あらすじおれの名前はサンゴロウ。秋のはじめ、渡り鳥の研究に行くイソキチを海南島に送った帰り、ひどい霧にまかれ、遭難しかける。あやういところを助けてくれたのは、カイという若い灯台守だった。霧が晴れるまで、灯台島ですごすことになるが、カイには不思議なところがあった。カイ、おれはなにをしてやればいいんだ?
もくじ
1.夏のおわり
2. 南海島へ
3.白い霧
4. 灯台
5. ギターと口笛
6.十六人め
7. わかれ
8. 銀波号の話
9. 二度めの旅
10.満月
登場人物など
サンゴロウ
フルヤ・サンゴロウ。すらっとやせた黒いねこ。マリン号の船長。うみねこ島にきて、4年ほどになる。
イソキチ
ひょろりとした若いとらねこ。鳥の研究をしている。専門は渡り鳥。あまり器用ではない。
カイ
灯台島の灯台守。小柄で、灰色がかった青い目をした、まだ若いねこ。目は、あかるいところと暗いところがいりまじったふしぎな色。南海島から灯台に来ている。祖母はうみねこ島の生まれ。音楽がすきで、話ずきの、きさくな男。ギターをひく。
マリン号
サンゴロウの船。
ウミガメ号
カジキじいさんが船長をしていた大型で旧式の漁船。すでに解体されたが、へさきの背丈ほどもある木彫りの女神像は、カジキじいさんの家の前に飾られている。
銀波号
貨物船。三日月島へ、果物などをはこぶとちゅう、灯台島の近くで難破。
うみねこ島
うみねこ族のすむ島。
南海島
うみねこ島からはやい船でも7日ほどのところにある島。いくつもの小さな島のあつまり。すんでいるのはほとんど漁師族で、島から島へ、かんたんな四角い帆をはった小船で行き来する。島のはしに渡り鳥が冬をすごす場所がある。定期航路はない。
灯台島
南海島の北の小さな灯台のある島。まわりはひどい岩場。小さなひらべったい島で、1時間もあるけば、ぐるっとひとまわりしてしまう。たいした木も草もはえていない。
うみねこ船
うみねこ族にしかつくれないし、うみねこ族にしかうごかせない、とくべつな船。
月ねこ族
三日月島のあたりにすむ種族。夏はつめたいものでものみながら、木かげで昼寝。
感想
なんだかもやもやした気分を抱え、いらつくサンゴロウ。失ったものがかれを悩ませるのだろうか。オレハダレダ、ナニヲシテイタンダ? もう四年になるとしても、記憶を失ったということは、何かで補いのつくことではないでしょう。
記憶=過去の自分を失ったサンゴロウが出会った灯台守・カイ。かれもまた、大きなものを失っています。
サンゴロウの悲しみ。カイの悲しみ。サンゴロウの苦しみ。カイの苦しみ。
抱えているものゆえか、2人ともとても優しい力を持っています。
どうか、カイの悲しみが癒されますように。
サンゴロウの海が晴れますように。