朝目が覚めたと同時に
外の様子を伺った
俺のカンだと今日は朝から雨を覚悟していたからだ
だが雨の降る音は聞こえない
テントの外に出てみると空はまだ暗いが
雨は降っていないようだ
場所が場所なのでさっさと撤収しようと思ったが
まずはコンビニでパンと野菜ジュースの簡単な朝食だ
それからテントを片付けても大丈夫だろう
時間はまだ朝4時
雨が降っていなければどういう道で阿蘇に向かうか地図と向き合う
昨日の夜は旅の余韻に浸り
今日は朝から新しい旅の予定を立てる
すこぶる充実している気がする
雨が降らなければ霧島も行ってみたいし桜島も行ってみたい
ここから桜島までであれば然程距離は無い
R220を走り桜島に行き桜島一周してみよう
そして桜島で
「セックスマシンガンズの桜島」を熱唱しよう
それが今日の最初の予定
その後の事はその後で決めれば良い
さっそくテントをしまい出発
昨日とは打って変わって今日は朝5時に走り出した
道は空いていて走りやすい
思ったより良い道だし安心して走っていたのも最初だけ
急に雨が降ってきた
ある程度想定していたからすぐに着れるようにカッパは取りやすいところに入れといた
路肩で合羽を着て桜島を目指す
しかし雨は次第に強くなる
こんなに大雨の中バイクに乗るなんて初めてだ
途中「佐多岬100K」(もしかしたら99Kとかだったかもしれん)の標識が見え
俺もついにここまで来たのかーと思ったが
俺の目標から佐多岬は消えていたからあっさり通り過ぎる
今日は絶対に阿蘇だ
雨の降る中俺は桜島に近づいていった
大雨で道はほとんど見えない
途中大きな水溜りがありそこに突っ込んだ
気づくより先にフロントタイヤから出た水しぶきが足に当たり
足が浮き上がった
危ないところだった
今ので下手したらこけていたかもしれない
雨でイライラしてペースが上がってしまっているのかもしれない
安全運転安全運転
それにしてもすごい雨だ
まさに豪雨
そして俺の左手のように島のようなものが・・・・
大雨ゆえデジカメを出すことすら出来ずに通り過ぎる事になるとは・・・
ただただ悔しいから島を見ながら「さくらじまー」と何度も叫んだ
何度も何度も
「さくらじまー」
「数え切れないあくの中で♪」なんて叫んだりもした
俺の旅史上ここまで屈辱的なことは無かった
目的地は見えているのに大雨で何一つ楽しくないから行く気が起きない
そして交差点
左に行けば桜島
信号は赤
俺の心の中では本当にあきらめて良いのか?という疑問が浮かんでいる
どうすればいいんだ
俺は
悩んでいるうちに信号は赤から青に
動けない俺
まるで好きな娘と遊んでいて帰らなくちゃいけないのに
もっともっと抱き合っていて離れたくなくて離れられない時のよう
結局雨の中後ろから車も着ていないので信号一個分だけ桜島を眺めた
次の信号が青になったら桜島に背を向け俺は阿蘇に行こう
霧島も雨で面倒だから行かずただ阿蘇を目指そう
そう決めた
だけどまたあなたに逢いにくるからね
またいつか逢おうね
どんなにツーリングマップるにお勧めと書かれた道でも
この大雨じゃただの道
クソくれぁだ
この屈辱感を忘れてたまるか
リベンジは必ずする
走った、走った
生まれて初めてこれほどにきつい大雨に打たれて
行くべき場所もいけなかったことが信じられなく
悔しさがこみ上げてくる
それでもさらに強く俺を打ちつける雨
が・・・
そんなときに俺が思い出したことは
「激しい雨が俺を♪」
モッズの激しい雨
考えてみれば俺は雨が似合う
いいじゃねーか
激しい雨上等
雨の日のバイクって開き直ると以外に楽しいものだ
ガキの頃よくやった水掛ごっこしてるような気分になる
大人になって体中びちょびちょになることなんて無いけど
