きにご検討いただきますようお願い申し上げます。

なお、この要望書につきましては、ご回答をいただけた場合、もしくはご回答をいただけなかった場合のいずれにつきましても、ご回答の内容は公開させていただきます。また、当法人の概要や、当法人に他の製薬会社より情報提供をいただいている新規薬剤や臨床試験の概要についての文書も付記させていただきますので、ご参照いただければ幸いです。

ご多忙の折、お手数をおかけすることとなってしまい誠に恐縮ですが、宜しくお願い申し上げます。

日本イーライリリー株式会社
2006年9月25日

特定非営利活動法人 グループ・ネクサス
理事長 天野 慎介 様

日本イーライリリー株式会社
渉外企画部長 バイロン・シーゲル

Enzastaurinの国内での開発状況について(ご回答)

拝啓 初秋の候、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。

さて、この度はイーライリリー・アンド・カンパニーが開発中の抗がん剤Enzastaurinにつきましてご照会いただきありがとうございました。開発中の弊社薬剤に関する海外での発表にご注目いただき、幸甚に存じます。

Enzastaurinは日本では、現在第T相試験を実施中でございます。ご存知のとおり、抗がん剤の第T相試験は、がん種を特に定めず、日本人での最適用量や安全性を確認する試験で、通常は第T相試験の終了後、特定のがん種に対して、有効性、安全性を確認する第U相試験を開始いたします。Enzastaurinの非ホジキンリンパ腫の適応症に関しましても、第U相試験の実施をめざし、検討を進めているところでございます。

非ホジキンリンパ腫について、治療の選択肢は増えつつあるものの、再発に対する治療に関しては、まだ患者さんの医療ニーズが満たされているとはいい難く、弊社としましても、その患者さんのニースにお応えしたく、開発を進めている次第でございます。

Enzastaurinはイーライリリー・アンド・カンパニーにとって初めての分子標的薬であり、弊社としましても当薬剤が患者さんにもたらす可能性に大きな期待をしております。一日でも早く患者さんのご要望にお応えできるよう、速やかに治験を進め、承認を取得できるよう努力してまいる所存でございます。皆さまにも、今後とも引き続きご支援を賜りますようお願い申し上げます。

敬具




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