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姫路→糸魚川 同乗レポート |
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文中の<ちくま>と<アルプス>との接続に関する原文の記載に誤りであることを読者の方からのご指摘により気付きました。原文はそのままとしていますが、当該箇所に朱書き訂正のコメントを挿入しました。今回の記載ミスについて、深くお詫びすると共に、ご指摘をお寄せいただきました読者様に感謝申し上げます。<ちくま>と<アルプス>は松本でなく塩尻で接続していますので、ご利用の際にはご注意下さい。
神戸駅1番線で発車を待つリゾート白馬アルプス 平成12年7月19日姫路駅。
今日から今シーズンの臨時急行<リゾート白馬アルプス>の運転が始まる。1番列車は、始発の姫路を19時51分に発車する。海の日の休日を翌日に控え、ホームを行き交う人々の足どりも心なしか弾んでいる。
19時半をまわった頃から、姫路駅4番線には、この駅にはやや場違いな登山スタイルに身を包んで、重そうなリュックを背負ったグループが目立つようになる。その4番線には、今やすっかりアーバンネットワークの主となった223系の新快速電車野洲行が停車しており、空いているシートが少しづつ帰宅客で埋まってゆく。この4番線は、新快速専用ホームの感がある。三都を駆け抜けて来た電車は、このホームへ到着すると下り列車としてお役目を終え、僅かな折り返し時間の間に体勢を立て直して、再び上り列車として飛び出してゆく。電車が到着する度に、転換クロスシートをひっくり返す音があちことから聞こえてくる、4番線ではそんな折り返しの光景がほぼ終日に亘って繰り広げられている。<リゾート白馬アルプス>の発車時刻まで10分をきったが、お目当ての列車は一向に現れる気配がない。件のリュックのグループも、さすがに心配になってきたらしく、先程から、手にした指定券とホームの電光掲示板、そして目の前の新快速とを交互に見比べながら、不安な表情が隠しきれない様子。
19時46分に向かい側の3番線へ上郡発米原行の普通電車(824T)が到着し、その1分後の19時47分、4番線を占領していた新快速(3666M)が発車すると、ようやく発車案内を告げる電光掲示板の最上段に<臨時 リゾート白馬アルプス>と表示される。しかし、行先表示は信濃大町ではなく、なぜか糸魚川。そして駅のアナウンスもそれに呼応して「いといがわ!」。姫路駅の案内は糸魚川行!この誤表示は運転初日だけだったと信じたい。
今はどうなっているのか?は判りません。
発車間際の慌ただしい入線、間違った案内表示とそれを助長するホームのアナウンス。今日は運転開始初日だから、本来ならセレモニーぐらいあっても良さそうだが、そんな華々しさとは無縁のうちに、気がつくと、もう列車は動き出して早くも構内のポイントに差し掛かっている。鉄道ダイヤ情報誌8月号によると、<リゾート白馬アルプス>が回9501Dとして姫路駅4番線に据え付けられるのは19時49分。定刻でも入線は僅か2分前でしかない。しかし、実際の停車時間は1分も無かった様に思う。信濃大町まで583.8 km、12時間19分の長途の旅は、こうして若干の混乱と慌ただしさの中ではじまった。
後で調べてみて判ったことだが、<リゾート白馬アルプス>発車の僅か3分後、19時54分には、もう4番線に姫路止まりの新快速(3629M)が到着することになっている。だから、<リゾート白馬アルプス>は、4番線の僅か7分間の隙間を狙って設定されている。まるで針の穴を通すような際どい芸当である。♪♪ 懐かしいオルゴールが鳴り、
『みなさま、お待たせ致しました。臨時急行、リゾート白馬アルプス号信濃大町行です・・・・(中略)』
長距離夜行列車にふさわしく、非常にゆっくりとした丁寧な案内放送が流れる。
『これから、加古川・西明石・明石・神戸・三宮・大阪・新大阪・高槻・京都・大津・草津・米原とお客様にご乗車頂きまして、あすの朝、糸魚川には4時30分、平岩5時24分、南小谷6時09分、信濃森上6時44分、白馬6時47分、梁場7時39分、神城7時56分、終点信濃大町には8時10分の到着です・・・・・・・・(中略)』
