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モルディブの魅惑

 

 ダイビングもしないくせにモルディブに行ったことがあるというと、たいていの人はひどく嫉ましげになる。もったいない、と言われることさえある。

 どうやら私は世界の宝石には値しないようだ。

魚

 私は深い海に潜ったことはない。

 小さいころから中耳炎を繰り返していたこと、鼻が悪いことも手伝ってか、左耳の耳抜きができないのだ。

 今まで一番深く潜ったのは、学校の5mプールの底だ。といっても5m潜ったとはいえないかも知れない。足が底に着いただけだから。懸命に努力してみても耳抜きはできないまま。ひどく耳が痛かった。

 泳ぐことは好きだ。決してスピードはないけれど、プールで2kmぐらいなら泳いだことがある。水にいると、自由になったような気がするから。浮かんでいるのがとても好きなのだ。

 体中がふやけて、だるくなると悔しくなる。

 しょせん私は海には帰れないらしいから。

 

 モルディブの海に潜ったのはもう五年も前のことになる。

 働きだして初めての海外旅行だった。

 一緒に行った友人に、命の洗濯だね、と言うと、「私の命は汚くないわよ」と言い返されてしまった。

 日本の夏休みはモルディブでは雨期に当たり、あまりよいシーズンではない。海の透明度も低いそうだ。

 空港しかないまっ平らな島(オーバーランしたら、海の中!)にたどり着いたとき、真っ暗な海はかなり荒れていた。

 私たちの泊まるホテルへの船は出ないという。

 首都である隣の島マーレに泊まってくれと言われて、小さな船に乗り込んだ。ドーニという地元の船だ。

 船は大波に乗って大きく揺れ、水しぶきが座席を濡らした。目の前に見える島なのに、たどり着くまでの間が長かったこと。

 翌日、ようやく目的地のリゾートホテルにたどり着いた。

ドーニ これがドーニだ。

 さすがに雨期だけのことはあって、一日は雨に降られてホテルのロビーの吊り椅子の上で過ごした。島にはホテル以外は何も存在しない。ただ海を楽しみ、マグロ三昧の食事を楽しむだけなのだ。何もしないことに耐えられない人には勧められないが、極上の体験だった。

 期待していたヨットは、改装されたせいなのか置いていなかった。だから毎日シュノーケリングと水遊びに励んだ。ドロップオフの入り口にもぐったりもした。流れが速くて、さらわれてしまいそうだったが、広がっていたのは夢の世界だった。教えられてイソギンチャクに触った。耳はとても痛かったけど。

花1 花2 花3
ホテルに咲く花

 ある日、遠浅の海を歩いて隣の島まで行った。

 イタリアのリゾートの島だった。宿泊客も陽気なイタリア人ばかり。

 モルディブにはドイツ人の多い島やフランス人の多い島などもあるらしい。ちなみに私たちの過ごした島には、オーストリア人が多かった。

 この壁紙はその島の海でわたしが撮影した写ルンです水中の写真だ。(ちょっと今画像が壊れてます。直し次第アップします)

夕暮れの海

 いつかあの魅惑の島をもう一度訪れたい。暖かくなった地球の海に沈んでしまう前に。

海に沈む夕日

(追記)数年後、伊豆の海で体験ダイビングを経験し、流血しながらも最深記録は更新した(12メートルあまり)。

 と言っても、それきり潜る機会はないままだ。


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