歴代の皇帝が莫大な富と権力をもって収集した宝物を保管・展示する「故宮博物院」をはじめ、五十万の人々を収容できるといわれる「天安門広場」、北方の騎馬民族からの侵入を防ぐため築かれた「万里の長城」など、北京市内とその郊外には、世界的にも有名な文化遺産が数多く点在しています。その「壮大」かつ「緻密」に作られた建築物は、中国人民の底知れぬパワーの象徴であり、中華五千年の興亡を物語る軌跡として学術的にも高い評価を受けていることは既にみなさんもご承知ですね。
できることならそうした文化遺産を詳しく紹介できればよいのですが、一介の旅行者が中国五千年の歴史を紐解くのは至難の業でもありますので、それはガイドブックに譲るとして、ここでは単純に、中華人民共和国の首都・北京の様子と、そこに生きる人々の暮らしを取り上げてみることとします。
以下のレポは、平成十一年二月に中国・北京に出かけた時の様子をまとめたものです。最初に、中国旅行についてのおさらいを、その後に印象的だった「天安門」について取り上げてみました。「天壇公園」での人々のパフォーマンスや「京劇」についても、何れご紹介できればと思っています。
映像は、Hi8 ビデオで撮影したものをキャプチャーしました。
・ 自作自演の旅
このときの旅は、 JTB(日本交通公社)中国旅行主催の「自作自演の旅 北京四日間」という名称のツアーを利用しました。これは、往復の航空券(航空会社の選択不可)とホテル(四つのホテルからの選択)、空港間の送迎がセットになったもので、滞在期間中は全てフリータイムというものです。公募によって名付けられたシャトルバス「くるくる君」を利用する特典(一日乗り放題)が付いていたり、各種オプショナルツアーも設定されていることから、「全てガイドがついたツアーよりも、自由に街を歩いてみたい」という個人旅行者には利用価値の高いツアーといえるかもしれません。
・ 中国旅行について
中華人民共和国への入国には、「査証(ビザ)」が必要です。個人でも手続きができるようですが、申請書類のほかに「招聘状」を要すること、中国大使館や総領事館に直接赴き手続きする必要があることなどから、旅行代理店を通じて取得したほうが無難のようです。取得のために必要書類は、パスポート・写真( 4 * 3 ) 1枚・申請用紙(旅行会社より送付)の三つ。費用は、取得料 3,000円、手数料 4,500円で合計 7,500円。申請から「査証」が発給されるまでに要した期間は、およそ三週間でした。
・ 航空機
広い中国国内を移動するにあたり、欠くことのできない交通機関に航空機の利用があげられます。しかし、現在のところ北京〜西安を往復するツアーに参加しただけなので、航空券の取得や空港と市内を結ぶリムジンなどの手配方法については詳しくわかりません。
さて、「地球の歩き方」などでもすでに紹介されていますが、航空機の時刻表として利用価値の高い「中国航空班期時刻表」( 8元 )を入手されることをお勧めします。旅行会社にお願いして取り寄せてみましたが、国内線だけでなく、国際線についても掲載されており、赤黒の二色刷りながらコンパクトに見やすく編集されています。days(班期)Dep.( Departure time ) Arr.( Arrival time ) Flight( Flight number 航班号) A / C( Aircraft types 機型) Stops( Number of stopovers 経停) Class(等級)R( Remarks 注)の順に項目があり、馴染みのある日本国内の時刻表と見方に違いはありません。ただし、注意しなくてはならないのは 曜日 の配列です。1(星期一 月曜日)2(星期二 火曜日)3(星期三)4(星期四)5(星期五)6(星期六)… 日(星期日 日曜日)まで続きます。月曜日から始まりますので注意が必要です。
利用することの多い航空会社の「航空公司代号( Airline code )は次の通り。
 |
| 中国国際航空 |
CA 中国国際航空 Air china
WH 中国西北航空 China Northwest Airlines
CZ 中国南方航空 China Southern Airlines
SZ 中国西南航空 China Southwest Airlines
MU 中国東方航空 China Eastern Airlines
CJ 中国北方航空 China Northern Airlines
XO 新彊航空公司 Xinjiang Airlines
飛行機の名称も中国語表記となると驚くような表現になっており楽しませてくれます。例えば、ボーイングは「波音」、MacDonnell Douglas は「麦克唐奈 道格拉欺」、エアバスは「空中客車」といった具合になっています。北京・上海・西安・広州・香港などの幹線には、ボーイングやエアバスが利用されています。