私の乗車している5号車には、今のところ15番A席の私のほかは、デッキから入ってすぐの席にもう一人の男性客がいるのみ。この男性は、車掌から三宮までの急行券を購入していたから、察するに同業者ではないかと見た。いずれにせよ、今のところ車内は貸切同然である。
『この列車には車内販売はございませんが、途中、大阪で10分、新大阪9分、京都で10分間停車致しますので、お買い物はこれらの駅でお済ませ下さい。この列車の車掌はJR西日本のNが途中富山までご案内致します。ヨロシク御願い致します。』車掌の交代がキリのいい糸魚川でなく、なぜ深夜に運転停車(3時27着/28分発)する富山なのか? しばらく考え込んでしまったが、加古川を過ぎて車内改札に現れた車掌氏のネームプレートが「京都車掌区」になっているのを見て、なんとなく納得した。京都車掌区は<サンダーバード>や<雷鳥>の担当で、北陸本線は通い慣れた路なのだろう。しかし、それも北限は富山迄あり、それより先へは乗り入れていない。だから京都車掌区が担当している限りは富山で交代しなければならないのだろう。翌朝確認したら、富山〜信濃大町間は糸魚川地域鉄道部の車掌氏が担当していた。
姫路駅発車直後の5号車の様子。
見るからに寒そう!と思うのは私だけ?姫路を出てから、列車は90km/h程度の速度で流して走っている。決して鈍足では無いが日頃から 130km/h運転の新快速に慣らされてしまった身にはストレスを感じなくもない。しかし、今日ばかりは気動車の醍醐味を味わう為に乗っているのでスピードは二の次であり、とにかくキハ181に乗ったからには、久々にあの力強いエンジンの轟きを十二分に堪能したい。私の座席15番A席は、ちょうどエンジンの真上でこれは絶好のポジションに位置している。が、しかし同時に、クーラーの吹き出し口の真下、つまり直撃を受ける場所にも位置しており、この面ではあまり有り難くない席である。姫路を発車して10分も経たぬうちに、早くも無人の冷蔵庫の中に置き去りにされたかの様相を呈してきた。一旦寒いと感じると、それにつられてクーラーが奏でる騒音、吹き出し音が気になって仕方がない。その騒音たるや大したもので、床下から響いてくるエンジン音を掻き消す程である。お陰で発車直後にダッシュをかける以外は、気動車独特のエンジン音の心地よさを味わうこともままならず、これではサハ485あたりに乗っているのと何ら変わらない。気動車の感触、特にキハ181のサウンドを体得したいのなら、クーラーが活躍する夏場は避ける方が無難であろう。
西明石を目前にした大久保の手前で一段と速度が落ちたと思ったら、本線から別れて待避線に入ったところで停車した。大久保20時15分着/23分発。ここで8分停車する間に新快速長浜行(3668M)が先行する。こちらはちゃんと急行料金を払って乗っている。急行券の 1,260円は決して高くはないが、抜いて行った新快速は料金種別上は、所詮ただの普通列車。一体どうなっているんだ、舐めるなよ!とも云いたくなる。しかし、これなどまだまだ序の口、宵の口。そんな些細なことで目くじらを立ててはいけない。
大糸線沿線へ向かっているあなたが、ここでもし「急行料金を徴収するのに新快速に抜かれるとは何事か!」と激怒されるのならば、次の西明石(20時27分着)で一旦下車して駅前の喫茶店ででも休憩されることをお勧めする。残念ながら急行料金の払い戻しを受けることは出来ないが、車内とは違ったゆったりとした空間で、たっぷり1時間以上の休憩タイムを満喫出来る。そのほうが精神衛生上も宜しいに違いない。但し、西明石21時41発の新快速に乗り遅れないことが絶対条件である。
かくいう私はと言えば<リゾート白馬アルプス号>の走りっぷりを検証することが主たる乗車目的であるので、おいそれと途中下車する訳には行かず、そのまま乗り続ける。電車区間に入ったその西明石では、5号車に二十代とおぼしき女性二人連れを迎えて、多少なりともリゾートの名にふさわしくなってくる。
明石を出ると幾分スピードを上げる。車窓右手には、お決まりの明石海峡大橋のイルミネーションが見えてくる。習慣とはこれ恐ろしいもので、やはりここを通る時はどうしても大橋に眼がいってしまう。しかし、キハ181から見るイルミネーションが、通勤電車から眺めるそれと特段の違いなどある訳もなく、相変わらずのマリンピア渋滞の国道2号線を見ながら、やがて我が垂水駅を勢いよく通過する。ここから定期券で通い慣れた区間へ足を踏み入れると、どんどん日常生活へ引き戻されて行くようでどうも面白くない。見慣れたネオンが流れ去り、帰宅時にお世話になる時間帯の列車群と次々にすれ違うと、神戸駅手前のカーブへ差し掛かかり、速度は牛歩同然となる。神戸では新快速を待避する為に一番山側の1番線へ入り、ここで11分間停車する。(神戸20時47分着/58分発)