それからもずっと雨は降り続ける
最短距離で阿蘇に行くことだけを考えた
R220→R10→R223→R504
ってのが早そうだ
ただ問題はR504は山の中に入っていく予感
雨の山道ほど嫌なものは無い
大雨でまたでかい水溜りが出来ているかもしれないし
落ち葉とかが濡れいるとすべるし
結構危険だ
だがこれが最短ルートだと思うとひたすら走ることにした
走って行くと以外にたいした山ではなくて安心した
適度に町があったし道も悪くなかった
R504からはR328
この辺も意外に気合で走れた
雨でぜんぜん景色を頼んだ記憶は無いが・・・
ただ俺は忘れもしない
このR328を走っているとさっきまでの雨とは明らかに違う
もう激しい雨が俺を♪
だなんて歌っている余裕がなくなるほどの大雨
前が見えないくらいだ
仕方なく雨宿りの出来るところを探して入り込み
雨が弱まるまで待つことにした
バイクと一緒に雨宿り
なんか好きだなー
雨の降る季節にバイクで旅に出てバイクと一緒に雨宿りしながら
雨が上がるのを待つのって
水溜りに落ちてくる雨
アスファルトに落ちる雨
草の上に落ちる雨
どれも同じように降ってくるのに落ちると変わっちゃう
最近雨をのんびり眺める時間なんて無かったからちょっと楽しかった
このままここにテント張って野宿しようかな
なーんて思ってみたりもしたり
なんだかんだ30分程度そうやって時間をつぶし
さっきに比べたらかすかに弱くなったので出発することにした
といってもまだ大雨だ
R3に出る頃俺の頭の中にはただひとつ
早く道の駅出て来い
もちろんタンクバッグも濡れないようにビニールを掛けているから
地図は見れない
良いのか?俺は
本当にこの道を走っていて
どこで曲がるかなんて大雑把に覚えているだけだ
疲れて休みたいのに休める場所が無い
泣きたくなってきた
今なら泣いても雨で涙は誰にもばれないさ
泣いちゃえよ俺
つらいときは泣いちゃえば楽になるんだ
水俣市に入った
水俣って水銀だっけ?
水俣病にならないかちょっと心配だったが
どうせ仕事で水銀使うことがあるからどうでもいいや
とにかく今は水銀より雨が嫌なんだよ俺は
トンネルに入った時は雨がなくなったが道が見えない
神様、今日俺を徹底的にいじめているのですか?
このままじゃやばい
早く道の駅出て来い
俺が許す
今すぐここに作れ
トンネルを抜け数分後
見えた
「道の駅 たのうら」
やっぱり俺は神様に見捨てられてはいなかったんだな
迷わずよって雨宿りする
ここではほかにチャリダーが非難していた
俺もバイクから離れて雨宿りをしようと思ったが・・・
バイクを見ると
サイドバッグのカバーがなんか変
ちょっと見るとカバーの中に水がたまっている
おいおいおい
これって絶対に設計ミスだろ
雨が降っても大丈夫なように作られたカバーだろ
それなのになんで水が中にたまってるんだよ・・・
水がたまってそこにバッグが使っている
中のものは結構被害を受けているだろうな
落ち込みながらももう確認したから俺だけ雨宿り
道の駅をさまよいあったかい飲み物と適当な喰いもんにありつく
しばらくして雨は弱まってきた
道の駅にいるといろんな人が入ってくるのが面白い
人間観察の好きな俺には退屈しない場所だ
たとえばコンセントを勝手に使い携帯を充電しているヤンキー
雨に打たれつかれきっているチャリダー
金がありあまりのんびりと旅をしている老夫婦
金はなさそうだが幸せそうなカップル
そんなやつらが見た俺はきっと
「小汚い貧乏ライダー」ってところかな
貧乏上等
贅沢は敵だよ敵
雨は上がることは無いと悟った
どうせ雨に降られっぱなしなら出発しよう
少しでも早く阿蘇につきたい
それからまたR3を走る
R3は市街地に向かい走っていく
