中国の家庭のキッチンと食卓

Kitchen and Dining Table of Chinese Families


中国を旅行して食べまくる料理は、通常、お店で出会う料理である。いわゆる外食ですな。
がっ。外食だけが中国料理ではない!当たり前の話だが、人々は多くの場合、家で食事を作って食べているのであーる。我々といっしょですわ。当たり前ですけど。
そっそこで。中国の人の家庭を拝見する機会があったならば。作業中の台所をも見せていただき、ついでに完成後の食卓も見せていただく。もちろんついでにごはんもごちそうになる、っと。これってまるっきりヨネスケさんやん(まあまあ)。では、「○撃となりの晩ごはん・蟻地獄版」ということで。
(1元≒13円〜15円。2000年夏現在)

 広東・珠江デルタの家庭/A Family in Guangdong

 江南地方(上海などを中心とする一帯)の家庭/A Family in Jiangnan (Shanghai)




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 広東・珠江デルタの家庭

鶏。全身そろって売り場の台に横たわってたヤツを、さっき市場で買ってきた(私が買ったわけではない。友人についていっただけ)。厳しく選んだのち、足先を落とし、内臓を抜いてもらう。これで10元。選ぶとき、お腹を素手でぐにぐに揉んでいた。何をチェックしたのだろう。そして買い物完了後、手を洗うか拭くか?んなことはしない。隣の売り場の柱に指先をこすりつけてた。うーむ。 その他にも野菜やらなんやらいろいろ買ってきたのですが、とりあえず台所の調理現場に移ってまいりました。まな板は丸太のぶあついスライス、包丁は骨もぶった切れる本格派。日本なら専門の調理場にしかなさそうな装備ですが、こちらでは当たり前の家庭用品ですな。これでまるごと買ってきた鶏を骨ごとぶち切るわけです。指にくれぐれも注意! 切った鶏と、もどした干ししいたけ、それに黒きくらげを調理すべく、材料の一部がここで待機。ステンレスのお皿にすべての材料をぶち入れて調味し、皿ごと蒸し上げる予定です。この清蒸チンジィンという調理法が、あっさりしていてよいということで、この家庭では好まれてます。中国料理なりに、油をカットする志向も実践も家庭には存在してるということですね。





代表的な淡水魚、[魚完]魚ワンユィ。の頭。頭だけを買ってくるのですよ。さばいた余りとかでなく、これも立派な商品なんです。これで何をするかというと、今日は魚頭湯ユィタウトーン、つまりスープの主材料にしようと、こういうわけです。
ちなみに、市場で買ってきた食材は何でも洗う。肉だろうと魚だろうと、とにかく一度水洗いしないと「キタナイ!」のだそうで。まあ市場がキレイだとは私も思いませんが、肉の切り身を水で洗うという行動はなかなか身につきません。
早くもこういう状態まで来てしまいましたが、手順としてはまずこの鍋で頭の表面を焼きます。そこに水を注ぎ、沸騰したら他の具を入れ(この日は人参、大根、豆腐、wo筍の葉など)、ゆっくり煮出すうち、スープは美しい白色となります。最後に塩で調味。このスープは滋養あふれる感じで美味美味。出産後の女性向けメニューでもあります(母乳の出がよくなるとされる)。
ところで、この中華鍋用ふたが欲しい!というのは、長年の夢であります。買ってくればいいのに、いつも忘れてしまう。



作業途中の調理台。真ん中にある野菜はwo筍ウォーソンというのだそうです。
ところで、広東の家庭はステンレス製の皿や鉢が大好きです。しかも調理と盛り付けに共用する頻用ぶり。どんな日本料理を作っても、このお皿に盛れば本場の広東家庭料理に見えること請け合い。ウソだと思うならやってみれ!
戦後日本が世界に誇る三大発明のひとつ、電気炊飯器。ご飯を炊くのは当然ですが、この中でなんと同時に蒸し物を作ろうという!卵液をステンレスのお皿ごと蒸して作る蒸水蛋ジンソイダーンが、炊飯しつつできてしまうとは。頭よすぎ。ちなみに、お米の中に置いて使う皿受け台まで売ってますから驚くな。(実はこの受け台も欲しい)