この11分間に改めてホームから全編成を眺めてみる。大阪以西の乗客は多くはない。それでも禁煙車の6号車と3号車を中心に既に50人ぐらいは乗っている。乗客の格好が一様に登山スタイルであること、網棚に大きなリュックが載っていること、そして座席を向かい合わせにした4人以上のグループの多いことが、この列車の特徴である。それでも乗車率にしたら、まだ10%に満たない。
2日前に叩いて貰ったマルスの画面には、4両ある禁煙車は全て満席、2両ある喫煙車は残席 134席と表示された。禁煙車から席が埋まっていく傾向は、最近特に顕著になっている。私はたばこを吸わないが、多少の煙は気にならないので、最近は空いている車内でゆっくりと過ごせる喫煙車をチョイスすることが多い。
最後部の運転台へたどり着くと、全ての窓を全開にして、先程の車掌氏が休憩中であった。この編成には中間車に車掌室の設備が無いので、車掌氏は後部運転台に陣取っている。直射日光を浴びない夜の列車とは云え、冷房装置の無いキハ181の運転台は乗務員にとっては辛いモノがありそうで、これで深夜3時半の富山まで耐えなければならないのだから、まったくご苦労様としかいいようが無い。しかし、車掌氏は客室へ出る機会に恵まれている?だけマシかもしれない。
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折り返して、今度は先頭の運転台を見に行くと、運転士氏は不在でその替わりにホームからは開け放した窓越しに運転席の時刻表がよく見える。それによると姫路・大阪間は姫路列車区の運転士(2641行路)の担当である。しばらくしても運転士氏が戻ってこないので、不審に思ってふと車内を見廻したら、6号車の車内で涼んでいる氏の姿が見えた。とにかく今晩は暑い。
姫路〜大阪間の運転時刻表(姫路列車区担当)
最高速度が120km/hと記載されていることに注目!
それにしても、時刻表差しの照明(ピンク)がなんともエロチックです。ホームを巡回している間に、隣の2番線に20時52分発の新快速草津行(3670M)が到着して、足早に発車していく。その新快速にばかり気を取られていると見落とすのだが、実は同時刻に3番線から快速電車も先発する。この快速( 824T)は、先程、姫路駅で我が<リゾート白馬アルプス>の入線2分前に上郡から到着し、我が列車に遅れること2分、19時53分に姫路を発ってきたものである。更に付け加えると、20時48分に高槻行普通電車( 248C)が、そして20時58分には松井山手行普通電車(2358C)も先発する。その2358Cは、元町駅停車中にこちらが一旦追い抜いて、客扱いの為に1分停車した三宮では再び敵が先行し、六甲道でやっと完全に追い抜く。普通電車を相手に抜きつ抜かれつを展開するが、それでも最終的には、なんとか急行としての面目は保つ。しかし、 248Cの方は驚く事なかれ!終点の高槻まで当方より先着するのである。だから、<リゾート白馬アルプス>は急行でありながら、新快速電車のみならず普通電車にまでも抜かれる、なんとも不名誉な急行の汚名を着せられているのである。
神戸駅で新快速(3670M)と快速(824T)が揃って抜いて行く。 平日ダイヤでは大阪駅の着前、多分福島駅近傍のカーブの当たりで、相棒の特急<白馬アルプス>号西明石行と離合することになっている。しかし、相棒は今私が乗っているこの列車が戻ってくる明晩が運転初日になるので今日は運転がない。大阪駅には21時24分到着。夜行長距離列車に相応しく11番線へと入る。
大阪駅11番線に到着した<リゾート白馬アルプス>
ここで運転士が交代する。今度は信濃大町行と正しく案内表示された大阪駅は、連休前夜の雰囲気が満ちあふれている。到着と共にリュックを担いだ登山スタイルの乗客が大挙して車内へなだれ込んでくると、ようやく営業列車らしくなる。ホームに腰を降ろして、こちらを恨めしそうに眺めている一団は2時間後の急行<きたぐに>号の自由席を狙っているのであろう。
