2012年5月9日更新

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身辺雑記「綾に哀しき」2012/5/9

曇り後雨。

ゴールデンウィークが終わった。

昨年の大震災を契機とした省エネ対策をきっかけに、執務室の空調を見直す動きが活発化し、その対応策として五月からクールビズを導入している会社も多くなっているようである。

斯くいう私の会社もそうで、暑さ対策はもちろんながら、あのネクタイから解放されるだけでもありがたい限り。

ゴールデンウィーク明けは、そうした軽装の人々を多く見かけるようになった。

さて、そのゴールデンウィークだが、今年の連休は、前半こそ好天に恵まれたものの、後半は上空に真冬並みの寒気が入り込み、とてつもない大荒れの天気となった。

三日と四日はもともと大雨という予報ではあったが、五日も六日も午後から雷を伴う暴風雨となり大粒の雹が大量に降る騒がしさ。

茨城や栃木では竜巻や強風による激甚災害まで勃発し、死者まで発生している。

誠に自然の生理とは侮れぬものだ。それに対して恨み事を述べたところで、相手は自然現象なのであるからいたしかたないということなのだろうが。

一方、北アルプスで大量の遭難死があった。

死者行方不明者9名なのだという。

GW:山岳遭難、死者・行方不明9人 ベテラン6人も 「天候の急変読めず」 /長野

白馬岳では6名の遭難死があり、いずれも低体温症なのだそうだ。

北九州の山好きな医師のグループというところが何とも皮肉に思えてならない。

6人の中にはベテランの登山経験者が居たが、山岳救助関係者は「1年に2〜3日の登山を何十年も続けていても一人前ではない」と自己過信に注意を促す。春山は天候が急変しやすく「天候を読めなかったことが、今回の事故の原因」と指摘した。

この指摘自体は全く正当で、長年山歩きをしているからベテラン、などという思い違いをしているご仁には是非とも猛省を促したい。

爺ケ岳で亡くなった女性もやはり低体温症ということで、この方々は何れも60歳を超えていて、いわゆる「中高年登山者」というカテゴリーに入るのだろう。

2009年に起きたトムラウシでの8名の遭難死と、規模や死因において重なる部分も多い。何れも低体温症で、ザックの中の防寒着を使用することもなく薄着のままこと切れていた、という点に関しても、である。

つまり、当時あれほど大きな話題となったトムラウシでの悲劇やそれに関しての考察などは、山に登る中高年登山者にとって何らの教訓にもなっていなかった、ということなのだろう。

これはいったいどうしたことなのか。僅か数年前の出来事すら、まるでなかったかのように富士登山ブームや山ガール・山ボーイなどという現象が湧きおこり、ちょっとした鎖場でも躊躇して足を踏み出せないようなレベルの連中が大挙して山に繰り出してきている。

彼らは山に対して恐ろしさを全く感じていない、ということなのだろうか。

一方、奥穂高岳での遭難は、何れも30歳代くらいの若手であったが、こちらも亡くなった方は低体温症であったのだそうだ。

アンザイレンをしていて、岩にザイルが引っ掛かり、滑落したあと自力で尾根まで這いあがれた一名が、それこそ「一命」を取りとめた。

滑落距離は50mくらいだったそうだが、亡くなった二人はその距離すらも自力で登れぬほど体力を消耗していたということなのか。

状況が良くわからないので軽々に決めつけるわけにはいかないが、コンテニアスで歩いていて、そのままつながって落ちたとするのであれば、基本的なザイルワークそのものに問題があったとしか言いようがない。

実際にやってみればわかるが、コンテニアスの状況で滑落した人を止めるのはかなり難しい。

通常、ザイルにつながっているメンバーは、それぞれにザイルを4〜50cmほどの輪にして重ねて持ち、もしも誰かが滑落したならば、そのほかのメンバーは間髪をいれずにその輪にピッケルを打ち込んで滑落停止姿勢を取る必要がある。風で雪が吹き飛ばされた峻嶮な稜線上などでは雪面にピッケルを打ち込むこともできないので、コンテニアスが使い物になるシチュエーションは意外に少ないのではないか。

パーティの中に初心者がいる場合などでは、時間はかかるかもしれないがスタカットを使うのが当然で、その場合もしっかりとしたビレイ点を確保してから動く必要がある。

そこまでの初心者もおらず、天候が荒れているなどスタカットにしたのでは時間がかかって危険性が増す虞がある、などという状況もあるいはあるかもしれない。

しかしそうであるなら、中途半端なコンテニアスなどしない方が被害は少なくて済む。

誤って滑落しても、ザイルにつながっていなければ被害は滑落者本人に限定されるし、残されたメンバーは引きこまれることもないから、救出や連絡などの善後策においても却って迅速に対応を取ることが可能となるだろう。

そうしたことは所詮、場数がものいうことになる。

その意味ではこの記事の終わりの方の一文は重い。

対策として、登山者に遭難防止意識の向上を訴える。「年間100日は山に入って悪天候も経験し、5年間続けてようやく一人前だ」といい「山の危険を理解し、自分の経験や体力にあった登山をする必要がある」と呼び掛けた。

これも全く仰る通りだ。

年間100日間山に入るためには、仕事を持っている人なら週末の全てを山行に充て、休暇のほとんども山に使う必要がある。週休二日の場合、毎週土日の二日を全て山行に充てれば104日間は山に入れる計算になるからだ。

実際、私の山の先輩たちはそうした生活をしてきていた(そのために家庭がめちゃくちゃになってしまった人もいる)。

私が未だに山の初級者のレベルから脱し得ないのも、そこまで徹底して山登りを突き詰めていないからに他ならない。

従って私は、常に自分は山の初心者なのだという意識を持って山に入ることにしている。経験によって体が自然に動くレベルにまでは、とても達していないと自覚しているから。

今回の事故を教訓に、その方針を改めて徹底したいと考えているところである。





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