山の中の迷うことの無い道を走っていて
それから急に市街地に出るとすこし戸惑おう
どこで曲がって良いのか親切な看板ならすぐにわかるのだが
不親切な看板だと通り過ぎるときがある
雨の中道を間違えると普段間違えるのの100倍はむかつく
だがとにかく熊本まではR3を追っていけばいいのだ
途中に道の駅があればそこで休憩する
やはりバイクは走りに専念すると早いものだ
それほど時間がかからずに熊本市内に入った
そこまでくれば後はR57で阿蘇を目指す
熊本市内に入ったと同時に道が込み始めた
久しくすりぬけを使い信号のたびに一番前に出て少しでも早く着きたい想い
R57に曲がったらもうそこは渋滞の連続
というか阿蘇まで全部渋滞
いったい何キロ渋滞すれば気が済むんだよ
そう思うしかない
連続すり抜け記録でも樹立するかのごとく抜きまくる
だが道が狭かったり走りにくい
止まっていると雨に打たれて寒い
さすがに長時間雨に打たれているせいで体温も低下する
もうブーツの中は水浸しだ
そして寒い
5月の雨はまだ思ったよりも冷たい
まるで俺の心のように冷えきった水が止まっている俺を包む
風邪引くかもしれない
その想いが頭によぎり始めた
少しでも動いて体温を上げよう
そのためには少しくらい危険でもすりぬけをするしかない
とにかく抜けろ
抜けて抜けて抜けまくれ
結局R57はずっと渋滞したまま道の駅「大津」まで来た
大津で今度は昼飯を喰う
この道の駅は比較的綺麗で
道の駅らしい道の駅だった
特産物も売っていれば工芸品も売っているし
売店でたこ焼きとかいろんなのが売っていた
ひとまず俺は名物だと思われるものを喰った
名前は忘れた
とにかく雨に打たれて冷たくなりきった俺の体とココロを少しはあっためてくれた
ここに長居は不要
目的地はもう少しだ
走るんだ
走るんだ
最低限の栄養を取る程度にして俺はまた走り出した
ここからも相変わらずの渋滞
お前らみんなで阿蘇に来るなよ
むしろ俺以外みんな帰れ
雨だし
帰れ
帰れ
そして雨だけではなく霧まで出てきた
よく聞いたこと
「阿蘇は霧がかかっていることのが多い」
雨で霧ですか?
俺そんなに悪いことしましたか?
一昨日女子中学生の白いパンツ見たことがそんなに悪いことですか?
ほかには何も悪いことした記憶は無いですが・・・
少なくとも今回の旅で俺は良い子だ
多分
いや絶対に
ちょっと道の駅をオートキャンプ場と思い込んでいる以外は何一つ旅人として
まっとうに旅をしている
なにの何で雨と霧・・・
結構ぐれる
だが霧がかかりながらも阿蘇の綺麗な風景が見えてきた
霧がかかっててもいけてるじゃん阿蘇
走っているとこんな雨の中パノラマラインのところで曲がる人間が沢山いた
雨でも一応走っておきたいのだろう
がんばれ
俺は今日はもう少しで目的地につくんだ
R57を走り阿蘇に入り目的地のペンションに向かう
しかも幸運にも俺が目指すペンションはツーリングマップるにも乗っている
「もしもしピエロ」だ
このペンションはいつもお世話になっている美容師さんの紹介でいくことになった
しかもタダでとめてくれるということだ
もう俺は部屋なんてどうでも良い
まったく知らない俺を泊めてくれるということだけで感謝感謝
ペンションは以外に簡単に見つかった
おしゃれな建物で可愛い
バイクを駐車場に止めてインターホンを鳴らす
が・・・
突然来たので驚かれた
だってだって
この前電話で
「急に行ってもいいですか?」って聞いたら
「良いよ」って言ったから何も言わずに突然行ったんだけど・・・
やっぱり準備とかあるんですね
しかもあの渋滞から創造がつく位の忙しい時期に
ただで泊まるあほの面倒まで見る
珍しく素直に謝った
泊めてくれるのだ