大阪駅の案内は勿論、信濃大町行 気が付くと反対側の10番線もたいした混雑である。21時30分発の新快速米原行(3672M)を待つ帰宅客に、21時42分発の急行<ちくま>の自由席の大行列が加わって、離れていてもその熱気が十分に伝わってくる。その3672Mで姫路を発車して以来、既に3本の新快速に抜かれたことになる。21時34分、隣の10番線に急行<ちくま>が入線して来ると同時に、こちらは大阪駅を後にする。それにしても、キハ181から眺める急行<ちくま>の車内は、まばゆいばかりの光に包まれ、いかにも快適そうなリクライニングシート並ぶ異次元の空間に見える。ところが、こちらはどうであろう。シートこそ、今ふうのリクライニングするタイプに交換されているものの、無粋で寒々とした蛍光灯に照らされ、しかも旧態然とした車内は、一夜の宿としてはどことなく侘びしく、うらぶれた感は否めない。
大糸線へ向かっているあなたが、ここでもし「同じ急行料金を徴収するのに、この差は何なんだ!!」とお怒りになるならば、次の新大阪で降りて<ちくま>に乗り換えることをお勧めする。<ちくま>は大糸線には入らないが、未明の松本(4時41分)で降りて、1時間20分のインターバルの後に大糸線の普通電車へ乗り換えれば、このまま乗り通すより1時間も早く、信濃大町には7時09分に到着する。もっとも、この場合は未明の松本駅で寝過ごすかもしれないリスクを負うことになる。
余談だが、昔の<ちくま>は、未明の松本で新宿から来る夜行急行の<アルプス>に絶妙なタイミングで接続して、もっと早く大糸線沿線へ到達出来た。しかし、いつしか下り<ちくま>の大阪発時刻が繰り下げられて、今では<ちくま>が松本に到着する僅か9分前に<アルプス>が発車すると云った絵に描いた意地悪なダイヤになっている。これは誰がどう見ても、某C社と某E社の確執の賜物としか云いようがない。だから、<リゾート白馬アルプス>は漁夫の利ならぬこのスキにつけ込んで、設定されている列車と言えなくもない。(この記述には誤りがあります。)
注記(8月6日追記)
現在、両列車は松本ではなく塩尻で接続しています。
<ち く ま> 塩尻04:00着/04:30発
<アルプス> 塩尻04:08着/04:11発ご利用の際にはご注意下さい。
もともと、この季節の関西から大糸線への夜行の需要は少なくないはずで、今日は運転されていないが、381系を使った臨時急行<くろよん>号も設定されている。この<くろよん>は、我が<リゾート白馬アルプス>同様に、乗り換え無しで関西圏と大糸線を結んでおり、列車そのものの性格や対象とする客スジは、<リゾート白馬アルプス>と何ら違いが無さそうに見える。大阪の発車時刻が、<リゾート白馬アルプス>より20分早くなるものの、信濃大町には5時30分(2時間55分早着)、終点の信濃森上には6時07分(37分早着)と、多少なりとも早く到着することが出来る。
察するに、<くろよん>はJR西日本が設定している列車と思われる。しかしながら、自社の利益になるのは、大阪・米原の自社エリア走行分のみで、あとはお隣のC社と、そのまたお隣のE社の取り分になる。それに対して、<リゾート白馬アルプス>がたどる北回りは、大阪・南小谷間が自社の収入になるので、素人が考えてもその差は絶大である。だから、JR西日本としては、<リゾート白馬アルプス>を運転している期間中は、<くろよん>なんて手間ばかりかかって、実入りの少ない余計な列車は、出来ることなら運転したくないのが本音であろう。
今夏のシーズンは、7月21日,28日,8月4日,11日に<リゾート白馬アルプス>と<くろよん>の両列車が運転される。いずれも金曜日の夜に大阪を発つパターンで、人の動きが最も活発な日に当たっている。こう考えていくと、<くろよん>は自社の実入り云々というより、経路は異なるが、<リゾート白馬アルプス>の続行便的役割を果たしていると云えそうである。
大阪からは、やっと休前日のリゾート列車らしくなって、人も増えたせいか車内の温度も心持ち上がってきたようだ。それでも、鳥肌はまだ収まっていない。大阪では10分停車したばかりであるが、5分走って淀川を渡った新大阪では14番線へ入り、ここで再び9分間も停車する。姫路にしてもそうであったが、この臨時列車は、帰宅列車と夜行列車のスジが立て込んだ僅かな隙間を縫うように設定されている。だから、一見旅客サービス上に見えるこうした長時間停車も、実は運転上のスジの空きを狙って仕方なく停車しているのであって、臨時列車設定の苦心の跡がうかがえる。
