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21世紀後半、人類はついに宇宙開拓時代を迎えたが、
宇宙に進出する人々を襲う未知の危険は多かった。
これは、愛機シュピーゲル号とともに、宇宙の平和を守るために活躍する
キャプテンウルトラの物語である!
(OPナレーションより)



とんねるずもネタにした特撮ヒーロー「キャプテンウルトラ」をいま語ると
キケロ星人ジョーを演じた小林稔侍にばかり話が行ってしまうが、
パイオニア精神に裏付けられた限りなく前向きな世界観や
円谷プロのそれとはまた違った意味でユニークな怪獣、自由奔放なストーリーなど、
この番組でしか堪能できない見どころは数多い。
しかし、LDでキャプテンに再会した俺を最も驚かせたのは、
キャプテンの部下であるロボット・ハックの過激な天然ボケであった。

これがハックだ!

フューチャーメンで言えば、グラッグ+サイモンって感じ。
怪力自慢だが、各種計算・分析・翻訳も得意な万能ロボットだ。
「ホンニョゴニョン」が口ぐせ。計算結果などを報告する際によく使う。

【用例1】
「怪獣ガルバンハ、強力ナ電磁波ヲ内蔵。
 磁石現象ガアルカギリ、キャプテンノレーザーガンハ弾キ返サレル。ホンニョゴニョン」

【用例2】
「キャプテン、ジョーノ位置ハ計算不可能デス」「なぜだ?」
「四次元マデハ計算デキルヨウニ設計サレテイマセン。残念デシタ。ホンニョゴニョン」

特にすばらしいのがそのセリフ回しである。いわゆるコンピューターしゃべりとは明確に違うが、
人間らしく感情をこめるわけでもない。
わざとらしいような投げやりなような棒読みのような微妙極まる味わいは、
他のどこでも聞くことができないだろう。ていうかどこかで聞けるなら俺に教えてくれ。

というわけで、この面白さをなんとかして再現すべく、作品の中から
脱力感抜群の名シーンを紹介しよう。知らない人が読んで面白いかどうかは謎だが。

第10話
「スパイロケットワルダーあらわる!」
 
太陽系征服を企むバンデル星人にとって、キャプテンウルトラは最大の敵であった。
侵略計画をことごとくキャプテンとその仲間たちに叩きつぶされた彼らは、
ハックを怪電波でコントロールして、キャプテンを暗殺しようとする。

しかし、ムナトモ博士の手によってハックは正気に戻り、
バンデル星人の秘密基地を探るため、逆スパイとして基地に潜入。
ハックから発信される電波をたどって、秘密基地の場所を突き止めたキャプテンは
キケロのジョーとともに基地の破壊に向かう。
だがその頃、ハックはバンデル星人に疑いの目を向けられていた! ハック危うし!

秘密基地司令官 「おい、ハック。今すぐここにキャプテンが来る。
 それを、おまえのロケット砲で撃て!」
ハック 「エエッ?」
司令官 「忠実なロボット、頼んだぞ!」
ハック 「ハイ…」

命令にそむけば処刑が待っている。キャプテンとジョーに向けられるロケット砲!
だが、ハックが撃ったのは、キャプテンの背後に迫るバンデル兵であった。
ハックはキャプテンを裏切らなかったのだ!
しかし、怒った司令官の電磁分解銃で、ハックの五体はバラバラにされてしまった!

ハックの部品をはさんでバンデル星人とにらみあう形になったキャプテンは、
部品を取り戻すために果敢に突撃する! まずは頭を奪回だ!

ハック(頭) 「アリガトウ、キャプテン。ツイデダ、手足モタノム
キャプテン 「わかった、ここで待ってろ」
ハック(頭) 「ジョー、ウシロニタクサンノ敵ダ」
ジョー 「ようし、あいつらは俺にまかしとけ!」
ハック(頭) 「アッ、キャプテン、アブナイー」

バンデル星人の激しい攻撃をかいくぐり、胴体と手を取ってくるキャプテン!

キャプテン 「ハック、そら、胴体だ」
ハック(頭+胴+手) 「ウワー、ボクノ胴、ボクノ手。ナツカシー。
 ヤッパリ、アルモノガナイトドウモイケマセン
キャプテン 「よし、待ってろ。いま足を持ってきてやる!」
ハック(頭+胴+手) 「ボクノ足ガ持ッテイカレルー」

足を奪おうとするバンデル星人を倒すキャプテン!

キャプテン 「ハック、それ、足だ」
ハック(−足) 「カンシャカンゲキ。イイゾ、ボクラノキャプテン
キャプテン 馬鹿、おだてるな。
 よし、ハック、バラバラにされたかたきうちだ!」

ついに組み立て完了! しかしハックの様子がおかしい。
いったいハックに何が起きたというのだ!?

キャプテン 「ハック、どうしたんだ!?  敵は反対方向だ!」
ハック 「ソウイエバ、ナンダカ変デス」
キャプテン 「ハック、危ない! 敵は反対だというのに!
 ハック、気でも違ったのか!」
ハック 「イヤ、気持チハタシカダ」
キャプテン 「反対だというのに!」
ハック 「ネジヲ1本落トシタカナ?」
キャプテン 「……すまん、頭が逆だった
ハック(逆頭) 「トホホホホホホホ」


もちろんこれらのやりとりには一片の照れも迷いもない。
怪獣の弱点がおへそだろうが(第7話)ピタゴラスが宇宙移民をしてようが(第19話)
あまつさえ宇宙の果てがお花畑だろうが(最終話)、
キャプテンたちは常に限りなく真剣である。
そして、それゆえの高潔感が作品のカラーになっていると同時に、
笑いの効果を一層強めているのだといえよう。やっぱギャグはまじめにやんないとね。
 

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