立場は遥かに俺が下
しかも普通は行く前に連絡します
だが快く受け入れてくれました
濡れている荷物があるので
新聞紙をくれ、カッパなどは干すところも教えてくれましたし
ただ急に来たということで寝泊りするところが片付いていないから
勝手に片付けてくれって事で従業員用の部屋に連れて行ってもらった
たしかに・・・・荷物だらけ
なんか懐かしい感じがする
まるで俺の部屋
まず濡れているもので部屋を汚さないように新聞紙を引き
その上に置いて
濡れて気持ち悪い服を脱いで新しい服に着替えた
部屋を片すのは床に自分が寝れる分だけのスペースを確保しようと
床に置いてある荷物を方し始めた
以外にあっさり片付けられた
そこへオーナー婦人がが着て
ベッドなども使って良いよとのありがたい言葉
その後俺はベッドの荷物を片す事にした
これが以外に大変だった
ベッドの上は荷物置き場のようだったのでそれを全部反対側に重ねた
本当に俺のような人間にこんなことをやらせて良いのか・・・
が、やってもいいということなので適当に重ねさせていただきました
無事にベッドも確保するまで1時間近くかかった
そして俺の戦利品のようなもの
ベッドを無事に入手したと思うと妙に安心し
バッグの中の整理を始めた
カバーの中にたまっていた水により
いままでの旅で手に入れたカタログや観光案内が水でふやけていた
暇つぶしに読もうと思っていた太宰治の本も駄目
変えのプラグも水浸しだった
結構被害は大きい
本、プラグは買えば住むが
行った場所でもらった観光案内は大切な記念品で
旅の戦利品だ
それが駄目になったのは悲しかった
ベッドの上に寝そべると無性に泣けてきた
俺がここ数日忘れていた生活が今ある
弾力性のあるベッド
硬いアスファルトとは大違いだ
ちょっとボーっとしていると眠気に襲われてきた
気づいたときに俺は寝ていた
それから起こされたのは数時間後
お風呂に入れるということで起こしてくれたのだ
本当にただで入って良いのかと思ったがいいのだからいいのだろ
このペンションの風呂というのは数種類あって
どれも温泉を引いてきているご自慢の温泉
しかもどれも貸切で入ることが出来るので最高だ
のんびりと風呂に浸かりあったまり
これまでの旅の事を思い浮かべた
過酷だった・・・俺はなぜこんなに過酷なことをしていたのか・・・
だが楽しかった
知らないことを沢山知れた
そして今こうして知り合いの紹介を得て停めてくれる気さくな人とも出会えた
それだけで大満足だ
風呂から出て部屋に戻り漫画本を読む
するとやはりまた眠気に襲われた
雨の中走ったせいで相当体力を消耗したようだ
しばし仮眠する
次ぎに起こされたのはご飯が出来たというので起こされた
ただでご飯までご馳走してくれるとは・・・
まさに感謝
ペンションの人たちと一緒にご飯を食べいろいろ話した
旅の計画を言うと(ろくに無い計画だが)
こっちのほうまであまり来れないならゆっくりみていったほうが良いよ
といわれた
確かに今の日程で金沢などまで見て廻るのは不可能に近かった
この時テレビはルパンがやっていた
ルパンといえば俺もなぜかルパンといわれたな・・・
ご飯を食べながらいろいろと情報を得て
楽しい時間を過ごしていたが
遂に睡魔に負け俺は部屋に戻った・・・
まるで死んだかのように俺は寝た
2004/05/04
りきまる阿蘇のペンションもしもしピエロに宿泊
走行距離 301キロ
総走行距離 2418キロ
ガソリン代 1200円くらい
食費 1000円くらい
宿泊費 0円
温泉 0円
総出費 2200円くらい
旅合計 44200円くらい
次え
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