よく考えてみると今まで自分の乗った列車が新大阪駅の14番線へ入ったなんて記憶は無い。ところで、うっかりしていたので気付かなかったが新大阪で14番線へ入ったと云うことは、ヒョットすると大阪からは内線を走ってきたのではないかと思う。(新大阪21時39分着/48分発)
新大阪では、まず21時42分に12番線から特急<スーパーはくと12号>京都行と13番線から快速野洲行 (826T)が見事な同時発車を演じてくれる。続く21時45分には13番線から普通電車京都行(1222C)、そして21時46分には12番線から急行<ちくま>、と9分間の停車中に4本の列車が、次々と抜いていくので、待たされていても飽きることがない。
46分発の<ちくま>が客扱いに手間取って遅れたので、新大阪では奇しくも当方と同時発車となった。えっ?、どうしてそんな芸当が出来るの?とお思いの方もいらっしゃるだろうが、実はいよいよこれから京都までが、<リゾート白馬アルプス>の最大の見せ場?なのである。
急行が内線を走ってはならぬ、との規則は何処にもないので、良くいえば方面別複々線の強みを活かして、逆に悪くいえば苦し紛れに新大阪からは内線を進む。だから、外線を行く<ちくま>との同時発車が可能なのである。最初の見せ場は待つほども無くやってきた。21時54分、吹田駅の手前で隣の外線をもの凄い勢いで新快速野洲行(3674M)が駆け抜けて行く。敵も、こちらが急行であることを察知したのか、わざと制限速度ギリギリの130km/hで追い抜いて行った様に思える。
対するこちらは、そんな敵意など知るはずもなく新大阪発車して以来、速度は40km/hから50km/h程度で、超が付くほどの鈍足をキープしている。それもその筈で、先程新大阪で3分前に見送ったばかりの201系普通電車(1222C)が、<リゾート白馬アルプス>の行く手を阻んでいるのである。驚くべきことに、この普通電車は全ての駅に停車しながら、京都までそのまま先行するのである。途中唯一の待避駅、高槻でも進路を譲ってはくれない。この時間帯は外線へ入り込む余地が全く無いので、とにかく普通電車の金魚の糞に徹っして内線を進むしか無いのである。
22時08分に高槻に到着したところで5号車への新たな乗車は無い。その僅かな停車中に、EF81の牽引する貨物列車が外線を駆け抜けて行った。姫路を出てから先程の吹田手前の新快速で、ちょうど10本の列車に抜かされたことになるが、まさか、貨物列車にも抜かれるとは思わなかった。抜いて行った列車はこれで都合11本。
勤めを終えた通勤電車が休んでいる電留線を見ながら高槻を発車すると、すこしはマシな走りを取り戻す。このあたりから駅間距離も長くなるので、先行の201系の足も速くなったと見える。次の見せ場は、桂川橋梁を渡っている時で、またまた新快速長浜行(3676M)が轟音と共にあっさりと抜いて行った。そして、その新快速のすぐ後には関空特急<はるか58号>が迫っているはずで、ダイヤ上は京都に同着となるのであるが、残念ながら5号車からはそのシーンを確認することが出来なかった。同着であるので、<はるか>は抜かされたカウントには計上しない。
22時31分やっと京都に到着する。大阪発車から実に58分を要している。ともわれここが最後の休憩地で22時41分の発車まで10分停車となる。到着した1番線は自動販売機や売店が豊富にあって、10分間の買い物停車には誠に都合がよいが、しかしながら、駅ビルのひさしが覆いかぶさって屋根の代わりをしている1番線は、気動車が長時間停車するにはあまり宜しくない構造である。京都駅停車中に快速くずれの普通電車米原行 (828T)、続いてホームの無い中線を2本の貨物列車が先行し、これで都合15本の列車に抜かされたことになる。
改めて京都駅停車中にホームから車内を眺めてみると、マルスの予告通りに4両の禁煙車はほぼ満席。それとは対照的に喫煙車は5〜6割の乗りでその差は歴然としている。私の隣の15番B席、そして通路を挟んだCD席、更には1つ前の14番AB席は、幸いな事に京都でも埋まることがなく、空いたままである。目下の関心事は、14番AB席の動向である。
白い馬で白馬!?
