2009年10月31日
映画『沈まぬ太陽』。航空会社に心血を注いだ男の半生を壮大なスケールで描いた作品です。原作は「白い巨塔」や「不毛地帯」の山崎豊子。現代社会の闇にスポットを当て、その真偽に深くメスを入れる彼女の洞察力は、その作品に触れてみると驚かされます。
この作品も、今、経営再建の真っ只中にある日本航空を題材に、その虚実混ぜ合わせた社会派ドラマです。3時間半の超大作ですが、最初から最後まで全く飽きることなく見られました。事前に原作を読んでおいたことも作品への思い入れが深くなったことに繋がりました。
辞令一枚で国内・国外を問わず飛ばされるサラリーマンの悲哀、それに翻弄される家族、大企業の利権に巣食う経営陣と政官の癒着構造、その癒着構造の狭間で犠牲となるサラリーマン、これら作品の中で描かれる人間模様は時代が移り変わっても何ら改められることなく人の営みの中に生息しています。
主演の渡辺謙が自らの信念を曲げず貫き通す、まるでサムライの如き男を熱演。その渾身の演技力は他の追随を許さない。他に渡辺とかつては朋友でありながら次第に利権と権力闘争にまみれ出世を果たすものの最後には身を滅ぼしてしまう男を演じた三浦友和の演技にも拍手を送りたい。若い頃は大根だったのに、年を重ねてからの彼は役者らしくなりましたね。好演でした。その他にも芸達者な役者さんばかりが揃い、作品の質を高めています。
フィクションとは言ってもその内実は誰もが知る実在の人物や事件事故が描かれています。主人公の恩地や当時の日航幹部、政財界のお歴々、大災害「日航ジャンボ機御巣鷹山墜落事故」など、それらが記憶に新しいことから、まるでドキュメンタリー作品を見ているようにも感じられました。作品の中に出てくる“王道”という言葉に相応しい大作です。と同時に、今まさに再建難に苦しむ日航の役員、それに拘わる政財官の皆さんには是非見てもらいたい作品です。ただし、敢えて言わせて貰えれば、あまりに低レベルなCG映像と石坂浩二のメガネフレームだけはなんとかしてほしかったです。

2009年10月28日
映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』。言わずもがな、2009年6月に亡くなったマイケル・ジャクソンがロンドン・コンサートのために死の直前まで行ったリハーサルの様子を収録したドキュメンタリー映画です。
世界同時公開で話題性もあるため、いつもはネット予約が簡単に取れる映画館のサイトもこの日に限ってはなかなか繋がらず、都心の映画館ではお昼過ぎにもう満席になっているところもあってチケットが取れるのか心配だったけど、田舎は大丈夫。サイトに繋がらずちょっと焦ったけど無事チケットを取って見てきました。最初の上映が夜7時と遅い時間にもかかわらず、映画館はこの映画見たさのお客さんで混雑していました。さすが、マイケル人気ですね。
作品は前述したようにロンドン・コンサートのリハーサルを収録したドキュメンタリーです。完成されたコンサートの様子と違い、コンサートに向けてマイケルをはじめ、ダンスのメンバーやバンドの面々、美術や音響スタッフなどが協力し合ってステージ作りをする姿は普段知ることのない世界でもあり、かえって興味深く見られます。本来なら“メイキング”として世に出ても充分価値のある映像です。
個人的に僕はマイケルのファンではありませんが(でも変なところミーハーなもんで、マイケルの日本公演を見ているんです・・・・)、その圧倒的なダンス・パフォーマンス、胸に染み入るメロディ・ライン、その全てがキング・オブ・ポップであり、世代・人種を越えて全世界に愛されたミュージシャンであることは、この映像から充分に感じることができました。そして、マイケルが愛に満ちた、とても純粋な人間であることがこの映像からよく分かります。死してもなお、彼は音楽と愛をこの世に遺してくれました。いずれDVDも出るのでしょうが、是非、大きなスクリーンで見ることをお薦めします。

