活動事例集
「大人が変われば子どもも変わる」
子どもと大人が一緒になって「居場所」づくり
〜信頼できる大人が増えると、地域が変わる〜
その2: 雑記帳で交流「じぶんはひとりじゃない」
うまくコミュニケーションのとれない子もいた。話すことは苦手でも、誰もが伝えたい気持ちを持っている。スタッフの提案で「雑記帳」を用意した。最初は落書きばかりだったが、次第に声にならない声、心の叫びが書き込まれ、それにエールを贈る子があり、ノートの中でやりとりがくり返された。悩みを書くためによっていく子、雑記帳を読むために立ち寄る子。イラストもあれば詩もある。ペンネーム、匿名、本名、誰でも自由に書き、読むことができる。雑記帳にこんな言葉がある。
「つらいときにはここに来よう。きっといやしてくれるよ。誰にも言えない悩みごとを雑記帳にブチまけよう。じぶんはひとりじゃない」
問題が起こったときが成長の時
子どもたちと大人との間でいろいろな出来事があった。その一例が「コタツ事件」である。和室にあったコタツを、常連の子どもたちが占有していること、コタツの周りが片づけられていないこと、異性同士がくっつき会っていることなどから、このままではよくないと大人スタッフが話し合ってコタツをフロアー中央に移動させたところ、子どもたちから「相談もなしにひどい」と不満が続出したのだ。ジュニアスタッフに相談しなかったことなど、反省すべき点があったことも事実であり、問題を明らかにするために利用者とスタッフにアンケートを行った。コタツを移動したことについて、67%の子どもが不満とし、その理由に「事前に話がなかったこと」などがあげられた。しかし、一部の子どもだけが占有することに不満を感じていた子どもからは移動に賛成という意見もあった。
スタッフと子どもたちの間で話し合いが重ねられ、電子メールでも活発にやりとりがなされた。大人も子どもも互いに考え方の違いもあるが、互いに歩み寄る姿勢もある。この結果をこれからの運営に生かしたいと考えた。
みんなが楽しく使うためのマナー
この場所にはルール(規則)がない。コンピュータを占有する子がいる。後かたづけをしない子がいる。そうした問題が起きたとき大人スタッフはルールを作ろうと提案したのだが、子どもたちはルールによってしばられることを嫌い「ルールをつくりたくない」と言って、掃除の仕方、施設や備品の利用などについては、「みんなが楽しく使うためのマナー」として子ども同士が声をかけあうことで解決している。
ルールを必要とするのは大人の考えで、そこには「管理しよう」という気持ちが先にあることに気づかされた。子どもたちの成長と課題解決能力に気づいた大人スタッフは、今では「ルールは子どもたち自身が必要と思ったときに、子どもたちがつくっていくのがいいのではないか」と考えるようになった。
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大人は空気のような存在でいい
「居場所というのは、建物ではなく、そこにいる人が作り出す雰囲気なんだと思います」と青少年育成市民会議の大村さんは言う。
「ホワイトキャンバス」には交代で大人スタッフ(ソーシャルワーカー)が詰めている。スタッフに求められるのは空気のようにいてもいなくてもわからない、けれどいなくてはならない人。子どもたちのSOSをキャッチできる人。そして初めて来た子にも「来てよかった」「また来たい」と思えるようなさりげない心配りができる人だという。
(つづく)