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ロバート・L・フォワード


Dr.ロバート・L・フォワード Dr. Robert Lull Forward(1932〜2002)
 最強のハードSF作家。軒並みSF作家が知識を得ていた源泉がこの人。ヒューズ・エアクラフト社の研究所に勤めていたが、1987年に辞めて、フォワー ド・アンリミテッド社を設立する。ホームページはここ.。
http://www.uah.edu/library/archives/forward/
http://www.robertforward.com/
http://isfdb.tamu.edu/cgi-bin/ea.cgi?Robert_L._Forward
SFWAの訃報記事
http://www.sfwa.org/News/forward.htm
Planetary Societyの訃報記事
http://www.planetary.org/html/news/articlearchive/headlines/2002/RobertLForwardObituary.html
テザーの会社
http://www.tethers.com/

『竜の卵』Dragon's Egg 山高昭訳(ハヤカワ文庫SF)

 中性子星に生命が存在している作品って聞いた時、それは無理だろうと思った。原子核さえ潰れた世界で、どうやって生命が発生するのか? と。我々人間の 身体を為すのは様々な分子結合である。分子結合ができるのはなぜかと言えば、単独の原子レベルでは高いエネルギーにあるものが、結合によって(電子をやり 取りすることによって)、低いエネルギーレベルに移るからである。逆に、それだけのエネルギーを与えれば、結合が解ける事になる。つまり、一定のエネル ギーの差・準位が幾つも存在することが、生命を生み出す根幹なわけである。ところで、フォワードは、中性子星でもエネルギーの準位というのは存在する、原 子核のエネルギーつまり分子エネルギーの数万倍以上の世界ではあるが、それが生命を生み出す可能性をもつ、ということを自らの論文で明らかにした。そこ で、この科学的可能性をSFとして最大限に引き出したのが、この架空の中性子星−竜座の腹当りにあったので「竜の卵」と名づけられた−の知的生命体チーラ たちの物語である。
 当時の中性子星の科学情報を有らん限り使い、観測には、重力補償法というユニークな手段を用いている。まあ、チーラたちの思考法というのはほとんど人類 的で(人類のせいでもあるが)、その点割り引かれるかもしれないが、それでもSFの世界で読み継がれる必要があると思う。
 重力補償法については、こちら
スタークェイク』Starquake 山高昭訳(ハヤカワ文庫SF)

 『竜の卵』の続編。前作が現代科学のハードSFとすれば、この作品は未来科学のハードSFである。チーラたちは人間よりも短い時間に生きてる。そのた め、人間たちが情報を送り出してそれを受け取る間に、人類以上の科学技術を育て上げてしまうことになる。そこでフォワードは、現代科学以上のハードサイエ ンス(自然科学)を構築しなければならない。ところが、「竜の卵」に星震「スタークェイク」が発生し、チーラ文明が崩壊する。フォワードが描けるハードサ イエンス(自然科学)のギリギリという線で物語は進むのである。まあ、ずるいといえばずるいし、嘘の科学を書こうとしないという点では褒められる。まるで 「邯鄲の夢」のような、チーラ文明の衰亡と再興を描いた作品。

『ロシュワールド』The Flight of the Dragonfly 山高昭訳(ハヤカワ文庫SF)

 宇宙を進むのには幾つかある。原子力推進や反物質推進とか。今度フォワードが選らんだのは、ライトセイル(光の帆)である。地球から電力を集めてレー ザー光で宇宙船を走らせるという手段。ここまでなら驚かないが、更に、その帆を切り分けて減速する手段まで考えるんだから立派。バーナード星まで、探検隊 は進む。帰ることない片道の旅だが、それでも彼らは行くのであった。細かいガジェットは省くが、その設定だけでも結構面白い。更に、到着先は、本来なら ロッシュ限界まで接近してるために破砕している筈の二重惑星だった。これが題名になっているロッシュワールドである。前代未聞の天体である。ここで探検隊 は、知的生命体と出会い、更なる冒険を繰り広げるのである。面白そうと思ったら、買って読むべし。

火星の虹』Martian Rainbow 山高昭訳(ハヤカワ文庫SF)

 火星、地球に近接した惑星で、人口に行き渡った星である。かって、様々なSFが書かれ、最近でもキ ム・スタンリー・ロビンスンなんかが書いている。
 科学的によく知られる前には、運河があり、きっと知性体がいるに違いないと思われ、古くは、H・G・ウェルズの「宇宙戦争」、E・R・バロウズの「火星 シリーズ」、ブラッドベリイの「火星年代記」などが書かれました。火星は地球に毛が三本たらないだけと思われていたのです(低重力、低気圧、低温)。
 ところが、マリナーの探索やヴァイキングの着陸で、それは決定的な転機を迎えます。火星は不毛で、人が住めるどころではないと判明するわけです。もっと も、十分に分ったわけではなく、NASAは、つい先日、マーズパスファインダーと言う惑星観測機を送り出したわけですが。
 しかし、ヴァイキングらにより科学的に明らかになれば、またその設定でSFはリメイクされます。そしてフォワードのこの作品はそうした知識を元に行われ るテラ・フォーミング(地球化)の話です。アーサー・C・クラークも「火星の砂」という(ちょいと古いが)ハード(気味)・SFでテラ・フォーミングを書 いていますが、当然、フォワードにはそれ以降のデータも多量にありますし、既に他で使ったネタも流用できますので、それを組み合せるだけでもハードSFを 作れてしまう。
 しかし、フォワードの創作態度は「謝辞」にもあるが、”事実を小説の出来ばえに優先させるな”を守ろうとし、楽しめるSFを書こうとしている。その旨 さ、下手さはあまり言いたくないが、解説にもあるように、人間の方がつまらなく、エイリアンの方が面白いという従来隠れていた、フォワードの短所が見えて しまっているのです。それなりに楽しむには良いでしょうね。

『SFはどこまで実現するか』Future Magic 久志本克己訳(講談社ブルーバックス) [Replaced by Indistinguishable From Magic.]

 ノンフィクションですが、ハードSFねたがゴロゴロと存在する本です。実際にこの本のネタを使って、フォワード自身が短編SFを幾つか作っています。

 未訳短編集の話はこちらです。
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