2009年10月25日
映画『きみがぼくを見つけた日』。時空を旅する男と恋に落ちた女性とのロマンチック・ラブストーリーです。ラブストーリーにタイムトリップの要素を取り入れる、その発想は面白いのですが、それがもう一つ物語に生かしきれていないかも・・・・。過去・現在・未来を往き来するので、途中で今がいつなのか分からなくなってしまうこともある。見終わってさほどの感動もなく、物足りなさが残ってしまう。平々凡々なラブストーリーで、同類の『ゴースト』と比べるとだいぶ落差があります。タイムトリップで死んでもまたその姿を表してしまっては、残された者の気持ちが踏ん切りつかないし、見ている方は白けてしまう。“死は永遠の別れ”、このスタンスは崩さないでほしかったです。泣けませんでした。

2009年10月24日
今週末は気になる映画が三本も公開され、どれから見るか思案のしどころですが、上映館と上映時間を見比べた結果、この日は都心でのみ公開される作品『パイレーツ・ロック』を見に行って、明日以降は地元でも見られる作品『きみがぼくを見つけた日』、『沈まぬ太陽』を見ることにしました。
・・・・で今日は日比谷みゆき座まで出かけて映画『パイレーツ・ロック』を鑑賞。余談ですが、僕が見に行った日比谷みゆき座の壁一つ隣にあるのがスカラ座です。そのスカラ座ではやはり今日が公開初日の映画『沈まぬ太陽』の上映中でしたが、待合室にいると突然館内から拍手の音が聞こえてきたんです。作品の中の一シーンかとも思ったのですが、それにしては大きい音だし、歓声も混じっている。後になって分かったことですが、まさにその時、主役の渡辺謙や三浦友和が舞台挨拶をやっていたんですね。そういえば、公開初日とは言え関係者と思しき人がやけに多く館内が物々しかったんです。今日、『沈まぬ太陽』を選んでいれば、もしかしたら舞台挨拶が見られたかと思うとちょっぴり残念ですね。
そんなこと露とも知らず、僕たちは映画『パイレーツ・ロック』。因みにこちらは舞台挨拶はなし。当たり前か・・・・。60年代のイギリスを舞台に、船上で24時間ロックを流す海賊ラジオ局とそれを規制しようとする政府との対立をコミカルに描いた作品です。そのあまりに個性的なDJ達の人間模様と全編バックで流れる60年代ロックの名曲が魅力的で、当時の社会風俗や若者文化、近年、希薄になった“ロック・スピリット”を体感できます。
舞台になる60年代は僕たちの世代よりちょっと上で、キンクスやローリング・ストーンズなど、その時代が現役だった人にはたまらない作品かも。だから場内、60代近いお客さんが沢山来ていたんですね。イギリスだけど“アメリカン・ジョーク”は笑えなかった、ラストの“タイタニックもどき”は笑えました。

