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エドガー・アラン・ポオ
エドガー・アラン・ポオ Edgar Allan
Poe(1809〜1849)
200年少しのアメリカ文学界で、一番の大物かもしれないのが、このポオである。日本では、ポー、ポオ、ポウ等と表記される。私も使い分け出来きないの
で困るが、ここではポオと東京創元社読みを採用する。
怪奇と幻想の作品を描き、探偵小説の元祖となり、SFの鼻祖とも目されるが、才気に溢れ審美眼を持った彼の作品は、時代を超えて生き残ることが出来ると
思う。ところがその彼は、文学的歴史の観点からは異端児である。そこから新たな流れを作ったのだから巨大な存在である。
公的サイト
ボルチモア・ポオ協会
http://www.eapoe.org/
リッチモンド・ヴァージニア・ポオ博物館
http://www.poemuseum.org/
幾つかの詩や短編等の原文を載せている、幾つかのサイト。
http://www.angelfire.com/ga/frazuh/poe.html
http://www.geocities.com/Area51/Corridor/4220/poe.html
http://www.geocities.com/Area51/Corridor/9603/poe.html
http://underthesun.cc/Classics/Poe/eapoe.htm
関連サイトはこちら。
http://www.comnet.ca/~forrest/
http://www.poedecoder.com/Qrisse/
http://bau2.uibk.ac.at/sg/poe/
http://dcls.org/x/archives/poe.html
http://www.island-of-freedom.com/POE.HTM
SF系サイト。
http://bau2.uibk.ac.at/sg/poe
探せば幾らでもあるというのが、実際である。
『ポオ小説全集1』阿部知二他訳 創元推理文庫
「壜の中の手記」Ms. Found in a Bottle (1833)
「ベレニス」Berenice (1835)
「モレラ」Morella (1835)
「ハンス・プファアルの無類の冒険」The Unparalleled Adventure of One Hans Pfaall (1835)
「約束ごと」The Assignation (1835)
「ボンボン」Bon-Bon (1835)
「影」Shadow (1835)
「ペスト王」King Pest (1835)
「息の喪失」Loss of Breath (1835)
「名士の群れ」Lionizing (1835)
「オムレット公爵」The Duc De L'omelette (1836)
「四獣一体」Four Beasts in One -The Homo-Cameleopard (1836)
「エルサレムの物語」A Tale of Jerusalem (1836)
「メルツェルの将棋差し」Maelzel's Chess-Player (1836)
「メッツェンガーシュタイン」Metzengerstein (1836)
「リジイア」Ligeia (1838)
「鐘楼の悪魔」The Devil in the belefry (1839)
「使いきった男」The Man That Was Used Up (1839)
「アッシャー家の崩壊」The Fall of the House of Usher (1839)
「ウィリアム・ウィルソン」William Wilson (1839)
「実業家」The Business Man (1840)
『ポオ小説全集2』大西尹明他訳 創元推理文庫
「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」The Narrative of Arthur Gordon Pym of
Nantucket (1838)
「沈黙」Silence (1837)
「ジューリアス・ロドマンの日記」Journal of Julius Rodman (1840)
「群集の人」The Man of the Crowd (1850)
「煙に巻く」Mystification (1850)
「チビのフランス人は、なぜ手に吊繃帯をしているのか?」Why the Little Frenchman Wears His Hand in a
Sling (1850)
『ポオ小説全集3』田中西二郎他訳 創元推理文庫
「モルグ街の殺人」The Murders in the Rue Morgue (1841)
「メエルシュトレエムに呑まれて」A Descent into the Maelstrom (1841)
「妖精の島」The Island of the Fay (1850)
「悪魔に首を賭けるな」Never Bet the Devil Your Head (1850)
「週に三度の日曜日」Three Sundays in a Week (1850)
「楕円形の肖像」The Oval Portrait (1850)
「赤死病の仮面」The Masque of the Red Death (1841)
「庭園」The Landscape Garden (1950)
「マリー・ロジェの謎」The Mystery of Marie Roget (1842)
「エレオノーラ」Eleonora (1850)
「告げ口心臓」The Tell-Tale Heart (1843)
「陥穽と振子」The Pit and the Pendulum (1842)
「鋸山奇談」A Tale of the Ragged Mountains (1844)
「眼鏡」The Spectacles (1850)
「軽気球夢譚」The Balloon-Hoax (1844)
「催眠術の啓示」Mesmeric Revelation (1850)
「早まった埋葬」The Premature Burial (1850)
『ポオ小説全集4』丸谷才一他訳 創元推理文庫
「黄金虫」The Gold-Bug (1843)
「黒猫」The Black Cat (1843)
「長方形の箱」The Oblong Box (1844)
「不条理の天使」The Angel of the Odd (1850)
「「お前が犯人だ」」Thou Art the Man (1844)
「ウィサヒコンの朝」Morning on the Wissahicon (1850)
「シェヘラザーデの千二夜の物語」The Thousand-and-Second Tale of Scheherazade (1845)
「ミイラとの論争」Some Words with a Mummy (1845)
「天邪鬼」The Imp of the Perverse (1850)
「タール博士とフェザー教授の療法」The System of Dr.Tarr and Prof. Feather (1845)
「ヴァルドマアル氏の病症の真相」The Facts in the Case of M. Valdemar (1845)
「盗まれた手紙」The Purloined Letter (1845)
「アモンティリアドの酒樽」The Cask of Amontillado (1846)
「アルンハイムの地所」The Domain of Arnheim (1847)
「メロンタ・タウタ」Mellonta Tauta (1849)
「跳び蛙」Hop-Frog (1850)
「Xだらけの社説」X-Ing a Paragraph (1850)
「フォン・ケンペレンと彼の発見」Von Kempelen and His Discovery (1849)
「ランダーの別荘」Landor's Cottage (1850)
「スフィンクス」The Sphinx (1850)
「暗号論」Crytography (?)
