出雲の稲荷

 出雲の神社には、どういうわけか稲荷が祭られていることが多い。摂社、末社の形ではあるが、境内に必ずと言っていいほど稲荷社がある。何でだろうと考えてみた。1つには、素戔嗚尊の神統に大己貴神(おおなむちのかみ)=大国主命がおられるし、大己貴神は稲荷大明神の一柱として崇敬される国津神である。さらに、稲荷主祭神である宇賀御魂命(うかのみたまのみこと)も素戔嗚尊の子孫という位置づけになっている。素戔嗚尊の本拠地はまさしくこの出雲地方であり、その絡みで稲荷社が建てられたのであろう。また、出雲商人の現世利益信仰として稲荷信仰が江戸期に流行った名残と考えることもできる。同時に、守護神としての稲荷から凋落した野狐に対する恐れから、出雲地方ではかつて人狐、狐持ち筋といった憑き物信仰も根強かったのである。


都稲荷社

島根県大社町にある都稲荷社は出雲大社の歴代宮司を勤めてきた出雲国造家、千家氏の奉祭する稲荷神社である。

出雲国造家である千家の邸宅横に都稲荷社はある。
出雲大社の脇から少し歩くと人気のない道に朱の鳥居が見えてくる。
ここが、千家の屋敷神でもある都稲荷社。
拝殿の向こうにお社が見える。
まず、ここには誰も参拝に来ない。静寂そのもの稲荷社である。拝み倒しには最適の神社である。
清掃、祭祀はさすがに完璧になされている。狐の置物もご覧のように棚に整理整頓されている。
出雲大社のすぐそばに、このような稲荷神社があるとは知らず、思わず狂喜乱舞してしまった。由緒など知るよしもないが、毎年3月には出雲国造家による大祭も執行されるという。

出雲の稲荷あれこれ

出雲地方を巡礼していて目にとまった稲荷社を紹介していく。

日御碕神社

島根半島の西端、日御碕に天照大神と素戔嗚尊を祀る神社が日御碕神社である。
その境内に稲荷社がある。
社の土台の石垣の亀甲紋は海神の象徴であり、出雲地方の神社の神紋としてよく使われている。
狛狐像。奥のものはすり減って顔も見えなくなっている。
日御碕神社の境内を出て、バス停の方にいくと小さな稲荷社が見える。
ここも古そうな社である。
苔むした狛狐。親からひ孫まで四代分が並んでいる。
素戔嗚尊の総本宮である須佐神社
出雲国風土記にも社名が見える古社である。
須佐神社の稲荷社。
きちんと祭祀されており、清浄な状態に保たれている様子が感じられた。
須佐神社の近くにある厳島神社の稲荷社。岩壁に社が埋め込まれている。山の神としての稲荷神を祭祀している。
神魂神社(かもすじんじゃ)

国宝指定されている大社造りの社殿で有名である。
その本殿左隣に稲荷社がある。貴船社と並んで祀られている。
社殿の床下に狛狐の集団が・・・