2009年10月20日
今日は公休日でした。平日にお休みがもらえるとホント嬉しいですね。朝起きるとちょっと雲が出ているものの爽快な青空が広がっているし、こんな日は迷うことなく温泉ドライブにGO!朝食をとって早々、中央高速にride
on。今日の温泉は山梨県甲斐市にある「ホテル神の湯温泉」。
でもその前にちょっと寄り道をして、八ヶ岳の麓にある“アルプスの少女ハイジ”をテーマにした「ハイジの村」(北杜市)へ。園内はハイジの舞台になっているスイス山麓の街が再現され、石畳や石造りの建物、いたるところに綺麗な花が飾られ、また、この時期ならではのハロウィーンの人形やカボチャのオブジェが異国情緒を漂わせていました。園内にある高い塔に昇ると(エレベーターあり)、眼下には広大な花畑が広がり、目を転じれば間近に富士山や南アルプス、八ヶ岳連峰から甲斐の山々を一望することができます。その素晴らしい景色を見ながら胸一杯に深呼吸。とっても気持ちよかったです。
それでもこの時期は色づく花も一段落し、また紅葉にはちょっと早いため少し色褪せた寂しい景色になっていましたが、春や夏の盛り、間もなく訪れる紅葉の季節になればもっと綺麗に彩りを見せてくれると思います。園内はバリアフリーで、入場料も大人500円のところ障害者手帳で介助者も含め無料でした。
☆ハイジの村と園内を彩る花々☆
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さて、昼食後に向かったのが本日のお目当て、甲斐市にある「ホテル神の湯温泉」。ふとしたことでこの温泉を知ったのですが、なんでも神様のお告げによってこの地に温泉が湧いたとかで、玄関を入った直ぐ脇に神様を祭った大きな神棚がある珍しいホテルです。
ここも甲府盆地を見下ろす高台にあって眺望がとても素晴らしいのですが、なにより11種類の源泉掛け流しの温泉、大浴場にある温度差の違う7つの湯船、露天風呂や貸切風呂がこの温泉の特長でしょう。
今回は大浴場に入りましたが、泉質がとても柔らかく円みがあって人肌に気持ちが良い。温めの湯船を選べば何時間でも入っていられて発汗効果が高く、そのうえ入浴後の美肌効果となれば言うことなし。やや古めのホテルですがバリアフリーにも気遣っていて館内はほぼ平らに作られていました。もちろんエレベーターもありますから上下移動は問題なさそうです。また、従業員や仲居さん達が親切で好感が持てました。
立ち寄り入浴料は大浴場なら大人一人1,000円、貸切風呂(50分)なら大人一人3,000円。今回は大浴場に入りましたが、次は眺望抜群の屋上貸切露天風呂に入ってみようかな。でもこのお風呂は宿泊者限定ですから泊まらないとだめですが、その価値はあるようです。
ところで、ホテルは甲府昭和ICから20分ぐらいのところにあって、それこそどこにでもあるような住宅街の中にポツンと建っています。“野中の一軒家”ならず“住宅街の一軒家”的、温泉ホテルです。そのためか入口がちょっと分かりづらいのが難点です(ただし、ETCがあれば双葉SAスマートICを使って2〜3分でホテルに着きますよ)。
帰路は御坂峠を越え河口湖経由で戻るルートをチョイス。やっぱりここまできたら、ちょっと足を延ばして大好きな富士山を眺めなくては。ススキ&富士は見頃ですが、紅葉にはもう一息でした。
☆神の湯温泉☆
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☆御坂峠より富士を眺める☆

☆河口湖畔より富士を眺める☆
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2009年10月18日
ここのところ秋晴れが続きますね。夏の抜けるような青空とは違い、秋特有のやや白みがかった青空に綿帽子を想像させるポッカリとふくよかな雲が気持ちよさそうに浮かんで、色づく山肌と絶妙なコントラストを創り出しています。もうひと月もすればそのコントラストがもっと鮮やかなものになり、私達の目をより楽しませてくれるでしょう。ただし、その頃には冷え込みも一段と厳しくなりますが・・・・。
今日は用事があって上野まで出かけました。・・・・で、時間調整もあって上野で映画を一本。見に行った上野東急は昨今のシネコンとは対照的に、映画の始まりと終わりにスクリーン前のカーテンが上り下りするような旧式の映画館で、正直な話しバリアフリーという点ではだいぶ遅れているようです。身障用の設備は特になく、既設のトイレなど入口の幅が狭くて、車イスがそこを通れなければ使えません。そもそも上野という場所柄がそうであって、この日も街中にいると車イス用トイレを探して右往左往するほど。結局、松坂屋、不忍池にある公衆トイレ、その隣にある「下町風俗資料館」に車イス用トイレを発見して事なきを得ましたが、都会にあってもこの地域はちょっと不便さを感じますね。
さて、話を元に戻して、映画『私の中のあなた』、もう久しぶりに涙ボロボロの感動作でした。白血病という重症の患者を抱える家族が、それぞれの立場で悩み苦しみながらも、互いに助け合い、患者を見守っていく姿に感動します。患者を囲む家族、そして家族の友人知人が生き方考え方の違いから時にぶつかり合うこともありますが、みな一様にその心底に溢れんばかりの愛情があっての葛藤故に、許されてしまうのです。生きること生かされること、愛すること愛されること、そして死ぬこと、それらを静かに見つめ考えさせられます。決して押しつけがましくなく、やさしく、愛をもって。
特筆すべきは、出演する俳優さんがみんな本当に本当に上手なんです。まさに全員が役どころをきっちり会得して演じる様は流石の一語。日本人は感情表現が下手ですが、そこはアメリカ人のお家芸。ややもすれば、この手の作品はお涙頂戴作に一辺倒する危険もありますが、それをグッと抑えて良質なヒューマン作品に作り上げるハリウッドの感性には改めて感服します。脚本、演出、俳優、音楽・・・・、全てに◎の超優良作品です。涙ボロボロを覚悟してご覧下さい。

