日刊移動体通信ニュース
by 編集長

■ 携帯電話のOS(基本ソフト) 


■携帯電話アプリケーションの高機能化、ソフト開発の複雑化に伴い、携帯OSの存在がクローズアップされている。パソコンでOSと言えばマイクロソフトだが、携帯電話OSでは、順位の変動が著しくなっている。

 調査会社IDC Japanが2005年6月6日、05年第1四半期の携帯電話の通信方式別出荷台数とOS別の出荷状況を発表している。それによると、国内の3G端末占有率は65.7%に上昇し、OS別では、Linux OS搭載端末が連続出荷され、OS搭載端末(Symbian/Linuxのみ)の市場占有率が5.5%から27.3%に拡大している。また、FeliCa搭載端末は出荷台数全体の14.6%を占めているという。

 端末の開発効率化のためにSymbianやLinuxといったOSの採用が注目されているが、Symbian/LinuxOS搭載端末の市場占有率は、NTTドコモのFOMA端末の一部が05年に市場投入されたことなどから、04年度は当初の見込みを大きく下回る5.5%にとどまっていたとしている。
 2005年の見通しについてIDGは、通信事業者の積極的な3Gシフト戦略が続くと見られることから、同年後半までには3Gの市場占有率が80%前後まで上昇すると予測。これはさらにOS搭載端末の比率を高めるものと思われる。

◆携帯電話の主要OSにはSymbian、BREW、Linux、Microsoft Windows Mobile、ITRON/T-Engineがある。その他の携帯OSには、Nucleus、Palm OS、Monta Vista Linux、China MobileSoft、MIZI、SavaJeがある。
 携帯電話を長く支えてきたリアルタイムOSのTRONシリーズは役割を終えたとみられ、携帯電話OS市場は汎用OSの時代に入っている。その代表格であるSymbianやLinuxなどを携帯電話に搭載する動きは世界的な傾向になっている。

 TRONを捨て、各メーカーがSymbian OSやLinuxなど携帯電話向け汎用OSの採用に向いているのは、FOMA端末を中心としたハイエンド端末を中心に「高機能化」が進み、端末の開発コストが高騰しているからである。その開発費用を一部でも下げようという「コスト削減」と、汎用OSを使い開発期間を縮めるという「開発スピードの向上」に、理由があるようだ。

◆英シンビアン(ロンドン)のSymbian OSを採用する動きは世界の携帯電話会社で顕著になっていおり、同社OS搭載の携帯電話端末の世界電話出荷台数が2005年1−3月期(05年第1四半期)で前年同期比で181%増の675万台になっている。この結果、「シンビアンOS」搭載の携帯電話端末の累計出荷台数は、同四半期までの段階で3200万台となった。

 現在、Symbian OSはアリマ、ベンキュー、富士通、レノボ、LG、モトローラ、三菱電機、ノキア、松下電器産業、三星電子、シャープ、シーメンス、ソニー・エリクソンなどにライセンス提供され、05年3月時点で販売中の端末製品数は48機種、開発中の製品数は41機種になっている。

 こうしたSymbian OSの台頭に伴って同OS上で動く企業向け携帯電話アプリケーションも提供されるようになってきた。日本オラクル(東京都千代田区)が05年5月17日に、オラクル米国本社が開発した携帯電話向けオラクルデータベース「Oracle Database Lite 10g for Symbian」を日本市場で発売すると発表している。

 Symbian OSに対応したモバイル専用超軽量データベース管理ソフトで、携帯電話にデータベースを搭載可能にし、携帯電話上で業務データを管理できるというもの。

 英Symbianはまた、3G分野でリードする日本市場を重視している。2月にはSymbianは、「Symbian OS v9」の最新版を発表しているが、これを搭載した携帯電話は05年後半に市場に投入されるものと予想されている。これによってパーソナル情報管理 (PIM) データの同期化などマイクロソフトのアプリケーションとの互換性を高めるなど、パーソナルニーズにとどまらず企業のビジネスユースにも対応度を向上させることが期待されている。

◆市場占有率が拡大するLinux OSを採用する米モトローラは、2006年後半もしくは2007年に、同社携帯電話の半数以上にLinux OSを搭載するようになるとしている。

 モトローラの新しいクラムシェル型デザインの携帯電話「E895」に、モンタ・ビスタ・ソフトウェアのLinux OS(Monta Vista Linux)が搭載されるという。同社はまずアジアで、05年第4四半期に「E895」の販売を開始し、その後、世界で順次発売していく計画だ。

 モトローラでは、今まで自社開発のP2K、米マイクロソフトのWindows Mobile版、英シンビアンのSymbian OSを採用してきた。2003年からはハイエンド機に限ってLinux OSベースの携帯電話を発売している。「E895」に採用するのは軽量版のLinux。同社は今後1年半〜2年以内に、Linux OSが半数を超えるモトローラの携帯電話に採用されるようになると予測している。

 Linux OS内には、省電力管理ソフトウェアとメモリ管理ソフトウェアが組み込まれている。E895はMP3ファイルの再生が可能で、最大512MバイトのTransFlashメモリを搭載できる。また130万画素のデジタルカメラは静止画と動画の両方に対応する。さらに、内蔵のBluetooth機能を使って、データの同期ができるほか、無線ヘッドセットも使用可能である。

◆モトローラが「E895」に採用する米モンタ・ビスタ・ソフトウェア開発のLinux OS「Monta Vista Linux」は、携帯電話向けOS「Mobilinux 4.0」。消費電力管理、ハード・リアルタイム・サポート、迅速な起動、軽量化などモバイルと無線向けに最適化を図っているというものだ。

 1秒以内で起動するほか、イベント・ブローカ機能(定義・発信・登録)、高度なリアルタイム処理、動的に電力消費を調整するDPM(Dynamic Power Management)機能などを持っているという。

◆Symbian/LinuxOS以外にも携帯電話OSはある。05年5月に発表されたソフトウエア最大手の米マイクロソフトの携帯端末向けOSの改訂版「ウィンドウズ・モバイル5.0」は、携帯電話や携帯情報端末(PDA)のほか、小型のポケットPC向けのものだ。

 ポケットPC用には、同社の文書作成ソフト「ワード」、表計算の「エクセル」に加え、プレゼンテーション用文書作成ソフト「パワーポイント」の携帯版も提供。このほか映像・音楽再生ソフト「ウィンドウズ・メディアプレーヤー」も携帯端末上で利用できるという。

◆一方、携帯電話事業者数37社、端末メーカー数は27社が採用しているBREWは、その搭載携帯電話は150機種以上で、販売台数は合計3,800万台を超えているという。導入国は24カ国にもなっており、BREWアプリケーションの累計ダウンロード数は1億8,000万件に達している。こうしたことから海外市場への進出を考えるコンテンツ・プロバイダーには、最適なプラットフォームと言われている。

 BREW(3.1)は、2005年に携帯電話への実装が予定されており、携帯電話の組み込みアプリケーションをすべてBREWによって構築できるようになる。また外部メモリやシリアル・インタフェースなどをサポートすることで、大容量の有料コンテンツ配信、モバイル・コマースやビジネス・アプリケーションに対応できるようになる。

 次のバージョンであるBREW 4.0では、OSがマイクロカーネル化されるという。これに伴い、すべてのBREWアプリケーションは完全なマルチタスクで実行されるという。



携帯電話のOS(基本ソフト)
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