沙河粉
Sa Fo Fan: Rice Noodle Guangdong Style





中国の北方は小麦を主食とし、南方は米を食べる。それはそのとおりですが、米といっても、加熱した米粒を茶碗に盛って食べるだけではない。小麦陣営に負けじと、米も粉にしてから違う形に加工して食べるオプションがある。台湾や福建の代表的主食、ビーフン(米粉)は有名ですが、もう一声、そう、沙河粉サーホーファンを落としてはならぬ。「あの、きしめんみたいな!」といえば、知ってる人は全員知ってる。幅広で薄くてつるつるで真っ白の、どんな時でもいくらでも入ってしまう、愛すべき南方の主食です。
沙河粉サーホーファンとは広東語。広東語圏の中心も中心、広州市の沙河という場所で生まれたと言われています。沙河の「粉」だから沙河粉。というわけですね。「粉」とは米の粉を原料にした麺類全般を指します。小麦製の麺(「面」)とは決してごっちゃにしないんですね。
ちなみに、同じものを福建語で「貴*クェイティアオ」というそうです。漢字も入力できないし、福建語の発音も知らないため、きちんとご紹介できずに申し訳ありません。主に香港や東南アジアでメニューによく「炒貴*」というのが出てますが、それはコレのこと、だそうです。

さて、沙河とは、現在の広州市市街地の北東部、広州東駅からほど近い場所。早くから賑わった下町だったはずですが、何しろ広州市という都市は、「一年一小変 三年一中変 十年一大変」のスローガンのもと、市内全域の大規模再開発プロジェクトを展開中。2001年時点では「三年一中変」段階に突入していますが、この沙河地区でも2000年には工事中だらけだったのが2001年には完了したもようで、周囲の景観は昔日とは一転した。はず。
しかしー、遠からず広州市街全域、すっかり見違えてしまいそうだぞ。今のうちに見とかないと、古い街の景色は早晩見られなくなりますな。






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まずは永遠の定番メニューから。知ってる人は誰でも知ってる、沙河粉界のソース焼きそば!それでは何のことか却ってわからん。まあ何にしても、干炒牛河コンチャーウアウホーであります。牛肉の薄切りとニラともやしを入れて炒めた、しょうゆ味の憎いヤツ。家父長的施政でならすかのシンガポール政府が、「油分が多く体に悪いのであまり食べないように」と国民に指導したとかしないとか言われる、いわくつきの一品。ちがーう、そりゃ河粉でなく、その政府のほうがいわくつきなんじゃーー!!!
ちなみに、とろりとしたあんかけ状の「湿炒」という作り方もあります。でも何故かこっちが定番だね。
ところでこのお店、豆乳を置いているので、よく頼みます。右の写真も同じです。栄養と安心感を補給する気分になれる。
干炒牛河が定番中の定番でありますが、河粉は別に焼きそば式に炒めて食べるだけじゃない。スープに入れて汁そばにもします。風邪気味で胃腸の調子がもうひとつの時、晩秋や冬の冷え込む夜(広東にだって冷え込む時はある)、湯河粉のやさしいぬくもりは涙が出そうなくらい嬉しい。
で、この日は、猪肝湯河チュイーコントンホー。そう、豚レバーと青味のレタスのみを具に入れてもらいました。細かいことはおいといて、とにかく、豚の肝の新鮮な味わいが、噛んだ瞬間ダイレクトにわかります。鮮度を食べるとはどういうことか、骨の髄まで学びとった。猪肝湯河えらいっ。




さて、広州市の沙河、つまり沙河粉発祥の地には、沙河粉のメッカを自任する料理店がある。いかにも年季の入った老舗「沙河大飯店」がそこ。いい味出してるんですよー、ほんとに。2000年夏と2001年春、しつこくも2回にわたって詣でて来ましたぞい。 メニューを開くと、普通のお店と同じいろいろなラインナップのほかに、こういうページが。「正宗山水沙河粉」。近くの白雲山の清浄な水で作った本場の沙河粉、と。珠江の最下流地域のデルタ真っ只中にあって、山の湧き水を料理に使うことは、即ウリになるんですね。 左の写真がページの上半分で、これが下半分。バリエーションがとにかく豊富。ココアミルク味?ごまだれ砂糖味?なあんと、甘い河粉がある!それに、巻いた河粉、ボール状の河粉。確かにそんなの、見たことないぞ。





で、周囲のテーブルを見るだに魅力的だったコレをとにかくお願いしてみた。鮑汁肉糸篭仔粉パアーウジャッヨッシーロンチャイファン。ハスの葉を敷いた蒸篭で蒸し上げたものが運ばれてくると、お姉さんが卓上でオイスターソースをかけてくれる。→ →そして、引き続いてお箸で混ぜ合わせてくれる。湯気が上がると同時にかぐわしい香気があたり一面に広がり、期待がいやが上にも高まるのである。味?おいしかったですよもちろん!





青菜の絞り汁を入れて作った、翡翠河粉フェイチョイホーファン。これが食卓に来るだけで、気分がまたがらっと変わる。イタリアのパスタと言われても信じそうだね。あっさり味にしてあって、これがまたぴったり。 味に変化をつけるには、例えばこれ、辣三糸炒河ラーッサムシーチャーウホー。ピリ辛河粉です。何げにけっこう来ますよ、これが、後になればなるほど。おいしかったです。





河粉以外の料理も少しいただいて、食事をより楽しみます。チョイスはいろいろありますが、お店の人におすすめを聞くと、とりあえず「鶏を食え!」とおっしゃいます。これも河粉同様、おいしい山の水で作った茹で鶏だから味が違う!ということだそうで。 これは鶏ではなく、がちょう。焼鵞ですね。日本ではなかなか食べる機会に恵まれないごちそうです。もちろん、横浜や神戸のしかるべきお店に行けばいいけれど、そうどこにでもあるものではありません。 広東料理を食べる以上、青い野菜は不可欠です。必ずたしなまなければなりません。青い野菜もいろいろありますが、季節さえ合えば、十中八九は通菜トンチョイを頼んでしまう私であります。だって日本にはないから。(聞けば、同様な癖を持つ華南マニアはわりと多いらしい)





ひとりぶんの器に材料を入れ、紙でふたの隙間を封じて器ごと湯煎で加熱したスープ。これは天麻[火屯][奄鳥]鶉ティンマアダンアムチョンといいます。入力すんの大変。うずらの煮込みです、要は。天麻とはめまいなどに効く漢方薬材だそうで。 ちっとピントが甘くなってしまいましたが、こんな感じで、うずらが一羽まるまる収まっております。エキスの出たスープを主に味わいますが、具ももちろん食べてかまいません。





沙河大飯店のロビーとレストランを結ぶエレベーターの中に、こんな宣伝ポスターが。同店の河粉が新聞各紙に紹介されて大評判だという話です。老舗の威信ってやつですかね。「人民日報」やら果ては「参考消息」だっていうからすごい。





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