往復共にこの安直なヘッドマークを使用する。北陸を目指す列車ではあるが、この列車は京都を出ても湖西線を短絡することなく、伝統の湖東路を進む。気が付くと、京都からは外線へ戻っている。しかし、逢坂山トンネルを抜けて滋賀県へ入った大津も草津も、湖東経由に敬意を表して乗ってくる客の姿は見当たらない。草津を過ぎた頃にようやく車掌氏が5号車に現れる。既にあちこちからいびきも聞こえててきいるが、車掌氏は申し訳なさそうに一人づつ丁寧に詫びながら、大阪駅以降で乗車したお客さんの指定券を丹念にチェックしてゆく。6両編成で全車指定席とはいえ、指定券だけで乗車券を所持していないお客や、飛び込み乗車のお客への対応、そして停車駅での運転扱いを全て一人でこなさなければならないので、今日のように乗客が多いとこうなってしまうのだろう。ここで乗務員を弁護している訳ではないが、どう見てもこれは客観的な事実である。
野洲では、通常上り列車が発着する3番線ではなく、その外側に設けられたホームの無い線路へ入り、駅舎もホームも遥か後方に過ぎ去って、だいぶ行き過ぎたところでやっと停車した。行き過ぎたと云っても、オーバーランした訳ではなく、停止位置目標にあわせて停車するとこうなるのであろう。勿論、停車したのは野洲駅の構内で、別に誤った着発線へ進入した訳ではない。野洲23時13分着、ここで12分間の運転停車をして、この間に新快速米原行(3678M)と東京行の寝台急行<銀河>が先行する。姫路を発車して以来、都合17本目の列車になる<銀河>が最後の追い抜きで、23時25分に野洲を発車すると、やっと人心地がついたような気分になった。
それにしても、始発の姫路を発車してからここまでに既に3時間31分が経過している。ちょっと大袈裟かもしれないが、姫路を発車したのが遙か昔の様に感じられる。途中で6本の新快速が追い抜いて行ったが、最初に大久保で抜いた 3668Mは我が<リゾート白馬アルプス>がそろそろ京都に着こうかという時分には、もう終点長浜に到達している。そして、折り返して普通電車京都行( 921M)に変身したその編成とは、先程篠原ですれ違った。
これまで数え切れないほどの夜行列車にお世話になってきた。列車名は忘れてしまったが、上野を夜半に出て飯山線のスキー場直行する12系の臨時急行では、一晩中スキーヤーの奇声と笑い声、何処からともなく聞こえてくるラジカセの騒音に悩まされて殆ど眠ることが出来なかった。夏休み中にだったか、新宮発天王寺行の夜行鈍行(12系客車)では、新宮を出てすぐに熟睡するも深夜の白浜から大挙して乗り込んできた非常識な奴らがバカ騒ぎして叩き起こされたこともある。大垣夜行には、今でも青春18切符のシーズンになるとよくお世話になる。最近では、スーツ姿で乗車する機会も多いが、シーズン中のこの列車の車内マナーは、車両が165系から373系に更新されても一向に良くならない。
実を云うと、今日の<リゾート白馬アルプス>も少なからずその種の危惧を抱きながら乗っていた。しかし、そんな不安は全く杞憂であることが判ってきた。山歩きは私の守備範囲ではないが、考えてみればそれは体力が勝負のスポーツの一種なのであろう。だから、翌朝からの体力との戦いに挑む登山屋さんは、飲食も笑談もそこそこして、列車に乗ったらとにかくひたすら眠りに徹するのである。減光こそされてはいないが、6割方の座席が埋まっているにもかかわらず、23時半をまわった車内からは、単調なエンジン音とそれを上回るクーラーの音しか聞こえてこない。
新幹線の高架をくぐって、23時56分米原に到着する。野洲で抜いた新快速で追いかけて来た人が多少は乗ってくるかと見込んでいたが、もう、乗ってくる人も見えず2分停車の後に、直ぐに発車となる。大阪から通しで担当していた大阪電車区の運転士が、金沢支社の運転士に引き継いだ筈であるが、確認のしようもない。真っ暗な坂田駅を通過したところで、再度チャイムがなる。ややトーンを絞った声で、
『みなさま、今日は臨時急行リゾート白馬アルプス号信濃大町行をご利用頂きましてありがとうございます。つぎは糸魚川です、4時30分に到着します。続きまして平岩5時24分、南小谷6時09分、信濃森上6時44分、白馬6時47分、梁場7時39分、神城7時56分、終点信濃大町には8時10分の到着です・・・・・・・・(中略)』
