淮揚菜(上海・江蘇一帯の料理)
Huaiyang Cuisine (Shanghai Food)






淮は淮河、揚は揚州とも揚子江とも。現在の江蘇省から浙江省北部一帯で発展してきた料理を、淮揚菜と呼ぶ。上海料理もこのカテゴリーに属する料理だ。
小籠包シャオロンパオとか魚の甘酢とか、知られたメニューはいくつかある。それらも含めて全体的に俯瞰すると、醤油と砂糖で味付けした甘辛い、どちらかというと甘みの勝つ味が特徴かな。または、ごくごくあっさりして消化も良さそうなメニュー。家で昔食べたおかず、それも中華風じゃなくて日本のごく普通なお惣菜を食べてるような気がして、不思議な再体験感覚にぐわーーーっと襲われることがある。





地図:世界大百科事典[日立デジタル平凡社])

上海−蘇州は95キロ、上海−杭州は204キロ。



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水郷のまち、美人の産地、蘇州へやってまいりました。こちらの料理の特色は、小皿サイズの軽い料理がいろいろ楽しめることだといいます。さっそく楽しみましたよ。下の赤いのは巨大トマト砂糖かけ、上は南方でおなじみ苦瓜の炒め。奥が珍しくて、太いれんこんにもち米をつめて甘辛く味付けした、手の込んだ一品。れんこんが四角く成形されてるんだからね。そして右下が、不肖私の大大好物、皮蛋豆腐ピータントウフであります。 左の写真にも出てきたこれ!これが世紀の曲者、臭豆腐チョウトウフ。酸っぱく発酵した豆腐を揚げて、ピリ辛のたれで食べます。「匂い」の一言に尽きる、好き嫌いのはっきり分かれる食べ物。香港の道端などでも売っていて(沸いた揚げ油をカートで移動させながら売るから危険)、これの匂いが麻薬の如く街に漂ったりします。
左の皮蛋豆腐同様、台湾でも非常に一般的な料理。台湾の国民党勢力は、この土地がお膝元なんだから。
台湾の臭豆腐
蘇州と直接の関係はないと思いますが、この時飲んだのがバドワイザーの現地生産製品であります。バドは百威バイウェイと読む。ついでにアサヒスーパードライの中国語商標は舒波楽シューポーラー。音の似た字を起用して、「伸びやかでおおらかな波の楽しさ」というような意味を創り出している。





淮揚料理の注文の流儀は、まず小さな冷菜ランツァイをいくつか頼む。そしてそれとは別に「料理」を選ぶ、ということになるらしい。冷菜は「料理」のうちに入らないような言い方をしているところが面白い。
まあそれはそれとして、冷菜の代表格のひとつ、煮干糸ジューカンスーであります。ニボシの糸、ではない。厚めの湯葉というより薄手の高野豆腐のほうが近いかな、豆腐干トウフカンを細い糸切りにしたものです。コリアンダー(芫茜ユエンシ)と合わせてあることが多い。
冷菜ではないメインの料理、これもいろいろありますが、コレは文句なしにご当地ならではの作り方です。毛蟹炒年[米羔]マオシエチャオニエンカオ。年[米羔]は韓国のトックに似たお餅で、この土地の特色ある典型的な食べ物です。これを蟹といっしょに料理するとは驚き。
ちなみに約2名の箸がボランティアで友情出演してくれております。