シルクロードの都市を結ぶ便に利用されるものは次の通り。興味津々の機種が勢揃いです。
北京〜ウルムチ ILW( Illyushin IL-86 )or TU5
西安〜ウルムチ 737 or TU5( Tupolev 154 )
ウルムチ〜カシュガル、〜ホータン TU5
ウルムチ〜コルラ、〜クチャ DH8( Dash 8 )
・ 鉄道
航空機に次に利用することの多い交通機関が鉄道。中国人民の生活ぶりを垣間見られると旅行記などにも書かれているように、中国社会の縮図ともいえる鉄道の旅を、一度は経験してみたいものと思っている方も多いことでしょう。北京を訪問した際に、書店で「全国鉄路旅客列車時刻表」(中国鉄道出版社)を購入しました( 5元)。一色刷りでざら紙を使ったものですが、題名の通り国内の全鉄道路線が網羅されており、利用価値の高いものと思われます。国際列車、直送特別快車(直特)、准高速列車、旅游列車(游)、特別快車(特快)、局管内特別快車、直通旅客快車(直快)、管内旅客快車(快客)、直通旅客列車(直客)、旅客列車(客)の順に、車次・区間・編成(客車)数・編成(客車)・掲載ページが一覧表示され、目的の列車が簡単に見つけることができるように構成されています。
時刻表を見ていて驚かされるのは、 15〜 20両編成の列車がほとんどであることと、気の遠くなるような時間を掛けて列車の旅が続くことです。日本では考えられないような大陸的な鉄道の旅は、駱駝に荷物を背負わせシルクロードの旅を続けたキャラバンを彷彿させます。
<シルクロード関連>
北京〜ウルムチ
特別快車 車次 69 / 70
上海〜ウルムチ
特別快車 車次 52 / 53 54 / 51
・ 地鉄(地下鉄)… 北京
故宮を中心に巡る環状線と西単から郊外に伸びる東西線の二本が運行されています。前門〜崇文門〜北京駅〜建国門間を何度か利用しましたが、運転本数も多く、また比較的空いていることから市内の移動には便利でした。
利用の方法は、窓口で切符を買い改札の際に渡すだけのもので、降りた駅では何もチエックされることはありませんでした。少々薄暗い窓口で切符を買いホームに移ると、これまた薄暗い照明。列車に乗り込むと、車内は清潔でしたが、なんとも異様な匂いが充満しており驚かされた印象が残っています。
・ バス
中国で初めて見たバスは、上海の南京路を走るトロリーバスでした。途切れること無く運転される「上海電器」の広告を付けたバス、停留所に到着するや否や、満員のバスから吐き出される人々と乗り込む人々…、その様子からは、かつてないほど急速に成長を続ける街と混沌とした社会で人々が逞しく生きるを感じることができました。
さて、実際にバスの停留所(北京・崇文門)でどのような状況か見てみました。市内を走るバスには、通常のバス(公共汽車)とミニバス(小公共汽車)がありました。名物ともいえる蛇腹のバスが通常のバスで、料金も安いようです。一方、ミニバス(小公共汽車)はマイクロバスで、通常のバスが乗り入れないような路線を網羅しているそうです。写真(まだ公開していません)は、そのミニバス(小公共汽車)が到着し、車掌さんが行き先を告げながら乗車を勧めている場面です。右端に写っている男性は、乗るかどうか迷っており、後から一般のバスが到着しないか見ているところで、この間もノロノロとミニバスは移動していました。結果、男性は荷物をいったんミニバスに入れたものの、通常のバスが到着したため慌てて荷物を降ろし、後続のバスに乗り換えてしまいました。
のんびりしているとはいえ、のろのろ動きながら客集めをされれば、乗らざるを得ない心理に持ち込む手法やそれでも強引に荷物を降ろし乗り換える乗客との駆け引きは、中国らしさを感じるものとして一見の価値があるように思います。
・ ホテル
中国国内で宿泊をしたことのあるホテルは、ツアーで利用することの多い西安の西安賓館、北京の新僑飯店、天橋飯店、上海のソフテルハイランド上海だけのため、全ての事柄が中国国内にある宿泊施設にあてはまるわけではありません。また、ツアー向けの情報のため、格安旅行を楽しむバックパッカーのみなさまにはあまり参考にはなりませんので予めご了承ください。
ホテルのフロント
通常は、空港で迎えてくれた現地係員(提携旅行会社職員)が全て手続きします。パスポートの確認がありますので、すぐ取り出せるように用意しておくこと。手続きが終わると WELCOME CARD と部屋の鍵が渡されます。参加者全員が両隣、続きの部屋になるとは限りませんので、グループで参加されている場合は、この時お互いの部屋番号を確認しておく必要があります。
WELCOME CARD
This card should be shown when you get your room key from the Information Desk. Return the room key to the Desk when you leave the Hotel.
