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銀河系の彼方の星、ヴァルナ。
そのヴァルナ星ウルフアタッカーは、略奪集団として全宇宙から恐れられている。
地球人でありながら、悪の星・ヴァルナで育ったケンは
アタッカー随一の強さを誇り、「スターウルフ」と呼ばれていた。
しかし、地球を襲ったとき仲間を殺したため、ウルフアタッカーから追われる身となる。
ふるさとを失い、宇宙をひとりさまようケン。
そのケンを救ったのは、地球のバッカスIII世号だった。
これは、スターウルフ・ケンの物語である。
(ナレーションより)



かの「びっくり日本新記録」の前番組「スターウルフ」は、
エドモンド・ハミルトンのスペオペ小説を円谷プロが映像化するとゆー
民放のゴールデンタイムらしからぬマニアックな企画だった。
で、数年前復刊された原作本と比べてみると、
いかにもコチラ風なアレンジぶりがなかなか面白い。
たとえば、上に掲げた「仲間を殺した」一件についても、
原作では戦利品の分け前をめぐるトラブルが原因だったが、
TV版では、地球襲撃の際に偶然出会った
自分と同じ名を持つ少年とその母をかばったことになっている。

第2話
「銀河を駆けろ! バッカスV世」
 
バッカスIII世を駆るスペースコマンドに拾われたケンは、地球の病院に収容された。
しかし、スターウルフであることを知られれば命はない。
病院を脱走したケンは、バッカスIII世を奪って宇宙に逃げようとするが、
船のコクピットでは、スペースコマンドのキャプテン・ジョウが待っていた。
ケンの正体を見破ったジョウは、妻子をウルフアタッカーに殺された怒りを胸に、
船もろとも自爆する覚悟でケンと対決する。

ケン 「…あんたの好きなようにしてくれ。もう逃げも隠れもしない。
 どうせ俺には、もう、宇宙のどこにも生きる場所はないんだ…
 俺は、仲間のスサンダーを殺して追われている」
ジョウ 「そういう奴らだ、おまえたちは。仲間でも兄弟でも…」
ケン 「違う! 違うんだ! 俺は殺す気なんかなかったんだ!
 あの女が…あの女がケンって呼んだから、俺は…!
 俺は…俺は、死んだおふくろに呼ばれたような気がして…
 ケン…って、俺と同じ名前なんだ…
 それで、気がついたら、俺はスサンダーを…!

 …俺は、なぜか地球に降りたときから闘志が湧かなかった。
 憎しみが湧かなかったんだ、地球人に…」

まあ万事こんな感じで、事実関係はそれなりに*1原作どおりではあるが
全編みごとにウェットな熱血ノリがちりばめられている。
中には、原作よりはるかに熱い生きざまをブラウン管に焼きつけたキャラもいるのだ。

第10話〜第12話
「宇宙を燃やす大激戦」〜「惑星ミサイルに賭けた命」
 
ただひとり彼の素性を知るジョウに命を預け、
宇宙の危険請負人・スペースコマンドとなったケンの初仕事は、
惑星ササールにあるというスーパーウェポンの破壊であった。
ケンたちは、怪しまれずにササールに侵入するため、
ササール軍のヨローリン大尉を敵星カラルから救出する。
しかし、ヨローリンが自白剤によって機密を漏らしたことを知ったササール軍は、
彼らの受け入れを拒否、即時退去を勧告してきた。

ササール基地 『スペースコマンド・バッカスIII世号。こちら、ササールの基地指令室だ。
 バッカスIII世号の、ササールへの着陸は許可できない。
 ただちにどこかへ立ち去ってくれ』
ヨローリン 「私はササールの士官ヨローリンだぞ!
 私がついているのに、いったいどうしたというんだ!」
ササール基地 …ササールの士官名簿に、
 ヨローリンという名は登録されていない

母星に捨てられた絶望と怒りに身を焦がすヨローリンは、
ジョウの説得もあって、スーパーウェポン破壊に協力することを決意する。

ヨローリン 私を見捨てたササールに復讐してやる…!

