対馬の稲荷(浅藻;多久頭魂神社)


 対馬はそもそも海神信仰の地であり、稲荷とは無縁のような場所だと思われる。しかし、稲荷大神は凡そすべての産業、生計に恵みをもたらす神として、庶民の信仰の対象になってきた経緯がある。海神稲荷というカテゴリーもあって、それは食物神を海の幸をもたらすものと見なし,漁業神となったものである。私は対馬に海神稲荷があるものと考えて、あちらこちらを回ったが厳原町浅藻の多久頭魂神社に稲荷社を見つけた。

厳原町南部の浅藻地区に多久頭魂神社はある。多久頭魂神社は天童信仰の神社であり、赤米、麦類、豆類などに宿る穀霊を崇拝するのが天童信仰の宗祇の1つである。
対馬の神社にはこのように参道の入り口に塩を置いてある所が多い。塩で身を清めて境内に入るという意味であろうが、これは仏教的な発想であり、対馬神道の神仏習合の特徴を表しているのではないかと思う。
多久頭魂神社の神殿。その右側に・・・
稲荷社を発見した。対馬に来て朱の鳥居を見るのはとても珍しいし、懐かしささえ覚える。
社の中には狐の置物の他、恵比須神の置物もあった。まさしく海の幸を願う漁業神、海神稲荷であることの証明である。