2009年10月16日
アフター5に落語会。このところ身近な会場で落語会が開かれることが多く、時間が許す限り(←ほとんど自発的に許していますが・・・・)足繁く通うこの頃。秋の夜長のひとときを粋な江戸話芸に興じる。これもまた“粋道楽”というもので、日々の生活に刺激と潤いを標榜する僕には願ったり叶ったりの趣向なんです。
今日の落語会は中堅と若手の噺家4人の競演。いずれもが生きの良さにかけては今を盛りとする噺家ばかりですから、自ずと舞台も元気溌剌で活気と熱気に溢れています。じっくり枯淡の芸を味わうと言うよりも、一気呵成にたたみ込む噺っぷりに元気をもらって帰る、そんな噺家ばかりですが、それはそれで一興。
柳家小三治を師匠にもつ、今ちょっと気になる噺家、柳家三三、師匠談志譲りの独創性に富んだ落語を継承する立川談笑と、先々楽しみな連中が高座に上がり、期待通りの江戸話芸を披露してくれました。なかでもトリを務めた柳家三三が実にイイ!やや、べらんめい口調ながら、その口利きが江戸市井の人々の生き様にあっていると思う。頭から一気にお客さんを自分の世界に引き込んで、笑いの壺を適所にちりばめてはお客さんを意のままに懐柔しているようです。まさに脂がのった旬の噺家です。機会がありましたら是非一度お聞きになってみてください。

左から、立川談笑、柳家三三、林家木久蔵、立川志らべ
2009年10月14日
新国立劇場で行われたバレエ『ドン・キホーテ』公演。バレエを見るのは久しぶりです。最後に見たのが一昨年のロシア旅行の際、サンクトペテルブルクで「白鳥の湖」を見て以来ですから久しく見ていませんでした。
ドン・キホーテはかつてアメリカン・バレエ・シアターの公演をテレビで見て、踊りと音楽がとても楽しくて、また舞台がとても綺麗だったことから僕の好きなバレエ作品の一つになりました。
作品は有名なセルバンテスの同名小説を題材に、中世騎士道に憧れるドン・キホーテが召し使いサンチョ・パンサを伴って放浪の旅に出るなか、立ち寄ったバルセロナの街で若者たちの恋物語に一役買うという楽しいお話しです。
その物語を彩る軽快で心弾む音楽、鮮やかな衣裳に身を包んだダンサーたちのダイナミックにして華麗な踊り、コール・ド・バレエ(群舞)が創り出す隊形美、そしてこれら要素が相まってバレエ「ドン・キホーテ」はこの上なく楽しい作品に仕上がっていきます。
主役を演じた二人のダンサー、スヴェトラーナ・ザハロワとアンドレイ・ウヴァーロフはどちらもロシア人バレエダンサーで、その姿形が大変美しく、華があり、舞台映えします。踊りはダイナミックにしてかつ繊細、お客さんの気を惹くためにわざとオーバーアクションになりがちな派手な演出を抑え、気品のある舞台を魅せてくれました。何も考えず、目に映る綺麗な舞台と音楽に耳を傾けるひととき、それが僕にとってのバレエの魅力なんです。