かくして、スーパーウェポンを建造している秘密基地に向かう一行。
さまざまな防衛線を突破していく過酷な道のりの中で、
ヨローリンとスペースコマンドの間には、一種奇妙な絆が生まれかけていた。
しかし、秘密基地への潜入に成功した彼らが
超兵器の要・スーパーエネルギー装置に時限爆弾を仕掛けて脱出しようとしたとき、
基地に荘厳な音楽が鳴り響いた。
打ちのめされたように立ち尽くし、やがて直立不動となるヨローリン。

ケン 「どうした、ヨローリン? いったいこの音楽はなんだ」
ヨローリン 「…ササールの国歌だ…」
ケン 「国歌?」
ヨローリン 「一日に一度、全員が直立して、ササールに忠誠を誓うんだ…」
ケン 「よし、その間に脱出できるぞ! さあ、行こう!」

だが、愛国心が甦ったヨローリンに、もはやケンたちの言葉は届かない。
彼はきびすを返し、ふたたびスーパーエネルギーの保管庫に向かう。
しかし、時を同じくして、彼らの侵入はササール軍の知るところとなっていた。

警備兵 「だめです! 誰も入れるなと…」
ヨローリン 「うるさい!」

一刻を惜しんで押し入ろうとしたヨローリンに、若き警備兵の銃が火を吹く!
あとを追ってきたケンたちとササール兵の間に繰り広げられる、激しい銃撃戦。
その中でなお、傷ついた身体を引きずって時限爆弾を解除しようとしながら、
スパイとみなされて射殺されるヨローリン。
ひとり死にゆく彼の耳に聞こえるのは、
背後の銃声ではなく、愛する祖国を称えるメロディであった。

ナレーション 「祖国への忠誠が甦り、
 スーパーエネルギー爆破を阻止しようとしたヨローリン大尉は、
 ササールの忠実な士官として、壮烈な最期を遂げた」

原作では単なる脇役でしかなかったヨローリンが、
いつのまにやら第1部*2のクライマックスをさらってしまうほどの
セミレギュラーになっている。
ケンと同じ境遇(母星に捨てられた)にありながら未練を捨て切れず、
最後にはかりそめの仲間に背を向けて死んでいくあたりが、
道中、正体がバレるのを顧みずに仲間を救って、真のスペースコマンドとして受け入れられたケンと
心情的な対比を生んでいるようで面白い。
原作のドライな渋さとはまた違った意味で、男のドラマだといえよう。



【*1】
中にはかなりイカス「それなり」もあるけどな。
原作をご存じでこのページの本文を読んだ方はお気づきと思うが、ネタバレなので自粛。
それでも知りたい場合は下の空白をチェック。

原作でササールにあたるのは惑星ヴォホルで、
彼らは烏座星雲から恐るべき超兵器を持ち込んでくるらしい、という話だった。
星雲内のある惑星には、他の銀河系から飛来した
オーバーテクノロジーの宝庫とも言える宇宙船が不時着していたのだ。
しかし、時間凍結状態で助けを待っている船の主は、戦争だの征服だのといった考えには縁のない種族で、
ヴォホル軍があてにしているような兵器のたぐいは、全く持ち合わせていなかったのである。
で、調査隊が無駄な兵器探しをやらされているうちに迎えの船がやって来て、
超文明の英知に触れる機会は(おそらく永遠に)失われてしまったのだった。
このへんが、話のSF的なオチであると同時に
スペオペのステレオタイプから脱却した本シリーズの渋みってやつだと思うのだが、
TV版じゃその超兵器がホントに「ある」ってんだからおかしいじゃないスか。ねえ。

あと、基本設定の細かい違いはざっと以下のとおり。

原作では、「スターウルフ」とは
略奪集団としてのヴァルナ人の総称である。
で、原作の主人公ケインは、ヴァルナの大重力下で育ったせいで
地球人離れしたパワーとスピードを身につけてはいるが、
スターウルフとしては並の強さでしかない。

当然というかなんというか、TV版ではレギュラーが全員日本人で、
キャラ設定も異なっている。
でも、ケンの親が宣教師なのは原作どおりなんだよなあ。

原作のヴァルナ人は地球人と全く外見が異なるが、TV版では大差ないため、
当初ケンは自分が地球人だとは思っていなかった。

ケンに殺されたスサンダーは、原作では単なる仲間だったが、
TV版では「ケンの恋人の兄」ということになっている。
いやいるんですよ恋人。

原作ではスサンダーの兄でしかなかったハルカンは
TV版だとヴァルナの総司令。出世したなあ。

【*2】
オフィシャルな呼称ではないです。
原作第1巻「さすらいのスターウルフ」に相当する部分(第1クール)を、俺が勝手にそう呼んでるだけ。
で、本当はこの後にもう1話あるのだが、なんか事後処理っぽいのよね。


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