紹介
『家庭訪問をしたことによって,その家族の暮らしや心の連携が保たれているのだろうかと案じ,それが健康とかかわっているのだろうかを探り,生活全体に自分の目と耳を傾けて,私が保健婦としてどのように対応すると,相手の心に近づけるのだろうかと悩みました.また,望まれることへと接近し,できた時にはやっぱり家庭訪問する保健婦でよかったと思い続けました.今も「あの家,あの人,あの子がどうなったかな」と,自転車を飛ばして行きたいと思うことがあります』
これは本書の著者,今野勝子さんのあとがきの最後の部分である.ここに保健婦活動の真髄が凝縮されて語られている.保健婦は人々が健康で健やかな生活を営めるために,自治体が人々への責任を果たすために雇っている専門職である.だからこそ,生活をしている場,すなわち,家庭へ出向き,その人に会い,その人を通して家庭での生活状況を見,家庭を通してその地域の状況を見て,自治体の健康に関する施策を打ち立てていくのである.これが生活を丸ごと見るということなのである.今野さんはこのことを「60年以上」も続けてきた真の保健婦の1人なのである.
|