
『黒ねこサンゴロウ』シリーズ番外編として、3編の短編が収められています。
各話共通の登場人物など
『みどりの小鳥』
あらすじ
おれはサンゴロウ、マリン号の船長だ。あらしの中を航海していたおれは、海に落ちかけた小鳥を拾う。いったいどこからきたのか。ふるさとに帰してやることはできるのだろうか。
登場人物など
サンゴロウ
〈うみねこ島〉の船乗り、マリン号の船長。三日月島からの帰り、嵐の中でみどり色の小鳥を拾う。その鳥の故郷をさがして、あちこちの島に立ち寄る。
イソキチ
ひょろりとした若いとらねこ。鳥の研究をしている。専門は渡り鳥。あまり器用ではない。
渡り鳥の研究のため、サンゴロウに南海島に運んでもらう。マリン号
サンゴロウの船。
ヒスイ島
三日月島の南西の海域にある。サンゴロウが小鳥をひろった島。
三日月島
サンゴロウがサンゴ屋に頼まれてサンゴ細工を売りにいく島。
サラの港
三日月島でいちばん大きな港。
鳥
サンゴロウが嵐の最中マリン号に落ちてきたのを拾ったみどり色の小鳥。
南海島
うみねこ島からはやい船でも7日ほどのところにある島。いくつもの小さな島のあつまり。
北カレイ諸島
三日月島よりさらに北の島々。
『幽霊船』
あらすじ
おれはサンゴロウ、マリン号の船長だ。壊れた太陽電池の修理に寄った笛吹島で、幽霊船退治の話を持ちかけられる。そう、たしかに幽霊船はあった。だが、おれがそこで見たものは...
登場人物など
サンゴロウ
〈うみねこ島〉の船乗り、マリン号の船長。
ラム
サンゴロウが笛吹島の港の酒場で出会ったやせた灰色のねこ。顔が三角形にとがり、みょうにつるりとした感じの声をしている。笛吹島の商人。
シーナ
真珠島のシーナ。真っ白なおんなのねこ。ぱっちりした目は青くて、気がつよさうな感じ。
ジン
シーナに仕事を依頼した男。ラムの相棒。
バジル船長
ジンに密告されて牢屋に入れられた。密輸品の最高級の紫真珠を大量に積んでいた。
笛吹島
三日月島の北にある島。幽霊船をみた者は必ず不幸になるという迷信がある。
セトーの海
笛吹島と鈴島のあいだの細長い海域。尾黒エビがとれる。ふだんはとても潮の流れがはやい。
マリン号
サンゴロウの船。
幽霊船
セトーの海にでるといううわさがある。ひどく古い型の帆船で、ぼろぼろの帆をあげたまま漂流している。あらわれるのは雨やくもりの日だけで、天気のいい日にはすがたをみせない。
『王様の島』
あらすじ
おれはサンゴロウ、マリン号の船長だ。電気クラゲに計器を狂わされて避難したヒトデ島で、一人の老人に出会った。老人は、自分は王様だったというのだが...
登場人物など
サンゴロウ
〈うみねこ島〉の船乗り、マリン号の船長。
王様
サンゴロウはがヒトデ島で出会った老人。雨傘島の38代目の王だった。
マリン号
サンゴロウの船。
雨傘島
雨傘諸島にあるきれいな島。
電気ヒトデ
毒々しい赤と青のしまのある、かなり大きめのヒトデ。
ヒトデ島
雨傘諸島にある小さな島。電気ヒトデと硫黄ワサビが自生する。
感想
お馴染みのイカマルやナギヒコが出てこない分、素顔のサンゴロウがいる、という感じがします。特に『みどりの小鳥』。サンゴロウ自身も、おれはなんでこんなことをしているのだろう、と思いながらも鳥の故郷を探して。でも、「なんでこんなことを」と思いながらの人助けは、結構しているかな。
『幽霊船』では、悪女シーナの再登場です。悪女といっても、フォクシーレディという感じなのかな。シリーズのこれまででは一番の悪人という感じでしたが、いや、貝がら島の兄弟も善人とはいいがたいかもしれませんが、その辺が割と同情すべき点もあるように描かれているのと比べて、ジン=ラムは完全に悪である気がします。
「家来が一人もいなくても、もつべきものをすべてもっている王様」というのは、同じ作者のほかの物語にも出てきていて、その王様もたいそう心静かに自分の王国を治めています。大事なのは、自分の中に王国を持っていること、そこで満ち足りていること、なのでしょう。どんな「王国」を持つか、それはひとそれぞれです。