2009年10月12日
大泉学園ゆめりあホールで行われたシャンソン歌手、中山エミさんのコンサートへ。プロフィールを見ると、「いずみたく氏にスカウトされたのちキングレコードよりデビューし、銀巴里などにも出演」といった経歴を持つ彼女は、現在は全国公演やディナーショーで活躍しています。かつてはラジオのパーソナリティを務めるなど才能は多岐に亘っているようですね。
コンサートは2部構成で、1部はシャンソンの名曲を中心に、2部はシャンソンに限らずカンツォーネやオリジナルの曲、さだまさしの曲が歌われました。何しろ声量が驚くほど豊かでそのうえ伸びがあり、まるでオペラ歌手のような迫力ある歌声に圧倒されました。曲によってはその声量が曲のイメージを変えてしまうようにも感じましたが、情熱的なカンツォーネはピッタリ。個人的にはカンツォーネやオリジナルの曲、さだまさしの曲を歌った2部の方がその声量が存分に生かされ、また、オリジナル曲での情感豊かな歌い方が曲のイメージと重なって、とてもステキに聞けました。

ところで、余談ですが、今日伺った“ゆめりあホール”の近くにある公共駐車場の係員が稀に見る親切な方だったんです。最初、ホールから遠い駐車場に車を入れてしまったのですが、ホール利用の旨を話すと、もう一ヶ所あるホールに近い駐車場への移動を薦めてくれたのですが、その際、駐車場の空き状況をわざわざそこまで見に行って調べてきてくれた上に、駐車場の場所がわかりにくいので通りに立って入口まで誘導してくれるなど、とても親切に対応してくれました。お陰で迷うことなく移動することができ、また、車イス用駐車スペースに無料!?で車を止めることができ、こんなに親切な駐車場なんて久しくなかったので二重三重の配慮に感謝感激でした。
そういえばホールの受付でも知的障害のある青年達が一生懸命にお手伝いをする姿を見かけました。不器用ながらもまじめにお手伝いしている姿には好感が持て、もしかするとこの大泉学園という街は障害者にやさしい街づくり、障害者の自立をサポートする街づくりを目指しているのかもしれません。少なくともこの僕には、駐車場の係員の心配り、ホールで一生懸命に働く彼らの姿がとても心地良く感じられ、僕の中で大泉学園という街のイメージアップが大きくはかられました。
2009年10月11日
国立劇場10月歌舞伎公演『京乱噂鉤爪(きょうをみだすうわさのかぎづめ)』。昨年に引き続き、江戸川乱歩作「人間豹」の続編で、前作同様に名探偵・明智小五郎と、殺人鬼で半人半獣の人間豹こと恩田乱学の対決を描いています。
この作品の魅力は明智と人間豹の息詰まる攻防戦もさることながら、全編に漂う乱歩の独特の世界観、それを表す奇々怪々な退廃美に彩られる舞台美術が魅力の一翼を担っています。今回もその幻想的世界観に魅せられる舞台であることは間違いありませんが、作品としては前作の方が面白かったかな。線の細い染五郎が年を重ねずいぶんと恰幅良くなり、大物感が漂ってきましたね。

2009年10月10日
映画『クヒオ大佐』。アメリカ空軍のパイロットと偽って女性たちから約1億円を巻き上げた実在の結婚詐欺師の話を映画化した作品です。
最近売れっ子の堺雅人と松雪泰子の共演と言うこともあり期待していたのですが、結論から言えば、全く面白くなかったです。またまた低レベルな日本映画を見てしまったって感じです。ストーリーはつまらないし、役者は活かされていないし、盛り上がりもなければ、泣き笑いもなし。要するに、全てに中途半端な作品です。そもそも脚本がダメなのでしょうね。
実力者、堺雅人さん、「南極料理人」でその名に恥じぬ名優ぶりを見せていただけに、なぜこんな作品に、こんな中途半端な役で出てしまったのか・・・・。堺さん、作品は選んで出ないと汚点になってしまいますよ。
公開初日にお客さんたったの6人です。あっ、そうか!僕たちが入場料、詐欺られたんだ!トホホ・・・・。