『ポオ詩と詩論』福永武彦他訳 創元推理文庫
「構成の原理」
「詩の原理」
「ユリイカ」 Eureka: An Essay on the Material and Spiritual Universe (1848)
及び詩六十三編
『ポオのSF 1』八木敏雄訳 講談社文庫
「ハンス・プファールの無類の冒険」(「ハンス・プファアルの無類の冒険」)
「メロンタ・タウタ」
「瓶から出た手記」(「壜の中の手記」)
「大渦への落下」(「メエルシュトレエムに呑まれて」)
「シェヘラザードの千二夜の物語」(「シェヘラザーデの千二夜の物語」)
「ヴァルドマール氏の症状の真相」(「ヴァルドマアル氏の病症の真相」)
「のこぎり山奇談」(「鋸山奇談」)
「ミイラとの論争」
「使いきった男」(「使いきった男」)
『ポオのSF 2』八木敏雄訳 講談社文庫
「ユリイカ」
「エイロスとチャーミオンの会話」The Conversation of Eiros and Charmion (1839)
「モノスとユーナの対話」The Colloquy of Monos and Una (1841)
「催眠術の啓示」
「言葉の力」The Power of Words (1845)
「タール博士とフェザー教授の療法」
ちなみに『ポオのSF 1』『ポオのSF
2』をようやく入手。探し始めて10年以上たっていました。最初に古書店で見かけた時に買っていれば良かったのだ。
『盗まれた手紙』The Purloined
Letter 富士川義之訳(国書刊行会バベルの図書館11)
「盗まれた手紙」
「壜のなかの手記」 (「壜の中の手記」)
「ヴァルドマル氏の病症の真相」(「ヴァルドマアル氏の病症の真相」)
「群集の人」
「落し穴と振り子」(「陥穽と振子」)
SF的作品
「催眠術の啓示」「ヴァルドマアル氏の病状の真相」は催眠術を用いて、前者では眠った者にイデアを語らせ、後者では不治の病に罹ったものを暗示によって
活かす話である。「ミイラとの論争」は、ある種のミイラは生き返ることが出来、そのミイラと現代人が文化・技術について論争する話である。「メロンタ・タ
ウタ」は軽気球が発達した未来の話。「フォン・ケンペレンと彼の発見」は、錬金術が成功する話。と、19世紀からのネタで、如何にもその頃から見た科学
なので、今日的にはSFというよりも、SFらしい話というべき内容である。
こういった未来視野を持っていたもポオで、そういう観点で、登場人物に喋らせる作品が多い。「エイロスとチャーミオンの会話」「モノスとユーナの対話」
「言葉の力」などもそうで、地球滅亡後の話ではあるけれど、文明論的な内容になっている。
冒険SF
「ハンス・プファアルの無類の冒険」は気球による月世界旅行を描いたもので、当時のハードSFといってよいと思う。「メエルシュトレエムに呑まれて」は
大渦に飲み込まれる漁師の話で、科学的な見地から物事を観ようとしている(それが正しいかどうかは別)。面白いことに、このネタの宇宙版として、アー
サー・C・クラークが月世界での”大渦”を描いたのに「大渦巻II」(『太陽からの風』ハヤカワ文庫SF)があり、更に星野之宣のマンガ「メールシュト
ロームIII」(『2001夜物語』双葉社)があります。「軽気球夢譚」は海を気球で渡る話。一口で言えばジュール・ヴェルヌの『気球に乗って五週間』の
原形がここにある。
「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」は、漂流から極地探検までの長い話で、ポオ唯一の長編(今日の長編が大冊なので、短く見えます
が長編です)。ただし未完成。船乗りに憧れる青年ピムが、友人と謀って密航するが、その船に叛乱が起きて、更に暴風雨によって難破。漂流を続けた挙げ句に
他の船に拾われ、ケープタウンを乗り切って、インド洋の南の島を訪れ、極地探検を行う。南極はある地域を抜けるとそれまでと逆に温暖になり、ピムたちは表
面上はおとなしい原住民の島に着く。しかし、原住民の時期を選んだ裏切りにより、ピムともう一人だけが生き残り、北に帰れば凍死することが見えているの
で、更に南に進む。洞窟などに奇妙な記号を見たり、原住民の奇妙な言葉に勘ぐったりしながら行き着いた先、その極部は白い蒸気の噴く所であった。と、ここ
まできて、残り二章が書かれていない。そのため、生きてアメリカ帰った二人の後日譚であるこの話は、ここで未完となる。読み手としては、なんとなく地球空