「近ごろ上海の巷で流行るもの」とて、杭州料理を食べさせていただく機会に恵まれました。上海と杭州は少し離れているけど料理の系譜としては同じ地域。でもそれぞれの特色は違うんですねえ。京都の名物料理と神戸のそれは違う!みたいなもんですかね。
さて、冷菜ランツァイから始めるところは共通で、左から杭式素焼鵞ハンシィスゥシャオヤー(湯葉を焼いた鵞鳥のように仕立てたテクニックの一品)、南瓜百合ナンクワパイハァ(見たまま。眼にも美しいし味も想像どおりのあっさり系)、酔腰花ズィヤオホア(ふやふやと柔らかい豚の腎臓にたくさん包丁目を入れ、スパイシーなたれに漬けてある。このたれがウスターソースと黒酢みたいな独特な味で忘れられない)。
青魚チンユィという魚を燻製にして揚げてある。これも杭州らしい一品なのだそうです。ビールが進むお味ですね。ビールビールって、それ以外のことは思いつかんのか??(-_-) 牛筋ニウチン。もうそのまんまの名称のコレを、ひたすら煮こんだ料理です。ただ、関西でおでんにする牛スジ(ぎゅうすじ)に比べると、ゼラチン質の占める割合が非常に高く、牛筋食べてんだかスッポン食べてんだか錯覚しそうになる、という、いやこれは個人的に安上がり体質なだけか、とにかく「食べたゾ!」感が非常に高まる食材です。コラーゲンの宝庫でもありますな。
味つけが濃く、ごはんも進むでしょうが、このこってり感はやはり酒類でしょうなあ......(^.^)
ちなみに、左のお料理は栗子炒鮮麻潟Bズチャオシエンクー。栗とマッシュルームのあっさり炒めです。






出た出た、これが音に聞く東坡肉トンポーロウ。小さな素焼きの器に、肉が一切れ入ってくる、これがひとつの単位。ですから注文の際は、食べる人の数だけ頼まねばなりません。で、お肉ですが、皮付き脂肪層つきの塊がとろとろに煮こんである。甘味の勝ったラフティみたい。もう体脂肪率も生活習慣病の恐怖も何も考えない、うーまかったー!!♪ さて、これは珍しい魚です。[魚+輜のつくり]魚といい、ズーユィと読むそうな。日本語IMEでは入力不能ざんす。で、この魚は北京にも上海にも香港にもおらず、杭州の銭塘江という川にしかいない、当地の特産物なのだそうです。その[魚+輜のつくり]魚を、銭塘江から運んできて蒸し物清蒸チンジョンにしたものです。例によってすでに一部食われております。 さてさて、これも何やらよくわかりませんがたいへん珍しい食べ物だそうで。名前は[雨+毎][くさかんむり+見]桿メイシェンカン、つまり「発酵させたヒユの茎」らしいんですがー。茎の皮はさとうきびのように堅くて食べられず、しがんで水分を味わってから吐き出す。で、この水分が、強い塩味と発酵臭に満ちている。要は納豆、クサヤ系の食べ物らしい。「これはおとなしい方、匂ううちに入らんー」とのことだけど。まあ悪くなかったですよ。絹ごしのような柔らかい豆腐と一緒にして、豆腐にも同じ味をしませているセンスもたまらん。




本場の蘇州料理、第2弾です。いつだってどこだって、皮蛋豆腐ピータントウフは必ず食べる。誰が何と言おうが食べます。
そして右の何やらいわくありげな小ぶりの壷、この中になんと、酔鶏ズイジィが詰まっている!これが驚くことに、紹興酒とともに詰まってるんです。そして壷ごとキンキンに冷えている。あーびっくりした。そしてまるで夢のようにおいしい。
季節の青菜の炒め、はいいんですが、湯葉が合わせてある。このあたりが、他のどこでもない、淮揚地方らしい特色ですよねー。栄養もあるし、あっさりしてるし、おトク感たっぷりだし、もう言うことありません。






鮮やかなオレンジ色。アヒルの塩漬け卵の黄身だそうです。これが衣のようにからまる炒め方が、この土地の名物料理として定着してるんだそうで。で、蛋黄炒田鶏タンホアンチャオティエンジィ。......そう、カエルなんですよこれ。幾種類かの食材が選べますが、これはカエル。美味。陶酔。 里芋を大きくしたようなおいも、芋頭ユィトウ。これが小さな菱形にきれーいに刻んであって、砂糖とお醤油のたれが衣のようにからまっている、そういう珍しい炒め物。ビールにもご飯にもよく合って、んでやっぱりこの甘辛い味が懐かしいというか嬉しいというか。上の薬味が刻みねぎだけでなく、にんにくのすりおろしがのっているのが、味をすごくおもしろくしている。






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