2009年10月4日
今日は公休日。お天気は今イチでしたが、この日どうしても見たい映画を追って、お馴染みの石和温泉へ。そこにあるレトロな映画館でそれは上映されていました。東京で上映している時、妻のお薦めの一本でしたが、どうしてもタイミングが合わず見過ごしてしまいました。ところが口コミなどでこの映画が秀作と評価されており、近々、その映画のメイキングがわざわざDVDで発売されるなど、今でもこの映画に対する関心が高いことを知りました。都市上映を終了し、今では地方上映のみになっていましたが、偶然にも僕の愛する石和温泉の、その温泉街にあるレトロな映画館で上映しているのを見つけ、矢も立てもなく今日見に行ったわけです。
その映画は『劔岳−点の記−』です。明治時代、地図を作るために前人未踏の劔岳に登頂した陸軍の測量隊員の物語で、劔岳の迫力ある大自然とそれに挑む測量隊員の情熱が迫力溢れる映像美と共に描かれます。とにかく大きなスクリーンで見る大自然の営みが圧巻で、CGを一切使わない監督のこだわりが映像に生きています。かつて見た山岳映画で今でもその迫力ある映像が忘れられない作品に「八甲田山」がありますが、今回もそれと同じ迫力ある映像でしたので調べてみると、そのときのカメラマンが今回の監督だったんですね。どおりで同じ迫力が感じられるわけです。その映像に合わせて流れるクラシックの名曲もピッタリ息があって映像に躍動感を与えています。
芸達者な役者さんが多数顔を揃えていますが、中でも測量隊の隊長役、浅野忠信の凛とした姿、山の案内人を演じた香川照之の謙虚で真摯な仕事ぶりは、かっていたであろう美しい日本人の姿をそこに見ることができ、見ているこちらまで背筋がシャンと伸びてくる気がします。それにしても、香川照之の熱演には拍手を贈りたいし、その役者根性が素晴らしいですね。
とにかく高評価をとるに足る、希に見る秀作です。間もなくDVDでレンタルされることでしょうが、遅まきながらも大きな映画館のスクリーンで見ることをお薦めするし、大きなスクリーンで見てこそ、この映画のすばらしさを再認識できます。おまけに石和温泉で湯浴みのひととき。ホント、充実したお休みでした。

2009年10月3日
仕事帰りに『立川志の輔落語会』へ。人気の噺家ですから会場はいつも満員。そもそも単独で落語会を開ける噺家は、数多いる噺家の中でもそう多くはないはずで、時折出かける小朝、小三治、そして今日の志の輔は三者三葉に人気・実力とも兼ね備えた噺家であることは間違いないようです。
機を見て敏・・・・ではありませんが、この三人とも噺を聞く度に思うのですが、頭の回転が非常に敏く、その機敏さが芸に生きていることが感じて取れます。例えば今日の志の輔も、未明に決まったオリンピック候補地決定の時事ネタを早速枕に取り入れて笑いをとる機敏さがあります。もちろん、絶えず時事問題など国内外のトピックスにアンテナを張ってネタ作りをしているのでしょうが、お客さんは直近で起こった時事ネタに結構反応しますから、その辺のツボはちゃんと押さえているわけです。
今日は中入り前に新作(エレベーターの防犯カメラをネタにした噺)を披露し、中入り後は古典か、と期待させましたが、残念!古典にあらず、森鴎外著「高瀬舟」を講談風に全編通しで披露しました。今年導入された「裁判員制度」において、人命の尊さを判断する際に一つの指針として題材にされる「高瀬舟」は“安楽死”がテーマとなって人命の意義を問うてきます。古典を期待していただけにちょっぴり残念でしたが、志の輔の至芸によって語られる「高瀬舟」を聞くことで、改めて人命の意義を考えさせられました。それはそれで意味のある落語会だったのかもしれませんね。でも、正直言えば、志の輔の語りでじっくり古典に耳を傾け、笑い、涙したかったな・・・・。

