社内規定作成のポイント
| 1.社内規定とは何か | |||
| 2.社内規定の必要性 | |||
| 3.社内規定の効用 | |||
| ■直接的効用 | |||
| ■間接的効用 | |||
| 4.規定の見直し手順 | |||
| 5.規定の様式と用字・用語 | |||
| ■規定の様式 | |||
| ■規定の用字・用語 |
| 1.社内規定とは何か | |
| どこの会社でも最初に作られる社内規定は定款でしょう。これは商法の定めに基づくものです。やがて労働者を10人以上使用するようになると、今度は労基法の定めによって就業規則を作成しなければならなくなります。定款も就業規則も、ともに法律で作成が義務づけられているものですが、規模の小さい会社ではこれら法定された規定だけしかないというケースが多いかもしれません。 しかし、社内規定はこうした法定のものだけに限られる訳ではありません。このほかにもたくさんの規定があります。例えば経営方針も広い意味での規定ですし、業務マニュアルも規定の中に含まれます。ただ私どもでは、これらのうち特に文書化したものだけを規定と呼び、次のように定義しています。 「社内規定とは、会社という枠の中で、経営理念・社是社訓といった経営に対する考え方から組織構造や仕事の手続き等会社に関連するあらゆる定めのうち、成文化されたものをいう」。つまり、定めであっても文書化されていないものは不文律とか企業文化として規定とは区別されるということです。 |
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| 2.社内規定の必要性 | |
| 上述したように、社内規定は規模の小さいうちは法律などの定めによって作られることが一般的です。こうした段階では、会社の運営にあたってまだ実務上の社内規定を必要とはしないということができるかもしれません。つまり、経営者自身がすべてのことを把握できる状況にあるでしょうから、ことさら組織的運営を意識することもないということです。 しかし、事業が順調に推移して企業規模が拡大してくると、経営者が一人で会社全般のコントロールを行うことは難しくなってきます。やがて、ある仕事や部門について権限を委譲しその運営を任せることになるでしょう。このとき、どの仕事をどこまで任せるのか明かにしておかないと、後で仕事の結果についてくいちがいが生じるでしょう。そこでこれをきっかけとして、権限規定や業務分担規定が作られることになると思います。つまり、組織として誰が何を担当し、どこまでの権限・責任を持つのかを規定として定めるということになる訳です。 また、規模が拡大しますと、社員の異動も激しくなるでしょう。そうした場合、仕事のやり方について何も記されたものがないと、新しく仕事を引き継いだ人は最初からやり直さなければならなくなるでしょう。これはムダというものです。やり方がきちんと文書化されていれば、こうしたムダは発生しません。文書化された規定によって仕事のやり方を引き継ぐことができるということになります。 このように、ある程度の規模になった会社組織においては必然的に規定を作成する必要性が生じるということになる筈です。もし、この時点で規定が作成されないと、その後の業務運営について混乱を生じることになるでしょう。 |
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| 3.社内規定の効用 | |
| 社内規定は、組織的運営を行うために必要になる訳ですが、規定を作成することによって次のような直接、間接の効用が期待できます。 ■直接的効用 |
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| 4.規定の見直し手順 | |
| さて、前項までで社内規定についての基本的な考え方を理解してもらえたものと思います。それではこうした考え方を理解したうえで、規定を作ればそれでいいのかというとそう単純ではないというところに規定の難しさがあります。ただ作られただけでは規定は意味を持ちません。作られた規定が運用されてこそ、初めて規定の意義が生まれるのです。「規定は役に立たない」という誤解が生じるのは、作られた規定が実際には運用されていないところに原因がありそうです。それでは、なぜ運用されないかというと、規定されている内容が実態とは異なっているからというケースが多くみられます。 これは、業務の実態が変わっているのに、規定の方には手が加えられずそのままになってしまっているということです。つまり、規定の見直しが行われていないために、規定が運用できなくなっているということになります。したがって、規定を運用するためには、適切な見直しが行われているということが前提になります。できれば、1年に1回は定期的な見直しが必要ではないかと思います。 それでは、どのような手順で規定を見直せばいいか、ということを次にみてみましょう。 |