洞説を感じるであろう。まさに冒険SFである。ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』の先鞭であることが言える。SFの鼻祖として、ポオの名前が上げられるの
はここらへんの作品のためだ。
なお、「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」の続編となる作品『氷のスフィンクス』(集英社文庫)をジュール・ヴェルヌが書いてお
り、ヴェルヌがポオに影響されていることは明白。更に、ポオを扱ったSFとしてルーディ・ラッカーの『空洞地球』(ハヤカワ文庫SF)があります。
SF的シュールな話
「使い切った男」では、数々の戦功を上げたが、義手、義足でまともなのは胴だけという男の話で、法螺話のようでもある。R・A・ラファティの作品みたいだ。「シェヘラザーデの千二夜の物語」はアラビアン・ナイトの夜
伽の
物語で命を永らえた后シェヘラザーテが、折角千一夜を過ぎて王に赦免されるはずが、非常に科学的な19世紀の話を延々としたために、愛想尽かされて殺され
て
しまうという作品である。シュールさと言う点では「メロンタ・タウタ」もこの部類に属するのだろう。
恐怖作品
「ベレニス」「メッツエンガーシュタイン」「アッシャー家の崩壊」「陥穽と振子」「早まった埋葬」「黒猫」
ポオの作品には暗い話が多く、まるで呪われているかのようだ。怪奇と幻想の話にもなるが、サスペンスに近いホラーの作品もある。上記なんかまさにそう
で、何かにとり憑かれたような感じである。自滅型の「アッシャー家の崩壊」や「黒猫」は鬼気迫るが、拷問のような理不尽な状況の「陥穽と振子」「早まった
埋葬」も息が詰まって、朦朧となりそうな怖さがある。
怪奇作品
「壜の中の手記」は、漂流中の小船が帆船に近づいて、その中に乗り込むと、異様な人間たちが蠢いていたというのが、壜の中の手記の内容だった、というも
の。「モレラ」は妻が亡くなり、その娘は妻に似てきた、そして妻の死体が消えたという怪奇。「リジイア」は恋人に死なれた男に出来た妻が、前の恋人に変身
するという怪奇。この辺り、ポオには妙な女性コンプレックスがあるような気がする。「ウィリアム・ウィルソン」はドッペルゲンガーの話の古典。「赤死病の
仮面」は赤死病という病が流行っている最中、憂さ晴らしに設けられたパーティーに、その赤死病自身が人間の姿をして出現するという怪奇譚だが、それは人の
姿をした恐怖という文学的表現でもある。「鋸山奇談」はある人物の不思議な生涯についての話。「悪魔に首を賭けるな」は題名通り、首を取られて死んでしま
う話。「スフィンクス」は眼の錯覚で、虫が怪物に見えたという話。不思議な話という意味の奇談を多く書いていたのもポオである。
幻想作品
「影」「沈黙」「妖精の島」「エレオノーラ」
ファンタジーかフェアリーテイルに存在するような美的な要素を持った作品だが、物語性がなく、そのエッセンスだけで構成されている。
風景小説
「アルンハイムの地所」「庭園」「ランダーの別荘」「ウィサヒコンの朝」
ポオは美的感覚に非常にうるさい。だから、彼が全力を上げて、美的な話を作ると、まさに至上の絵が生まれる。そういった作品。
シュールな作品
「不条理な天使」「息の喪失」「四獣一体」
シュールレアリズム=超現実的な話ということです。個人的には「不条理の天使」が好みです。「群集の人」もシュールといえばシュールな話。
推理小説
ポオの一面で忘れてならないのは、推理小説の祖でもあることである。探偵オーギュスト・デュパン物の「モルグ街の殺人」「マリー・ロジェの謎」「盗まれ
た手紙」であるとか、構成上の遊びを織り交ぜた「「お前が犯人だ」」も推理物である。謎を巡ってのお宝捜しの話の「黄金虫」も分類するなら、推理物かもし
れない。「メルツェルの将棋差し」などもポオの解析的思考が窺える。
風刺と韜晦の作品
「煙に巻く」「×だらけの社説」は才気が空回りする人間の話。
ポオの作品を、幾つかに分類したわけですが、これで分かるのが、ポオという人物が複雑な個性だということです。自信に溢れ、才知をひけらかす面
もあれば(「ユリイカ」「構成の原理」などはそう)、自虐的な面もある。審美眼もあれば、おどろおどろしい話も描く(この面を”アラベスクとグロテスク”
というらしい)。一見そうは見えないが意外にもドタバタな話を書いていたりもする。「タール博士とフェザー教授の療法」なんかはそう。
それでもやはり、エドガー・アラン・ポオは素晴らしい作家だと思う。
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