魚頭湯の完成品がこれ。大きな鉢に全部あけ、食卓に運びます。ここで各自のお椀によそって食べる。鉢というか洗面器?そうね、絶対そう見えるでしょうね日本人の目には......
魚の頭は、日本の荒炊き同様、目玉と骨を残してすべてしゃぶり尽くします。
人参、大根、wo筍の炒め物が今日の野菜のおかず。向こうに見えるのが、炊飯器から生まれた蒸水蛋ジンソイダーン。広東の家庭料理としては定番のひとつですね。小さな子供にもお年寄りにも優しいおかず、もちろん大人も食べるよ。細かく刻んだ肉や貝柱などをわずかに加えてあり、お醤油で味を適宜調整します。 鶏の清蒸はこんな感じにできあがりましたね。少量の塩、醤油、砂糖、油、片栗粉で調味してあります。ごはんによく合い、素朴で心やすらぐ味。炒めたり揚げたりするよりはるかにあっさりしています。
(それはさておき、ほらー、ステンレスだらけでしょー?)

ついでの豆知識
広東人の食卓はお椀が一人ひとつ。最初にスープを入れて飲み、済んだらご飯を盛っておかずとともに食べる。ご飯も食べ終わり、まだスープがあったらスープで締めたりする。
この食べ方、言うとどうってことないけど。でも実際にやると、慣れるまで面食らうこと請け合いですよ。日本の食生活になじんだ人は。





 江南地方の家庭


なぜ私の友人たちはみな魚のスープが好きなのか?料理の得意な食通はうまいものを知るということか。
ともかく、今度は江南地方の台所ですが、[魚即]魚ジィユィすなわちフナでスープを作るそうです。ちなみに今日はこのフナが1尾3.9元だったと。
作り方は広東式とまあまあ似ている。頭だけでなくまるごと使うが、まず中華鍋で焼きつけるんですね。ほんでどうするかと言いますと! ......なんと、隣で沸かしていた小鍋のお湯にそのまま入れてしまった!中華鍋ではなくこちらでスープを煮出すんですね。後でご覧いただけますが、やはり陶酔するような乳白色のスープになります。で、大根の千切りなどを入れ、調味して仕上げる。





青い野菜はどんな場合でも欠かせません。今日は、この地方で言う空心菜コンシンツァイ(広東では通菜トンチョイ、甕菜オンチョイ)を大量に炒めてくれています。これでも二人分のつもりらしいですけど。 キッチンの一角。ちなみにこの人の家の台所は、自ら選んだこだわりのタイルに囲まれ、明るくて使いやすい空間になっています。




というわけで、できあがりました、魚のスープと空心菜炒め。あとは買ってきた桶子鶏という鶏のお惣菜。スープはやはり大鉢に盛って出します。
ふたりの気軽な食卓。立派なダイニングが隣にあるのに使わず、リビングのガラステーブルとソファで食事。暮らしに欠かせない二大要素がこっちにあるからだよな...テレビと冷房。
この友人は昔から小麦粉の種を香ばしく焼いた葱油餅ツォンヨウピンが大好き。自分で作るのも得意だけど、今日はわざわざ買ってきて、食卓に添えてくれました。
こういうのは朝食にもとても向いてるんですよね......(現に翌朝また食べた)

ついでの豆知識
広東人の家庭の食事は最初にスープ、次にご飯でしたが、全国どこでもそういうわけではなーい。むしろこれは少数派かも。北京など北の方の人も、上海など江南の人も、まずご飯を食べ、終わったら最後にスープを飲みます。
でも、食べる順番は違っても、スープを大きな器で食卓に並べ、つまりおかずのひとつのように位置付けているところは変わりません。事実、スープの具だけ引き上げてごはんにのせて食べたりもします。日本式食生活における汁物とは、ずいぶん様相を異にしますなあ。



ところどころ写真のピントが甘かった点をお詫びします。すんません。




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