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| ★規定委員会の発足 規定の見直し作業は全社的に行う必要があります。各部門が勝手に見直しを行っていると、相互の矛盾や規定の様式などがバラバラになるおそれがあります。そこで規定の見直し作業は、全社一斉に行うべきです。 全社一斉に見直し作業を行うには、これを統一的コントロールする組織が必要になります。そこで、規定見直しを効率的に行うために、総務部門が中心になって、各部門から委員を選任して規定委員会を発足させるということになります。 この規定委員会が果たすべき役割は、次のようになるでしょう。 1.規定の様式や用字・用語の標準化を図ること 2.規定全体の体系化を図ること 3.規定相互の矛盾点について対処すること 4.規定の解釈にあたっての疑問点に対処すること 5.見直し規定について委員の担当を決定すること
2.本店、支店による分類方法 3.常用、非常用による分類方法 4.公開、非公開による分類方法 ★見直しのチェックポイント 1.規定と実態との差異 2.関連規定との整合性 3.関連法令の改正状況 4.用字・用語の使い方 5.追加条文と削除条文の確認 ★見直し規定の公布、施行 |
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| 5 規定の様式と用字・用語 | |
| ■規定の様式 社内規定には、その作り方について特に定められた様式がある訳ではありません。ですから、イラスト入りや、やさしい口語形式で作成してもさしつかえありませんし、むしろその方が望ましい場合もあります。要は社員に理解しやすいような様式で作成すればいいということです。一般的には法令に則した条文形式の規定になっていることが多いのですが、これは次のような理由からです。 ★社内規定そのものが会社の中の法律と考えられる点から、威厳を持たせるために法令に則した条文形式にしている。 ★規定作成にあたって、他社の規定を参考にしたり、市販の規定集を参考にしたりすることが多いが、その場合に他社の規定や市販の規定集が法令に基づく条文形式になっているから。 法令は、その役割からまぎれの少ない正確な文章であることを要請され、しかも、威厳も必要ですから、少々固い表現にならざるを得ないのでしょう。法令の場合、長年の経験によってある一定の様式が整備されてきており、社内規定を作成するうえでも、これを参考にすることは十分意味のあることではないかと思います。ここでは、この法令様式にならって作成する場合の決まりごとについて説明してゆきましょう。 ★書式 法令形式に則した規定の書式は、別表に示すようなものです。 ★文体 規定は箇条書きとし、「である」(常体)体とします。また法令の場合は、右縦書きが原則ですが、社内規定の場合は特に縦書きにこだわる必要はないでしょう。 ★規定の構成と配列順序 規定の構成は、次のようになります。 1.題名 2.目次 3.本体 【題名】 規定の題名は、「○○規定」、「○○規則」、「○○細則」、「○○内規」等の名称をつけ、4文字目から書きます。 【目次】 法令の場合には編、章、節、款、目等に区分したときに、目次をつけることになっていますが、社内規定の場合は、これにとらわれる必要はないでしょう。目次は検索に必要ですし、規定全体の一覧性もあることから、短い規定であっても目次をつけるようにした方がいいでしょう。 【本体】 規定本体は本則と附則から構成されます。本則は総則、定めようとする規定自体、付属的規定に区分され、本則の最初には総則をもってくることになります。総則は、その規定の中で共通した事項を定める部分であり、その内容としては、目的、適用範囲、定義等です。総則に類似した用語に通則がありますが、通則は規定が章立てに区分されているような場合に、該当する章のみに共通する事項を定めるときに用います。 定めようとする規定自体の配列順序は、業務の流れ、又は事務の流れの順若しくは内容の重要度の順というようになります。 本則は、規定の中でどこからどこまでというように範囲を示す文字としては表れてきませんが、本則は題名の次から附則までです。 これに対して附則は、規定の中に「附則」という文字が記載され、この文字から後が附則になります。附則は付随的な内容を規定する部分であり、@施行期日に関する規定、A経過措置に関する規定などをおきます。附則の「附」の字に「付」を用いている場合がありますが、法令では「附」の字に統一されています。 また、附則は一般的には項からなります。附則の内容が一つしかない場合は項番号は省略し、いくつかある場合は「1」から項番号をつけることになります。なお、附則に条番号をつけている例もありますが、これは附則が長いケースに限られます。 ★個々の条文の書き方 条文を書く場合には、まずその条文の内容を表す見出しをつけることになります。古い法令では見出しがないものもありますが、見たい条文を探すのに便利ですから、現在では見出しをつけることが原則になっています。見出しの位置は、条文の前行で、1文字あけて()書きすることとなっています。見出しをつけ始めた初期の頃は、条番号の下につけられていたようですが、現在は上記の方式に統一されてきています。なお、複数の条にわたって同じ内容の事柄が規定されているような場合には、最初の条にだけ共通の見出しをつけ、後の条にはつけません。 