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マイクル・コニイ


マイクル・G・コニイ Michael Greatrex Coney (1932〜 )
 イギリス生まれだが、現在はカナダに住んでいる。カナダに渡ってからSFを書いているのでカナダSF作家と見なすべきかもしれない。ホテル経営とかSF 書きとしては異色な経験をしている方かもしれないが、その知識を活かした作品が多い。
関連サイトはここ、カナダSFのサイト。
http://www.geocities.com/canadian_sf/pages/authors/coney.htm
http://westshore.bc.ca/booksmusic/coney.cfm
http://isfdb.tamu.edu/cgi-bin/ea.cgi?Michael_G._Coney

『冬の子供たち』Winter's Children (1974) 関口幸男訳(サンリオSF文庫)

 気候が激変した地球、そこは冬の世界だった。雪に埋め尽くされた世界で青少年たちが生きていく話。普通なら『十五少年漂流記』みたいな話を想像 しそうだが、さにあらず、飲んだくれはいるは、広所恐怖症はいるはで、リーダー格の青年は大変である。人間を襲う白い獣はいるし、同じ人間であるのに人間 を襲うグループもある。
 そんな中で、新たに道連れになった二人と共に雪上船で南に向おうと云う、一行が繰り広げるアドヴェンチャーSF。雪に埋もれた世界の描写や、橇や雪上船 の描写が生き生きとして楽しい。気になるのは、結構御都合的な場面があったりすることだ。
 面白いのだが、完成度としてはやや低く感じられ、コニイの修作時代のものと言って良いだろう。

『ハローサマー、グッドバイ』Hello Summer, Goodbye (1975) 千葉 薫訳(サンリオSF文庫)

 とある惑星、そこには人類のような種族が住んでいました。読む分には人類だと思えば済みます。そこでの少年の甘酸っぱい青春の物語です。けれど それだけではありません。戦争は影を投げかけ、惑星にも長き冬がやってくるという危急の秋(とき)なのです。
 そして、少年は少女に出会い、二人は恋に陥ります。年少者が行う様々小さな冒険があります。そんな中、二人の周りに風雲は急を告げ、豊かな輝ける季節は 翳っていきます。
 こういう話を形容する時は、普通瑞々しいと云いますが、それが実に相応しい。若さに満ち溢れ、生き生きとした生命力が光を放つ、まさにそういう作品で す。大の大人が気恥ずかしさもなく言えるものではない。多少の照れを覚え、口元を少し緩めて「良いよなあ」という、瑞々しさなのです。
『カリスマ』Charisma (1975) 那岐 大訳(サンリオSF文庫)

 単純に言ってしまえば、多次元宇宙を巡るラブストーリー。ある平凡な港町での在り来たりな話から始まり、謎の女性スーの登場があったり、やがて 殺人事件が起こって、主人公がその犯人にされる。主人公は実際には犯人でないのだが、状況証拠等全て、彼が犯人であることを意味していた。それは実 は・・・と話はミステリーからSFへ。
 と、書くと実につまらなさそうに思えるが、コニイの情感豊かなキャラクターと繊細な情動は読者をゆっくりとしかし着実に掴み、結末に至って哀切さと救い をそっと手渡ししてくれる。こういう機微こそ、コニイに惚れ込むファンを生み出す所以なのである。

『ブロントメク!』Brontomek! (1976) 遠山峻征訳(サンリオSF文庫)

 SFとしての粗筋は置いておいて、この『ブロントメク!』を読んで残った幾つかを考えてみる。何がそこに在ったか? 愛と切なさ、それは主人公 に取って、主人公に感情移入する読者に取って鮮明に与えられるもの。コニイの話にはつきものである。それは人間だからこそ遭遇するものである。
 人間だから、理想的な男性や理想的女性(いうまでもなく主人公にとってのスー)というのを女も男も追い続ける。しかし、必ずしも得られるものではない。 現実と云うものが、望みや期待を裏切るものであり、また理想というのは有り得ないからこそ、理想としての崇高さ敬虔さを持ちうるのではあるまいか。
 案外、作者マイクル・コニイは『神曲』を書いたダンテのベアトリーチェのように、理想的な女性を胸に抱いているのかもしれない。だからこそ、何度も姿を 変えて彼女は作品に現れるのだろう。時には決して実現することない、真実の恋人として。それゆえ彼女たちは決して崇高性・敬虔性を失わない。となると、話 がどうなるかは定まってくる、それでも、胸を打つ。それはコニイ自身の心情とも重なるからだ。こう思うとすごく理解しやすい、それが本当かどうかはともか く。  もし、あなたが本当のヒロインというのを探しているなら、コニイの作品を読むと、ひょっとしたら出会えるかも知れない。少なくとも彼女たちは何ら かの温かみを置いていってくれるはずである。

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