2009年10月1日
今日、10月1日は「都民の日」。学校勤めの恩恵で、都民の日は学校がお休みになります。この時期、学園祭の代休や今日の都民の日のお休みなど、平日休みが続くのでちょっと得した気分なんです。
そこで今日は東京ビックサイトで行われている「国際福祉機器展」へ。毎年この時期に行われる催しで、国内外の福祉機器がハード・ソフトを問わず一堂に介し展示されます。会場では展示された福祉機器について説明を聞いたり、実際に手にとって動かしてみることができ、実生活の中で役立つ最新の福祉機器の見聞を広める絶好の機会となります。
最終日とあって会場はかなり混雑していました。さすが福祉展とあって、車イスに乗る姿をあちこちで見られますが、その他の来場者を見ると僕たち以上に福祉の現場で働いている職員がたくさん訪れており(入口で配られるシールの色で一般とか業者とか福祉関係とか分かるんです)、僕たちのように障害を持つ者と同じく福祉機器に対する関心が現場職員にとっても高いことが分かります。
僕は3年連続で訪れていますが、この3年で大きく進歩した福祉機器、あるいは画期的な機器を目にすることはありませんでした。いつも思うことですが、展示品の6〜7割は障害者を介助する側の福祉機器であり、障害者の自立を支援・サポートする機器は余り見られません。
例えば福祉自動車の展示ブースを見ると、障害を持つ僕たち自身が運転するために必要な運転補助装置などの展示はほとんどなく(一部の個人レベルの業者にはありますが)、大手自動車メーカーのブースに並ぶのは、障害者を助手席や後部座席に乗せるための電動シートや乗降装置など、どちらかというと介助する側にとってより便利な福祉機器がそのほとんどです。自動車業界に限って言えば、欧米に比べ障害者の自立支援という点で日本はハード面の遅れが顕著に見られます。ソフト面(例えば自動車運転補助装置や自動車改造に関する規制など)も含め、日本の福祉機器に対する官民併せての発想転換が、障害者の更なる自立を促すことになると思うのですが・・・・。
さて、福祉展の帰り、ちょっと前にテレビで絶品料理ランキングと言う企画があり、それで第1位に輝いた日本橋人形町の洋食屋さん「芳○亭」のビーフシチューを食べに行ったのですが、これが期待ほどではない味にガッカリしちゃいました。
お肉はとろけるように柔らかくて結構なのですが、デミグラスソースが僕の余り好きではない濃いめのトマト味で、おまけに、添えられているスパゲッティがこれまた昔風の濃い味付けですから、シチューとスパゲッティの濃い味同士が混ざり合うと、口の中がコッテコテになってライスがなければ胸焼けを起こしそう。あのスパゲッティは要らないのではないかなぁ・・・・。
それ以上に残念だったのが店員の無愛想かつ横柄な接客態度。まさに“上から目線”でとても感じが悪かったです。不快な接客態度が気に障って、なおかつ苦手なトマト味ですから、否応なしに辛口評価になってしまいます。
日本橋人形町というちょっと粋な店が並ぶ街並みに、僕の好きな“昔懐かしい洋食屋さんのビーフシチュー”と言うことで期待に胸膨らましていただけに、その味、その接客が残念でなりません。老舗、名店と言われる店は味もさることながら、お客様への接客も一流であってほしいですね。
近頃やたらテレビでこの手の料理ランキングを放送していますが、所詮、味の善し悪しも分からない(と思われる)お笑いタレントが視聴者受けを狙って面白可笑しくランキングしたレベルですから、余り当てにはなりませんね。(歌舞伎座の近くにある「銀○塔」、この店のビーフシチューは間違いなく美味しいです。)