条文は、第○条から書き始め、条の次に1文字あけて、本文を書くことになります。条の中で内容によって文章を区分する必要がある場合は、項に分割します。 項は、条文が複数の内容からなる場合にその区分を示すための改行を意味するものです。もともとは、改行のみによって項を表現していたようですが、分かりにくいために段落を設け、更に番号をつけることによってその区分を明確にしてきたという経緯があります。つまり、項番号は2項以下の項を区分するための単なる目印であり、条や号の番号とは本来性格が異なるものです。したがって、1項についてはわざわざ番号をつける必要はありません。そのため、1項についての「1」の数字は省略され、2項から番号がつけられることになります。 条又は項の中で事物の名称や事項などを列記する必要がある場合は、号を用います。号は漢数字で「一」、「二」、「三」のように表します。 号を更に細かく区分するときは、「イ」、「ロ」、「ハ」のようにし、順次「(1)」、「(2)」、「(3)」のように表示することになります。 条文は、誰が読んでも理解できるように分かりやすく正確に書くことが基本であり、まぎらわしい表現はさけなければなりません。法令の作り方を解説している書物で、悪い文章例としてよく取り上げられるものに「ちょうちんに火をつける」というのがあります。何気なく読んだだけでは、別にどうということのない文章です。しかし、これを正確に読もうとすると疑問がわいてきます。おそらく、この文章の意図していることは、ちょうちんの中にあるろうそくに火をつけることでしょう。通常であればそのように解釈されるものと思います。しかし、例えば石頭の代表とされるコンピュータにこの文章を読ませたとしたらどうでしょう。字面だけからコンピュータが機械的に解釈すれば、ちょうちんそのものに火をつけてもおかしくはないのです。 このようなまぎらわしい文章を書くと、個人によってその解釈がまちまちとなり後々トラブルの原因ともなります。トラブルを起こさないためにも正確な文章を書くことが必要だということなのです。 ★用紙の大きさ 用紙の大きさについては、法令でも特に定められてはいません。ただ、社内規定の場合、大きさを定めておかないと作る人によってバラバラなものになり、見た目にも体裁が悪くファイルする場合にも不便が生じます。 古い規定の用紙の大きさを見ると、A列5判のものをよくみかけますが、最近はワープロが普及したことやタイプライターの規格を採用する企業が増えたことなどからA列4判を用いるものが多くなってきています。 ■規定の用字・用語 規定の文章は漢字まじりの平仮名書きとし、常用漢字表、常用音訓表に基づきます。また数字は原則としてアラビア数字とし(号番号は漢数字)、現代仮名づかいを用います。 規定に使う用語は、2つに区分できます。1つは各社において定義づけを行って使用する会社用語であり、もう1つは法令作成に利用される法令用語です。法令用語は一般で使われるよりも厳密な定義づけがされており、使用にあたってはその意味をよく理解し正しい用い方を心がけなければならないでしょう。 次に主要な法令用語の解説を掲げておきますので参考にしてください。 ★「及び」と「並びに」 AとB、またAとBとCというように2つ以上の語句を同じ段階で並べる場合には「及び」を使う。3つ以上の語句が並ぶ場合は、最後の接続の部分に「及び」と使い、それ以外の部分は読点でつなぐ。 2段階になる語句を接続する場合でAとBが一群となり、これより大きいCを並列する場合には「A及びB並びにC」というように小さな並列を「及び」でつなぐ。 接続が3段階になる場合は、一番小さい並列を「及び」でつなぎ、それ以外のつなぎを「並びに」でつなぐ。 ★「又は」と「若しくは」 同じ段階で語句を選択的に使う場合は、「又は」を用いる。選択事項が3つ以上になる場合は、最後の部分を「又は」でつなぎ、それ以外の部分は読点でつなぐ。動詞で終わる場合は「・・し、又は」と読点をうつが名詞で終わっている場合は読点はうたない。 2段階になる場合は、小さい方に「若しくは」を使い大きい方に「又は」を使う。3段階になる場合は、一番大きい部分に「又は」を使い、その他の部分には「若しくは」を使う。 ★「その他」と「その他の」 「その他」の場合には、前に掲げられているものと「その他」以下に掲げられているものが並列的になっている場合に使用され、「その他の」の場合は、前に表示されいる語句が「その他の」以下に含まれる場合に使用される。 「対価その他必要な事項は別に定める」と「対価その他の必要な事項は別に定める」とした場合、前者は対価を除いた必要事項について別規定で定めることになるが、後者の場合は、対価も含めて別規定で定めることになる。 ★「みなす」と「推定する」 「みなす」は、事実が違っている場合でも、法令でそうだと認定してしまう場合に使われる。この場合は、反対となる証拠をあげてもくつがえすことはできない。「推定する」は、法令で一応こうであろうと判断しているのだが、反対の証拠を提出し、認められれば推定をくつがえすことができる。 |
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