ホテルの部屋
天橋飯店(レインボーホテル)はビジネスホテル風のシングルルームでしたが、その他は全てツインルームとなっていました。
飲料水
中国の水道水は飲用に適していませんのでミネラルウォーターを必要とするわけですが、通常は室内にお湯の入ったポットがあり、無くなった時には服務員に「給我飲料水」と書いた紙を見せれば用意してくれますので慌てることはありません。ソフティルハイランド上海のようなランクの高いホテルになると、無料のミネラルウォーターが用意されていることもあります。また、お茶(ティーパック)や粉末(一口用)のコーヒー・クリーミングパウダー、砂糖が用意されていたり、冷蔵庫やミニバーの設備が完備されている場合もあります。コーヒーについては数が足りないので、予め小瓶を持参することをお勧めします。冷蔵庫には、コカコーラやファンタなど馴染みのあるものが用意されていました。
テレビ・ラジオ
室内にはテレビの映像も良好で、ラジオも AM / FM 双方聴取可能です。しかし FM については高い周波数を使ってるようですので、ヘッドホンステレオに内蔵されている FM ラジオでは受信できる局が限られます。
トイレ&浴室
心配されるトイレですが、ホテルに関しては日本国内のものと何ら変わりありません。品質はやや落ちますがトイレットペーパーもあります。浴室は日本のものと変わりなく、シャンプーや石鹸、櫛(くし)も用意されています。シャワーは壁に固定されたものがほとんどで、湯量の調整が少々難しく感じました。
食事
新僑飯店(北京)の朝食はバイキングでしたが、その種類の豊富さに、今日は何にするか迷ってしまうほどでした。しかし、早朝出発の場合に用意された「お弁当」は「△」。茹でたまご一個とトースト(薄切り一枚分を半分に二片)、コカコーラが一缶。朝からコカコーラは辛いですね。蘇州に行くため早朝出発となった、ソフィテルハイランド上海のお弁当も同じメニューでした。
昼食については、宿泊したホテルではありませんが、オプショナルツアーの申し込みで、 JTB のカウンターのある長富宮飯店を訪ねる機会がありましたので、一階にあるレストランに寄ってみました。(レシートの一部を掲載)。比較の対象は、世界中どこにでもある「スパゲティ」と「コーヒー」。自然光を取り入れた明るい室内は西洋風の都会的なお洒落なものでした。また、一流ホテルだけあって従業員の応対も良く、不便を感じるものではありませんでした。比較の対象は、世界中どこにでもある「スパゲティ」と「コーヒー」。「コーヒー」については、どこのレストランも同様ですが、ぜひ味に拘ってほしいと思います。因みに、ナポリタンとコーヒーの値段は 92 RMB ( 1,242円)でした。
・ ホテルでの買物
通常ホテルには「商場」とよばれるショッピングモールがあり、陶器(景徳鎮)やシルク製品などのお土産からビール・コーラ・ファンタなどの飲料やお菓子、生活用品などが豊富に用意されています。また、日本語のできる係員が配置されているので、商品について問い合わせることも可能です。
北京では、宿泊先以外のホテルにも訪ねてみましたが、品数や種類の面で 京倫飯店 が個人的に最も充実していたように思います。いずれにしましても、ホテルの面子もあることから、品物は厳選されたものでしょうし、価格交渉も日本語でできるので、市内のお土産屋さんで慣れない筆談交渉の末ボラれるより安心して購入できるホテルでの商場を利用されたほうが無難かもしれません。
商場での購入方法は次のようなシステムになっています。日本とは若干手順が異なっていますので注意が必要です。
はじめに、目的としている物品の売り場に行き品物を決めます。生活用品の類は表示価格ですが、若干高価なお土産になると売り子さんが付き添いますので価格交渉が可能となります。ここで注意したいことは、ガイドブックにあるような「半額交渉」をいきなり始めるのはどうか…ということです。日本人が宿泊するようなホテルは、他のホテルに比べて格段にグレードの高いものですから、さきにも述べましたように品物についてもホテルなりに厳選しているはずです。自信を持って勧める品物を、いきなり「半額にしろ!」と価格を下げるように言われればあまりうれしくはないことでしょう。
日本では当たり前のような「顧客本意」のサービスも、中国ではようやく根づいてきたばかり。研究熱心な中国のみなさんも、日本人観光客の動向を伺って、そのリアクションを研究しているはずです。互いに知恵を出して、やりとりを繰り返していけば、きっと今よりもハード(物品)、ソフト(サービス)の両面で質の向上につながることと思います。
さて、品物が決まり係員にその旨を伝えると、売上票を起票しますので、二枚目と複写の三枚目を持って会計に行きます。会計は支払いのみの場所で、クレジットカードでの支払いもここで済ませます。北京では、未だ CAT のような瞬時に顧客情報や決済が可能な設備が整えられていないので、インプリンターの使用がほとんどです。当然これには、カーボンをはさみ、カード会社送付用と客控えを作りますので、カード会社のマニュアルにもあるように、あまり信用できない商店では複製されないようにカーボンを回収したほうが無難です。但し、ホテルの商場で使用する場合には、控えを保存する必要はありますが、カーボンまで回収しなくてもよいと思います。
支払いが済んだら、再び売り場に行き、会計から受け取った控えの二枚目と三枚目を先程の係員に手渡します。たいていこの時点で、商品が包装されているはずです。二枚目控えは領収書になります。
他の商品が欲しい場合は、以上の手順を繰り返します。 |