『車掌は深夜、車内を定期的に巡回致しますが、おやすみの際はくれぐれも貴重品のお取り扱いには十分ご注意下さい。この列車の車掌はJR西日本のNが途中富山までご案内致します。・・・・・・・(中略)』
『すでにおやすみになっていらっしゃる方もおられますので、マイクによるご案内は緊急の場合を除きまして、あすの朝、糸魚川着前まで控えさせて頂きます。・・・・・(中略)』
『間もなく致しますと、車内の照明を落とさせて頂きます。それではごゆっくりとおやすみ下さい。』
放送が終わると間髪を入れずに照明が落とされる。長浜を通過してアーバンネットワークのエリアを脱出したことを確認して、最後まで主が現れなかった14番のAB席を向かい合わせにして、4席を独り占めにする。姫路を出て以来、悩まされてる冷風の直撃はまだ解決されていないので、手持ちのタオルを肌に巻きつけて寝ることにする。
夜中に三度眼が醒めた。多分、福井と金沢と富山だったと思う。そのうち、後の二回はクーラーが止まって静寂が支配していた。だから、発車する時のエンジンの爆音がモロに伝わってきて眼が醒めたのだろう。夜の北陸路でどのような走りをしたのかは、熟睡してしまったので残念ながら全く記憶にない。
突然、車内が明るくなる。と同時に聞き慣れない声でおはよう放送が始まる。
『あと5分で糸魚川、いといがわに到着します。お降りのお客様、お支度下さい。』
起き上がって、外を見るとちょうど青海駅を通過したところで、その向こうに朝凪の日本海が広がっている。今日も天気は良さそうだ。
『2番線に到着、お出口は右側です。糸魚川では4時43分の発車まで13分停車致します。・・・・・・・・・・(中略)』
『糸魚川を出ますと、平岩、南小谷、信濃森上、白馬、梁場、神城、終点信濃大町の順に停車してまいります。間もなく、糸魚川です。』
4時30分糸魚川定時到着。8時間半もお世話になった車両に別れを告げ、ホームへ降りると、実にすがすがしい。そして、海に近いせいか磯の香りも漂ってくる。しかし、ホームの電灯は消えたままで、まだ完全に陽が昇り切っていないから、駅全体が真っ暗でなのは、一体なのはどうしたことか?これには、ちょうどホームへ降りてきた運転士も車掌氏も顔を見合わせて首を傾げている。
ややあって、一斉に照明が点灯してやっと駅らしくなると、それを潮に次々と乗客がホームへ降りて来る。思いっきりのびをする人、ホームで洗面する人。汽車の時代からそのまま手が着けられてなさそうな、陶器製の洗面台が糸魚川駅にはまだ残っている。
糸魚川の13分間にホームで洗面を済ませる人も。
4時37分に向かいのホームに上野発金沢行の寝台特急<北陸>が到着して、<リゾート白馬アルプス>は、その接続を取って発車することになっている。しかし、どうしたことか<北陸>が現れることも、また遅れるとの何のアナウンスもなく、定刻の4時43分になると、<リゾート白馬アルプス>号は、力強いエンジンの響きを残して大糸線へ向けて発っていった。その後、20分ほど遅れて4時50頃特急<北陸>がやってきた。糸魚川まで<リゾート白馬アルプス>のハンドルを握ってきた運転士氏が、疲れた表情で先頭のEF81に消えていくと間髪を入れずに発車していった。
進行方向を変え、大糸線へと力強く踏み出して行く<リゾート白馬アルプス>
これから信濃大町まで、まだ2時間半も要する。
かつて日本の非電化区間の主役に君臨したキハ181系も、今では山陰スジにで細々と残るのみで、その勢いは年々衰退する一方である。そして、定期運用も徐々に減らしつつある。それでも、所属基地のひとつが、たまたま需要地の京阪神に位置していることに加え、日本有数の観光地大糸線への自社区間の近代化が遅れていることが幸いして、冬のシュプール号をはじめ、ここにご紹介した様なキハ181を使用した臨時列車が京阪神発着で運転されている。まだまだ、その健在ぶりを実感させてくれるのは嬉しいことである。とはいいつつ、山陰高速化プロジェクトが完成する平成13年度には、山陰地区の気動車地図に大変革が起きるのは避けられない状況で、JR西日本に配置されているキハ181も、この次点がその後の運命を占う何らかの転換点になることは間違いなさそうである。
残された時間は多くないが、季節限定でJR西日本がカバーするエリアの、限りなく東の端まで走破する、この<リゾート白馬アルプス>を組み合わせて、「JR西日本気動車乗り継ぎの旅」としゃれ込んでは如何だろうか。
