点心/Dim Sum






飲茶。広東文化圏の人にとって、食事入浴排泄睡眠と同じくらい基本的で欠かせない生活の一部である。飲茶という言葉自体は「お茶を飲む」という意味だが、実際には、「お茶を飲みながら様々な点心をつまむ」こと。もっぱら飲茶の時に供される、正式な料理には入らない小さな軽い食べ物が点心だ。

飲茶は本来、朝にするものだった。朝の早いお年寄りが日課の散歩や体操のあと、古い茶楼でひとりゆったりと飲茶を楽しむ。そんな光景は今も健在だ。軽い朝食にあたるのだが、広東文化の概念では、食事にはカウントされない。飲茶は食事とは違うのだそうだ。ただ、今日の香港では飲茶はランチまたはブランチになっている。
いっぽう、大陸の広東省では、飲茶はお昼前にしまうところがほとんど。昼食と夕食はあくまで「食事」を出すのだ。ところが、そんな広東省の酒楼が、夕食を終える9時前ごろからまたおもむろに点心を出し始める。なんと夕食後の夜食タイムとして、また飲茶をするのだ。「飲夜茶」と言う。こんな調子で明け方近くまで営業する店もごろごろあるから、広東人、いつまで遊んでる。

点心には無限に種類がある。いくらでも工夫がきき、何を使ってどんなものを作り出してもいいのだ。1000種類ありますとか、何年通ってもらっても食べきれませんぜとか、いろんな売り文句が飛び交っている。しかし、種類も多いほうがいいが、何よりいいのはやっぱり味がいいことだ。定番の蝦餃や腸粉がまずい店がもしあれば、誰にも見向きもされず、たちどころにつぶれるだろう。みいーんなが食にはうるさいからね。食い道楽だからね。

ちなみに、点心はもともと、前夜にレストランの厨房に残った材料のリフォームから生まれたらしい。刻んでつぶして、混ぜて、こねて、成形して皮にくるんで、せいろごと蒸して......というのはすべて、再加工のテクニックだという。広東料理は徹底して新鮮な素材にこだわる料理だ。宵越しの材料を使う点心が、料理と見なされないのも、何となく勝手にうなずける。





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日本人の人気ナンバーワンかも知れない。言わずと知れた蝦餃(ハーガウ)。ふつうひとつの蒸篭に4つ入ってる。ひとつ食べちまってから思い出したように撮影してるんざますのよ失礼。 地元の人の一番人気はひょっとしてこれ?誰もが必ず食べる、腸粉(チョンファン)。不肖私も大好物ですよーだ。米粉の生地を巻いてある姿が腸みたいだからこう言うとか。中身は蝦、牛肉、チャーシュー、精進(筍・きくらげ他)など。 真珠鶏(チャンジューカイ)。小さく刻んだ鶏肉の入ったもち米を、蓮だか何だったかの葉にくるんで蒸してある。味のしっかりついたおこわですな。葉の移り香もいとよろし。



広東粥の定番、皮蛋痩肉粥(ペイターンサウヨックジョック)。となりはいわゆる油条、香港人は油炸鬼(ヤウジャーグワイ)と呼びます。お粥にひたしたりちぎってほうり込んだりする。朝の最強コンビですな。 いわゆるシュウマイにはいろいろなバリエーションがあります。これはちょっと技あり。三色焼売(サムセックシウマーイ)というような呼び名で、当たらずと言えども遠からずでしょう。 うっふっふー、こーれーはーちょっと点心というには刺激が強すぎるかも知れません。麺の具にしたり鍋に入れたりもしますが、ここでは点心。血紅(ヒュッホン)といいます。豚の血を凝固させたもの。味も匂いもないから拍子抜けするよ。




きゅうりより太くてへちまより短くて、ナスみたいにずんぐりした瓜、節瓜。これの果肉をくりぬき、すり身を詰めて蒸しあげたのが節瓜甫(ジックワポウ)。夏場の季節メニューになるのだろう。ぜいたくな美食というよりは、身体に優しそうだよこれ!と、実感できる一品。 点心は甘モノ(甜点)と辛モノ(鹹点)とに分けられるが、前者の超人気メニューがこれ!卵タルト、蛋撻(ダーンタッ)です。パン屋ケーキ屋で売ってるのは大きいけど、飲茶の点心なら直径4センチ足らず。あっつあつで来るのがたまらん。 これも知る人ぞ知る、好きな人はだーい好きな、チャーシューまんじゅうこと叉焼包(チャーシウパーウ)。刻んだチャーシューが甘辛いソースにからまって、ふかふかの生地の中から誘惑する。点心=残り物加工説を裏付けてそうなメニューではある。





これは定番のシュウマイですね。グリンピースものってないし、肉の中に玉ねぎも入ってない。何より、皮が白くなくて黄色いです。かん水の色みたいなの。 大根餅、羅蔔羔(ローパーッコウ)だ!おいしいっ!大根がどうして餅だ??と、日本人なら疑問に思うよね。薄く細くスライスした大根と粉が主原料で、日本のお餅のような粘り気はないのでした。年中食べられるが、お正月料理でもあるそうな。 これも食べ尽くした挙げ句の写真ですんません。その名も鳳爪(フォンジャウ)、鶏の手首から先の部分の甘辛煮です。皮やゼラチン質など、骨以外の柔らかいところをしゃぶり尽くします。関節の仕組みがよくわかって勉強にもなり、一石二鳥。

鶏の骨のかけらが口に入ったら、決して呑み込まないこと!必ず完全に出しましょう。鶏の骨は消化されることがなく、呑むと食道や内臓を傷つけて生命にかかわることもあります。と、教えられました。




うふふふ。これも日本の点心ラインナップにはまず入ってない貴重品。ハチノスってやつですか。牛の何番目の胃袋?(その後、コぺルト若林様からご教示をいただきました。第2の胃だそうです。)食品名としては牛草肚アウツォウトゥといいますが、点心になると金銭肚(カムチントゥ)という名で出ています。甘辛く煮込んであって、適度に歯ごたえあり適度にソフト。
コレもほんと、慣れるまではゲテに思えるが慣れるとこたえられないというものですなあ。




ランチタイムの飲茶は、ちょっとご飯ものや麺類などもおなかに収める。レギュラーサイズのものを厨房に注文してもいいけど、カートで売り歩いてる手っ取り早いミニ版ご飯もののひとつが、これ、もち米のおこわ糯米飯ノーマイファーン。味がしっかりついていて、広東ソーセージ蝋腸なんかがはいってるところがにくい。 飲茶でも野菜は食べたい。青物を食べなきゃやってられない。広東人はそういう人ばっかりなのか、ゆで野菜も点心扱いで作っている。ものを茹でられるカートがあって、もちろん注文調理だよーん。この野菜は菜心チョイサム ちょっとぜいたくな一品、ふかひれ入りスープ餃子魚翅湯餃ユイチートーンガウです。赤い酢を落として食べるのがいいんですな。



機会さえあればまだまだ続くよ




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