ここで、垂水運転所イチ押しの乗り継ぎプランをご紹介する
小倉 9:14 特急<いそかぜ>
米子 15:29 キハ181 JNRカラー
米子 15:32 快速<とっとりライナー>
倉吉 16:22 キハ58 JNRカラー
倉吉 16:50 特急<スーパーはくと10号>
姫路 18:58 HOT7000
姫路 19:51 急行<リゾート白馬アルプス>
信濃大町 8:10 キハ181
リゾート白馬アルプス号ひとくちメモ
運転日 姫路発7月19日〜8月12日までの毎日と8月17日・18日
(復路の特急<白馬アルプス>号は、上記の翌日に運転)車 両 京都総合運転所のキハ181系×6両で運転する。
期間中、リゾート白馬アルプス→白馬アルプス用に2編成が用意され、1日おきに同じ編成で運用されるものと思われる。
(姫路発7月19日の編成は下記を参照)特記事項 夏期多客時の増結用として今年も後藤総合車両所から7両のキハ181が京都総合運転所へ貸し出されている。これら7両のうち、6両は懐かしのJNR色である。
鉄道ダイヤ情報8月号の記述によると、「後藤からの借入車は汚物処理装置未整備車が含まれているので、JR東日本乗り入れを配慮して、<リゾート白馬アルプス>は、京都所のリゾート色で編成を統一するのが通例である」、と記載されている。
ところが、姫路8月4日発信濃大町行の<リゾート白馬アルプス>は、6両中岡山方の3両がナント!!JNR色であった。(岡山方の先頭車はキハ181−15)つまり、久々に大糸線へJNRカラーのキハ181が入線していることになる。ちなみに、もしこのまま順当に一日おきに運用されると、姫路発偶数日の列車はJNRカラー混色編成で運転されることになる。
リゾート白馬アルプスの編成(姫路発7月19日)
全てリゾート色← 糸魚川 6号車
キハ181
49
(京キト)5号車
キハ180
36
(京キト)4号車
キハ180
77
(京キト)3号車
キハ180
79
(京キト)2号車
キハ180
40
(京キト)1号車
キハ181
21
(京キト)→ 姫路 禁煙車
指定席
指定席
指定席禁煙車
指定席禁煙車
指定席禁煙車
指定席
【注意】これは姫路〜糸魚川間の順序。糸魚川〜信濃大町間は逆編成となる。
リゾート白馬アルプスの運転時刻表
(平日ダイヤ)列車番号 回9937D 着 発 記事 向日町操 = 15:58 茨 木 16:16 16:26 大 阪 16:40 16:48 大久保 17:37 17:43 姫 路 18:10 18:25 網 干 18:36 = 列車番号 回9501D〜9501D〜9110D 着 発 記事 網 干 = 19:38 姫 路 19:49 19:51 加古川 20:04 20:04 大久保 20:15 20:23 運転停車 3668Mが先行 西明石 20:27 20:28 明 石 20:32 20:32 神 戸 20:47 20:58 3670M, 824T, 248C, 2358Cが先行 三 宮 21:02 21:02 大 阪 21:24 21:34 3672Mが先行 新大阪 21:39 21:48 62D, 826T, 1222C, 4801Mが先行 高 槻 22:08 22:08 新大阪〜京都間 3674M, 3676Mが先行
高槻駅 貨物列車先行京 都 22:31 22:41 828T, 貨物列車, 貨物列車が先行 大 津 22:52 22:52 草 津 23:02 23:03 野 洲 23:12 23:25 運転停車 3678M, 102列車が先行 米 原 23:56 23:58 敦 賀 0:42 0:44 金 沢 2:28 3:27 運転停車 富 山 3:27 3:28 運転停車 糸魚川 4:30 4:43 平 岩 5:24 5:43 南小谷 6:09 6:24 千 国 6:28 6:32 運転停車 信濃森上 6:44 6:44 白 馬 6:47 7:20 神 城 7:27 7:27 梁 場 7:39 7:56 信濃大町 8:10 = 列車番号 回9111D 着 発 記事 信濃大町 = 8:32 神 城 8:46 8:49 信濃森上 9:07 9:07 南小谷 9:20 9:25 糸魚川 10:08 = 鉄道ダイヤ情報8月号を参考にしました。
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